武蔵野大学のブランドストーリー
武蔵野大学では新しい大学像の確立を目指して、ブランドプロジェクトを展開しています。では、なぜ大学は新しい大学像を目指して変わっていかなければならないのでしょうか?
社会との関わりを考えれば自明のことです。
大学は独自の存在でいればいいというものではありません。社会との関わりの中で、はじめて大学の存在意義が生まれてくるのです。時代が変われば社会も変わります。社会が変われば、大学も変わっていかなければならないのです。ただし、そこには中核となる理念が通っていなければなりません。
それが建学の精神です。武蔵野大学は、「仏教精神を基本目標として学識、品性ともにすぐれた人格の育成」を掲げています。これは、批判力を持ちながら協調性に富む人格を育成していくことを意味しています。
こうした流れを整理して、改めて「武蔵野大学のブランドストーリー」を定め、変革の方向性を整理しようというのが、ブランド展開です。
「目覚め」「つながり」「ひろがり」が基本
そのブランドのアイデンティティは、仏教の根本精神「目覚め(Awakening)」「つながり(Link)」「ひろがり(Growth)」の3要素から成っています。その中でも、Linkが重要であります。
ブランドステートメントは、「Linking Thinking」。人と人、思考と思考、考え方と生き方などの関係性を理解し、ネットワーク力を習得することを宣言しています。そして、新たに定めたブランドマークは、個人と個人、考えと考えが有機的につながっている共生のネットワークを象徴しています。
ブランド展開のためにカリキュラムにおいても工夫をしています。
まず、「目覚め」。1年次には必修の「建学科目」を置いて、人生の真理に目覚めるきっかけを提供しています。また、入学時から「自己開発ノート」に個人の理想とする人生を記して、4年間の学習計画を立案します。これを媒介として教員との接触の機会を増やし、深い内省をもとに自己と社会との関わりについて目覚めていくきっかけとしているのです。
次に、「つながり」。インターンシップやコラボレーション型インターンシップ(CBI)、リーダーシップトレーニングなどはもちろん、学生・教職員・学外の人たちとの協調やつながりを深める機会を設けています。
そして、「ひろがり」。学生たちの主体的な活動を通じての広がりを重視しています。例えば、「入試学生モニター」では、学生がメール相談の回答、進学相談会・見学会の案内、パンフレットづくりなどを主体的に行っています。ほかにも、在学生を支援する「キャリアモニター」や広報誌「MGライフ」の取材編集作業などにも学生が積極的に参加しています。
キャリア開発プロジェクトの必然性
ところで、21世紀は、科学技術が発展し、社会が高度化する時代です。そのためにも、学生時代に人格教育に加え、専門的で実践的な知識や技術を養成するキャリア開発が大事になります。建学の精神に加え、社会の要請から必然的に生まれてきたのが「キャリア開発プロジェクト」です。これは、「職業観・勤労観の涵養」「職業に必要な知識・技能の育成」「主体的に進路を選択する能力・態度の育成」を目指すもので、平成15年度の文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」に採択されています。
具体的には、キャリア開発科目群の整備、就職支援プログラムの展開や資格取得対策講座の充実により、キャリア開発で育成する「社会人基礎力」の明確化を図っています。同時に、教育内容の標準化、教育手法の開発・研修、効果検証システムを確立しました。
なかでも特筆したいのが、専門家を招いて行っているグループワークを活用した教授法です。教科書や講義重視の教育スタイルでは難しい、自己の特性の認識や問題意識の洗い出しがグループワークにより容易になります。アメリカのMBAのケーススタディをイメージしていただければ、授業の雰囲気がわかるでしょう。今は、教員が外部の専門家と一緒になって新しい教授法を体得しているところです。ゆくゆくはすべての教員がファシリテーターとして、グループワークをリードしていけるようになってくれると考えています。
次に、キャリア開発教育関連の流れを紹介します。
1998年度にはインターンシップの試行取り組みを開始。2000年度からカリキュラムの中で正規科目として取り入れています。1999年度には、エクステンションセンターを設置して各種資格対策講座を開講しました。2000年度には、進路選択を支援するキャリアインフォメーション、学外の人材・アイデアを教育に活用するキャリア開発セミナー、社会マナーを身に付けるソーシャルスキルなどを開講しています。
海外インターンシッププログラムにも積極的に取り組んでいます。これは、キャリア開発支援科目群の実践的科目として位置づけられているもの。海外での修業体験を自分のキャリア開発に役立ててもらう目的で、平成17年度には8名、18年度には12名を海外企業に派遣しました。この派遣費は大学が負担(上限25万円)します。派遣の条件はTOEIC650点以上で、そのための特別対策講座も開催しています。変わったところでは、英語を勉強したにもかかわらずフランスのホテルでインターンシップを行った学生もいます。本人は苦労したでしょうが、帰国したときにはフランス語も流ちょうになって目の色もかがやいていました。
このプロジェクトの発展型として取り組んでいる「専任教員によるキャリア教育の実践」が、平成19年度文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に採択されました。
このことからも、武蔵野大学が社会の変化に対応して変革してきた姿勢がよくわかると思います。
平成15年度以降の変革をみると―。校名変更、男女共学化、薬学部開設……と変化する社会のニーズに対応して大学改革を促進してきました。さらに、平成18年には大学院人間社会・文化研究科言語文化専攻に「ビジネス日本語コース」を設けました。これは、文化や文学研究のための日本語ではなく、ビジネス場面で有効な日本語能力を育もうという実践的なものです。
実践力を育む知的リソースを提供する総合大学である武蔵野大学をベースにして、学生たちはさまざまな人や思考、文化とのつながりを深め、世界の中での自分の位置を知り、潜在能力を顕在化して社会に価値をもたらしていくわけです。
活発化する学生の社会に向けた自発活動
学生がミニストップとお弁当を開発した―と2006年秋にはかなり話題になりました。これは、自分たちで働く意味を探っていこうという目的で行われたキャリアリサーチセミナーにおける活動の一環です。企業との共同プロジェクトを体験したいという学生の熱意に端を発して、学内にも店舗を構えるミニストップと連携して実際にお弁当を共同開発。「ハートオムライス弁当」「お母さん弁当」の2種類が武蔵野地区の10店舗で発売されて評判を呼びました。
2007年夏には、池袋・本町商店街地域活性化プロジェクトとして、文成小学校PTAと共同で、絵画展やアニメソング演奏会と絵巻物行進、ジャズコンサートなどを行いました。
ほかにも、環境学科の学生が西東京市の環境マネジメントを監査したり、千代田区のISO14001内部監査に協力したりするなど、社会との関わりのなかで、自分のキャリアを深く考えています。
19〜20世紀は産業社会から福祉社会へと発展をしてきました。21世紀には、生活の質を良くするような産業が現れてきています。教育には「絶対」というものはありませんが、こうした社会の変化に対応して21世紀型教育のあり方を求めて改革に取り組んでいます。
|