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言語聴覚士の仕事内容

言語聴覚士の仕事内容

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脳卒中や頭のケガなどにより大脳の「言語領域」が傷ついたことが原因で“うまく話せない”、“話が理解できない”、“文字が読めない”といった症状が出る「言語障がい」、咽頭がんなどで声帯を失い声が出にくくなる「音声障がい」、難聴などの「聴覚障がい」、食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができない「嚥下(えんげ)障がい」、「ことばの発達の遅れ」など、言語聴覚士がカバーする障がいはさまざまです。また、「うまく話せない」といっても、その程度は患者さんによって異なりますし、原因も1つではありません。検査やカウンセリングを通して一人ひとりの障がいの状態や発現メカニズムを正確に把握し、どんな訓練・指導・サポートが必要なのかを見極めてリハビリを行うことが、言語聴覚士に求められる役割になります。
「話す」「聞く」といった分野に問題や不安を抱えていると、人とのコミュニケーションに消極的になったり、将来に希望がもてなくなったりと、精神面にも影響を及ぼすことが多々あります。また、病気やケガなどはっきりした原因がない患者さんの場合、何らかの精神的なダメージによって、「話ができない」などの状態が引き起こされている可能性もあります。そのため、表に現れている障がいだけでなく、患者さんの内面に目を向けることが大事であるということを忘れてはなりません。また、言語・聴覚機能の回復だけでなく、生活やコミュニケーションがしやすくなる実用的な手段をアドバイスできるのも、言語聴覚士の大きな強みです。患者さんが自信と希望を取り戻し、社会生活に復帰する手助けをすること。それこそが言語聴覚士が果たすべき使命なのです。

まずはリハビリを行う患者さんの障がいの状態を正しく把握するため、検査・評価を行います。
本人のカウンセリングだけでなくご家族からの情報収集も、患者さんを深く理解するために有効とされています。病院で働く場合は、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など、ほかのリハビリスタッフとも意見を交わしながらリハビリ方針を固め、リハビリプログラムを作成します。
また、リハビリ実施後、その日の内容や患者さんの変化を記録することも言語うえで役に立ちますし、ほかの医療スタッフに患者さんの状態を共有する際の大切なツールになります。
なお、言語聴覚士が主導するリハビリ内容は、対象となる障がいによってさまざまです。ここでは、障がいを大きく5つに分類したうえで、行われる訓練や指導内容をそれぞれ紹介していきます。

1)「聞こえ」の障がい

「聞こえ」の障がいとは、ことばや音が聞こえにくい状態を指します。難聴には、加齢によるものや、先天性のものがあります。どのくらい聞き取れるのかの検査を行い、補聴器のフィッティング、コミュニケーション方法の指導・助言などを行います。言語獲得期にある幼児がリハビリ対象者になる場合は、「ことばの獲得」のサポートも同時に進めます。

2)「話すこと」の障がい

脳卒中や事故による運動麻痺により、口唇や舌を使ってはっきり発音することが難しくなり、ろれつが回らずことばが不明瞭になる「構音障がい」、流ちょうに話すことができない「吃音(きつおん)」などが、「話すこと」の障がいの一例です。口唇や舌の機能回復のための運動、患者さんが言語聴覚士の口の形を真似して発音する練習、文章を音読する練習などを行います。

3)「食べること」の障がい

食べ物が口からこぼれる、うまく飲み込めない、むせるといった、「摂食・嚥下(えんげ)障がい」をもつ患者さんに対し、「咀嚼(そしゃく)して、飲み込む」ために必要な器官の運動訓練、飲み込む反射を高めるための訓練を行います。
摂食・嚥下障がいの原因は、口腔・咽頭・胃内部の形態異常により食べ物がうまく通過できないこと(先天性奇形、口内炎、喉頭ガンなど)や、神経・筋肉の障がいにより食べ物をうまく噛めない・飲み込めないこと(脳血管障がい、脳性マヒなど)、うつ病などの精神的要因、加齢による機能低下など、人によってさまざまです。
リラックスした雰囲気を作ったり、食事しやすい姿勢を指導したり、食べ方のコツを伝えたり、補助器具を用いたりとさまざまなアプローチを行いながら、患者さんがなるべく負担を感じることなく食事ができる状態を目指します。管理栄養士と食事のメニューについて相談したり、医師や歯科医と協働して治療を行ったりと、ほかの医療スタッフと連携する場合もあります。

4)「ことばの遅れ」の障がい

知的障がいや発達障がいなどが原因で、言語機能の発達が遅れている子どもの「ことばの獲得」をサポートします。「ことばやコミュニケーションに関心をもたせる」「語彙や文法、文字の習得を促す」訓練がメインになります。
絵が描かれたカードを使って名前当てクイズをしたり、ジェスチャーで意思を伝える練習をしたりと、子どもが楽しみながらリハビリに取り組めるようなプログラムの工夫が必要です。
また、「ことばの獲得」を目指すにあたっては、周囲が障がいに対する理解を深め、障がいをもつ子どもとのコミュニケーションのあり方を学ぶことも大切。そのため、ご家族への指導やアドバイスを行うことも言語聴覚士が担う役割になります。

5)「失語症」「認知症」などの後天的な障がい

脳卒中や交通事故による脳外傷が原因で、大脳の「言語領域」が傷つけられ、言葉がうまく使えなくなる状態を「失語症」と呼びます。損傷を受けた部位により、「話す能力」「聞いて理解する能力」「文字を読んで理解する能力」「書く能力」「計算する能力」のいずれか、もしくは複数に障がいが出ます。また、同じく脳が損傷を受けることで「物事を覚えられない」などの症状が出る「高次脳機能障がい(記憶障がいや認知症)」という障がいもあります。
これらの患者さんに対しては、障がいの改善と、残された言語機能の活用という2つの目的をもってリハビリを実施します。失語症の場合は、患者さんに適切な刺激(言葉を聞く、文字を見るなど)を与え、何らかの反応(うなずく、首を振る、文字を指差すなど)を引き出す形で進められます。また、ジェスチャーや絵を描くなど、患者さんが自分から意思を発する練習をすることも。これらの訓練を通して、患者さんにとってベストなコミュニケーション手段を身につける手助けをします。

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