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企業最前線!職業人インタビュー vol1
「ASIMO」と人間がより近づくために「能」も研究しています
「ASIMO」知能化技術を開発
さかがみ・よしあき1957年、東京都生まれ。東京電気大学卒業(数理科学専攻)。ソフトウェア開発会社を経て、86年、本田技術研究所入社。自動運転技術の開発研究の後、99年よりロボットの認識関連技術の研究開発に従事。
(2003年4月21日掲載)

―現在のお仕事の内容をお教えください。

 ホンダは2002年12月に新型「ASIMO(アシモ)」を発表しましたが、それに搭載した認識技術の開発を担当しています。「知能化技術」というのですが、「ASIMO」に目と耳の機能をつけて、接近する人にあいさつしたり、指示された場所に移動する、あるいはその人の顔を認識して名前を呼ぶ、などといった、人の姿勢やしぐさの意味を理解して自律的に行動できるための技術です。それまでは、オペレーターがロボットにコマンドを入力して動作させていたんです。

―ますますロボットが人間に近づいたわけですね。

 このような知能化技術を持ったヒューマノイドロボットは世界初です。「ASIMO」は当初から、人間社会の中で人間とインタラクティブな関わりをもつことをテーマに開発されてきた"人型ロボット"です。なぜ、人型かというと、車輪がついていても、昆虫型でもいいのですが、人間のような身体性を持つことが、ロボットが何をやっているのかがいちばんよくわかる、つまり人間とインターフェースする形として最もわかりやすいからなんです。


―6本足の昆虫では、何をしているのかわりにくい、と。

 昆虫型もCGを作って仮想的に実験してはみたんですよ。でも、やはり、人型のような「ちょっとした仕草」が表現できないんですね。「ASIMO」開発のテーマはつねに、人間がロボットによりよく接することができるために、人間社会の複雑な状況に対応できるような機能、表現力を向上させることにあるんです。そうすると人型がいちばん効率がいい、というところに収束しました。

―なるほど。坂上さんはこういった技術分野にはいつから関心を持たれたのですか。

 ホンダに転職してからなんです。ホンダでは最初、自動車の"ラインキーピングシステム"という、自動運転技術の基礎研究に携わっていました。車にカメラを搭載して、状況を認識し、クルマが白線から超えるなどコースを逸脱するとハンドルを自動的に操作して元に戻す、という技術です。その経験が新型「ASIMO」の認識技術に結びついたというわけです。

―ホンダに入られる前はソフトウェアの開発会社に勤めておられたとか。

 はい。国鉄関連のソフトウェア開発会社で、新幹線の運行システム開発に携わっていました。東北・上越新幹線の開通まで手がけました。

―なぜ、国鉄系のソフト会社を志望されたのでしょうか。

 誰もやっていない、変わっている、ということに引かれるんです(笑)。当時、理系の就職は研究室からの推薦で企業を決めるのが一般的でしたが、それでは面白くないな、と。推薦はもらわずに、自分で新聞の求人広告で「新幹線の開発」というコピーを見つけて、新幹線なら、やっている人はいないだろう、と決めました。

―学生のころから、「誰もやっていないこと」に引かれたんですね。では、ホンダへはどうして転職しようと思われたんですか。

 車好きということもありましたが、新幹線を動かすシステムはレール上の"1次元"で比較的単純なんです。それより、車なら面の上を動くので"2次元"になるから面白いかな、と。それでこちらへ来たら、今ではロボットをやるようになって"3次元"の世界。着実に次元がアップしているので、次はタイムマシンで"4次元"かな、と思っています(笑)。

―すごいですね(笑)。本気で考えているんですか。

 冗談です(笑)。

―でも、「ASIMO」はそもそも「鉄腕アトムを作ろう」という言葉で開発が始まったとうかがっていますから、まんざらでもないんじゃないですか。

 確かにそうですね(笑)。ホンダに転職したのは、そのように自由に何でもやれる企業風土にひかれた、ということもあります。「これがやりたい」ということを、利点を挙げてはっきり示すことができれば、取り上げてもらえる会社ですから。

―やりたいこと、と言えば、高校から大学にかけて、将来どういったことをやりたいとお考えだったのでしょうか。

 実は、あまり考えていなかったんです(笑)。高校の頃、数学だけが好きでしたので、大学でも専攻し、教職も取って教育実習にも行ったのですが。

―ほかの科目はお嫌いだったと。

 特に歴史とか。人類が延々と積み上げてきた歴史を、なんでたった3年で覚えなきゃいけないんだ、納得できない、と。でも、一度徹底的に勉強して、試験で100点近い点を取って、「やればできるんだ」というところを先生に示しておきましたが(笑)。でも、要は暗記だろう、と。もうこれでいいや、と思っちゃったのがいけなかったんですね。

―どんな学生時代を送られたのでしょうか。

 大学にはあまり行かずに、アルバイトにばかり精を出していました。店舗の内装とか看板などの電気系統の設計をしたり。

―アルバイトの経験が、今になってためになっていることはありますか。

 電気系統の設計では、図面を引くところからやらせてもらったんです。自分で図面を引いて、それが形になる面白さを知りました。今は図面は引きませんが、自分で考えて設計した通りにモノが動く面白さは共通します。アルバイトでその原体験ができました。

―生活全般ではいかがでしたでしょうか。

 高校のころからよく旅行に行きましたよ。学校をサボって、ヒッチハイクしながら北海道に行ったり。若造である自分の回りは大学生や大人の人ばかりで、いろいろ教わりました。多くの人たちと関われる、いい経験をしましたね。
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