2008年4月、新学部設置と大学名の変更を実施。
新生IBUがスタート。
本学は聖徳太子が建立した4つの院(四天王寺=敬田院、施薬院、療病院、悲田院)、とくに敬田院をルーツとする大学で、仏教精神の修得を基盤にした教育を特徴としています。2008年4月、これまでの「四天王寺国際仏教大学」から「四天王寺大学(IBU)」への名称変更と教育学部・経営学部の開設をはじめとする改組という大きな改革を実施しました。これにより、新生・IBUの体制がスタートしました。校名変更の背景は、まず学部増設により教育領域が幅広くなったこと。そして、本学のベースにある仏教はそもそも世界宗教であり、そこにはすでに国際性が含意されているため、あえて国際仏教の名を冠する必要がないと判断したことです。
いま、大学は国公私立・地域を問わず大競争時代を迎え、規模の大きな大学がいっそう拡大していく傾向にあります。しかしこの時期にこそ、原点に戻って、大学教育の本質を問い直すべきだと思います。大学教育の本質とは、知識・技術だけではなく、人格形成という普遍的な教育が含まれることです。現在の高度に発達した情報化社会、産業化社会は、その反面に「心の時代」を求めています。大学はそのなかで、一人ひとりの学生が自立していくための支援を、教育の根本に据えなければなりません。本学では小規模クラスを展開し、学生一人ひとりに対して丁寧に、手塩にかけて育てる環境があります。教員だけではなく、教職員全員が一丸となって学生の人間的な成長を助けていく。本学は、そのような人間形成の場でありたいと思います。
大学は人間形成の場。
責任感や使命感の育成にも仏教精神が活きる。
そうした本学の教育を遂げるにあたって、仏教というバックボーンが活きてきます。必修科目の「仏教I〜IV」では、1年次は瞑想と仏教を中心とした講話、2年次は瞑想と写経を修めます。もちろん、ストレートに仏教徒を育成するものではありません。仏教という考えに触れる体験が重要なのです。この授業は1・2年次に週1回行われます。1,000人近い学生がひとつの時空を共有しながら、自分の1週間を振り返ったり、将来の生き方を考えたりします。いま我々はテレビなどの音に囲まれる生活をしていますが、わずか10分間でも静寂のなかに身を置き、自己を見つめるのは貴重な体験です。決して、あすに役立つわけではないのですが、この体験がものごとを深く考える基盤になります。卒業生の声を聞きますと、「社会に出て責任ある立場になったときにわかった」とある種の懐かしさをもって語ってくれます。
仏教精神は教育の具体的な面にもあらわれています。たとえば経営学部では、単なる企業人や職業専門人を育てるのではなく、企業活動を社会的な活動という側面からも捉えられる責任感や使命感を育てます。利益追求だけでは正しい経営はできないものです。教育学部でも、人文社会学部でも根本は同じです。これは企業が求める人材育成にも通じると考えています。業務に必要な知識・技術は、就職してから学ぶことのほうが多いのですから、むしろ企業は知識よりも人間的なバックボーンを問うのではないでしょうか。たとえば、自分の考えを適切に表現でき、他者の言葉にも耳を傾けられる深い思考力や洞察力。仏教はこのような教育のベースとなりますので、今後も大切にしていかなければなりません。
出口保証は社会の大学に対する期待と責任。
キャリア教育にも独自の取り組みを展開。
他方、いかに人間教育をしても、出口に不安のある大学では意味がありません。出口保証は、学生、保護者、ひいては社会の大学に対する期待と責任です。そのために本学ではキャリアセンターを中心に、自分の適性をできるだけ早く発見できるように支援しています。私はキャリア教育とは、「知識」を「智恵」に転化させることだと考えています。これもまさに仏教精神の基本です。詰め込まれた「知識」は応用が効かないものですが、それに対して「智恵」は柔軟です。応用とは「智恵」なのです。詰め込み方式で就職に有利な知識を身につけさせるキャリア教育ではなく、自分で将来を決められるキャリア教育。それが継続的な自立につながります。そのための環境整備や情報提供を教職員一丸となって行っています。また本学では卒業生の協力も盛んです。学生と世代の近い卒業生が大学に戻り、採用試験対策などをアドバイスしていますが、これはたいへん効果的です。
ゼミナールもキャリア教育のひとつの軸になっています。ゼミでは少人数の利点を活かして、教員が学生個々の進路指導に深くかかわっています。その意識をより活性化させるため、ゼミ間や学科間で競争原理が働くように、1か月間隔で更新した内定状況を張り出しています。そうなると教員も当事者意識をもつようになります。もともと全国平均よりもよい就職率をマークしておりましたが、その成果もあって就職状況はさらによくなってきています。
学園全体で地域の人々の
生涯にかかわっていきたい。
本学は日本で最初に国際化を築き上げた聖徳太子の敬田院をルーツとする大学ですから、常にグローバルな志をもっていますが、地域社会に貢献するのも大学の使命と考えております。地域に根ざした活動として市民講座や公開講座などのほか、大学祭では市民によるイベント企画もかなり以前から行っています。また、四天王寺学園は2009年には小学校を開設し、さらに将来的には幼稚園開設の構想もあるようですから、今後よりいっそう地域社会とのかかわりが深くなっていくでしょう。四天王寺には社会福祉施設もありますので、学校法人と社会福祉法人で、地域の人々の生涯をずっと支援できる存在となることを願っています。
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