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リレーエッセイ 高校生のココロ
(2003年4月7日掲載)
 元気でおしゃれな"今どきの高校生"。携帯電話を駆使し、女子のお化粧はあたりまえ、男子でさえ眉の手入れに余念がない、という彼らの姿を見ていると、「悩みとは無縁なんだろうな」と思えてしまう。
 しかし、何かの機会に彼らと話し込む機会があるたびに、私は思う。「この子たち、私が若かった時代より、ずっと深く悩んでいるんじゃないだろうか」。

 彼らの悩みには共通点がある。それは、「私はこの先、世の中やまわりの人の役に立つことができるのだろうか」と自分の存在意義について考え、「もし何もできなかったら、みんなにきらわれてしまうんじゃないか」という不安にかられ、自分の価値について自信を失いそうになっている、ということだ。私の時代ならまだ、「勉強ができる子はえらい」「モテるやつはすごい」とだれもが無邪気に信じ、何か得意なことがあればそれが自分の自信に直結した。ところが今の高校生は、いくら勉強ができてもいくらスポーツが得意でも、それは自分という人間の一部でしかないことに気づいている。しかも社会の状況があまりよくないので、「勉強やって一流大学に入って一流企業に就職しても、そこが倒産するかもしれないし」と希望を持つことができない。そういった状況の中にいる若い人たちは、「自分らしく生きて、社会の人たちの役にも立つためには、いったいどうすればいいの?」と真剣に、深刻に考えざるをえないのである。

 とはいえ、この傾向を即、悲観的に考えることはない。「勉強だけできても仕方ない」「いい会社に入ったところで喜べない」と思っている若者たちは、だからこそ、地位やお金に惑わされることなく、自分らしい道を選ぶチャンスを与えられてもいるのだ。進学校に通っているある高校生は私にこう言った。「一生懸命勉強して、東大に入りたい。そして、そこで得た知識や人脈を生かして難民支援の仕事につきたいんです。」

 大人が理想や夢を追いかけられなくなっている今、「私なんて」と自信を失いかけている高校生の背中を少しだけ押せば、彼らが新しい時代のリーダーとして立ち上がる可能性が十分にある。「私ってなに、なんて悩んでないで、勉強しなさい!」とせきたてることなく、ゆっくり時間をかけて彼らが自分の道を見つけるまで待ちながらそっと励ましてやるくらいの余裕は、私たち大人も失わないようにしたいものだ。
【プロフィール】
かやま・りか精神科医・神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授。1960年札幌市生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。現在も臨床を行いながら新聞、雑誌で社会批評、書評なども手がけ、現代人の"心の病"について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。主著に『切ない…。』(青春出版社)、『「愛国」問答』(中公新書ラクレ)ほか多数。
ホームページ:
http://www.caravan.to/
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