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リレーエッセイ 高校生のココロ
(2003年7月7日掲載)
 中学から高校へ、それから大学へ、そのあとは社会に出てさらにキャリアアップ。男の子、女の子といった性別に関係なく、今やこれが日本の多くの子どもたちにとっては“あたりまえのコース”になってしまったかのようだ。このコースをいったん選択したからには、停滞や後戻りは許されない。より高く、より速く、と上昇することだけが求められる。

 しかし、このキャリアコースには多くの問題点があることにも、これまただれもが気づいている。途中で脱落した子どもはどうなるのか。何を勉強やキャリアアップの動機とさせればいいのか。「どうして大学に行かなければならないの?」などと疑問を持ち始めた子どもへの対応は?仕事に熱中するあまり、晩婚、非婚化が進む一方、という現状をどうすべきなのか…。

 こういったキャリアコースの矛盾に直面して戸惑う子どもや親、教師たちを尻目に、まったく違う人生を歩む子どもたちも最近、出てきているようだ。

 いきなり極端な例をあげれば、「中学生ママ」。インターネットを見ていると、おびただしい数の十代ママたちのホームページに出合う。最近は「ギャルママ」「シンマザ」などと言って、十代でシングルマザーになることも怖れない若者も増えているようだ。その中でもさらに目を引くのは、自称(ネットなので確認の手立てがない)14歳、15歳という「中学生ママ」のホームページ。

 彼女たちの多くは、小学校ですでに“夜の遊び”を覚え、大人から見ると非行の限りをつくした頃に中学入学。やっと“落ちついて”少し年上の男性と交際を始めたかと思うと、すぐに妊娠…というパターン。もちろん、家族や学校はローティーンの妊娠に大騒動となるが、そこで「命を守りたい」と驚くほどの真剣さで出産を望むカップルも少なくないようだ。中には、中2で出産したあと勉強の面白さに目覚め、子育てのかたわら学校にマジメに通い出した少女もいる。

 もちろん、そのあまりに幼い父母や子どもがこの先、どうなるかはだれにもわからない。あえて若い結婚、出産を勧める気もない。しかし、彼女たちのあまりにストレートな生き方は、キャリアコースをはずれるという道もあるんだ、そしていったんコースをはずれてもまた回り道して学校に戻ってくることもできるはずなんだ、というごく素朴だが大切なことを、改めて思い出させてくれる気がする。
香山リカ

【プロフィール】
かやま・りか精神科医・神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授。1960年札幌市生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。現在も臨床を行いながら新聞、雑誌で社会批評、書評なども手がけ、現代人の"心の病"について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。主著に『切ない…。』(青春出版社)、『「愛国」問答』(中公新書ラクレ)ほか多数。
ホームページ:
http://www.caravan.to

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