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進路について親が子どもにできること
7月15日(火)、ナゴヤドームで開催した「リクルート進学わくわくライブ2003」。会場の一角で、産業界で人材開発などを手がけておられる方4名をパネラーにお招きし、保護者向けのパネルディスカッションを行いました。テーマは「進路について子どもと一緒に考える」。そのときの模様を再録いたします。
INDEX
1 企業が求める人材とは
2 保護者がすべきことは
3 しつけは必要か
4 放任か関与か
5 偏差値かやりたいことか
トヨタ自動車株式会社 グローバル人事部 人材開発室長 宮代 陽之 氏 イオン株式会社 人材開発部長 下澤 茂樹  氏 有限会社ミューズ・コミュニティー 代表取締役社長 松尾 憲昌  氏
特定非営利活動法人 愛知市民教育ネット 代表理事 毛受 芳高  氏 株式会社リクルート『キャリアガイダンス』編集長 角田 浩子 株式会社リクルート 進学情報ディビジョン 名古屋統括部 エグゼクティブマネジャー 北澤 孝太郎
企業が求める人材とは――自己を知り、意欲に富み、変化に対応できる人材
北澤 リクルートの北澤と申します。本日は、多数ご来場いただきましてどうもありがとうございます。

さて、本日はここで参加体験型の進路イベント「わくわく進学ライブ」が行われているわけですが、高校生の進路先の環境は様変わりしています。保護者の方々もその変化を肌で感じられたのではないでしょうか。顕著な例をあげますと、少子化の影響で大学の3割、短大では5割もの学校が定員割れしています。その一方で、東海地区では、今年4月、専門学校進学者が過去最高を記録しました。また、厳しい雇用環境に直面して、今春、高校を卒業しても就職できない人が全国で3万2000人いる一方で、せっかく就職しても3分の1が3年で会社をやめているという現実もあります。

これからの社会では、はたしてどういう人材が必要とされているのでしょうか。ゲストのパネラーの方に、自己紹介をかねてうかがいたいと思います。
宮代 トヨタ自動車の宮代です。83年にトヨタに入社しましたが、志望理由はクルマが好きだったことと海外で仕事をしてみたかったことですね。希望通り、アメリカやヨーロッパで仕事ができ、いまはグローバル人事部という部署で人材開発の仕事をしています。

採用責任者として応募してくる学生を見ていると、トヨタという会社も大きくなってきているせいか、自分の時よりも優秀な人が多いように思います。さきほどのお尋ねにあった必要とされる人材像ということで申し上げれば、4点ほどあろうかと思います。

まずは自己をしっかり認識し、確立できる人。どんな人間になりたいのか、という思いが明確にあってほしいということです。

次に、行動意欲や達成意欲に富み、「結果」のみでなく「プロセス・やり方」への意識も高い人です。当社では、枠にはめられたような仕事の進め方ではなく、個人の自由なやり方に任せています。

3つ目は、組織の中でのポジションにかかわらず、組織の力を最大限に発揮させるような働きかけができること。現状のままで満足するなどあり得ません。若いときからどんどん意見を出すことが求められますね。

最後に、異質なものを理解・受容し、それを踏まえた行動ができること。特に弱者への配慮は、国際企業には欠かせないことです。グローバル化によってますます異質なものとの出合いは増えています。そのときに柔軟に対応し、関心を持つことができるか。企業とは、個人の行動の集積ですから、一人ひとりの意識が強く求められています。

総合すると、広い心、関心、行動ということになります。
北澤 ありがとうございました。ではイオンの下澤さん、お願いいたします。
下澤 イオンの下澤です。イオンというと馴染みが薄いかもしれませんが、「ジャスコ」というショッピングセンターを経営している会社です。

私は店長をやりたくてこの会社に入りました。大学を出て入社し、現場で魚をさばいたりしながら経験を積み、豊田市の店で2年半ほど店長をやることができました。その経験から申し上げれば、何をやりたいのかという考えをきちんと持って入社することが大切だということです。入るといろいろな苦労があるわけで、がんばれるかどうかの分かれ目が、そういった将来の目標が強くあるかないかです。

どういう人材が求められるかというと、まずは「変革」に積極的に対応できる人ですね。私が入社したころのスーパーは、10時開店で夜7時には閉まっていました。店休日も年間30日から40日。いまは朝の9時から夜は11時、店によっては24時間営業のところもあります。しかも年中無休です。このように世の中がものすごく変化しているわけで、それを予見して対応できるかが重要なのです。

また、「お客さま」という視点で「倫理的行動」が取れることも必要ですね。企業をめぐるトラブルや不祥事が相次いでいますが、1人の社員が起こした行為が致命的になる場合があります。安全、安心、正直を第一に考えることが大切だと思います。
北澤 ありがとうございました。では、松尾さん、お願いいたします。
松尾

ミューズ・コミュニティーの松尾です。当社は雑誌の編集や広告を制作する、従業員数13名の会社です。

私は中学生のころから雑誌が好きで、かつサラリーマンは嫌だと思っていました。希望通りに出版社に入って雑誌作りに携わったあと、念願かなって独立しました。

必要な人材ということでいえば、私はいまの時代、「課題解決」ができる人でないとお金はもらえないと思うんです。クリエイターであっても、お客さまが目の前の困っていることに対して、自分の技術を使ってどう解決してあげられるか、が大事なんであって、自分の好きなモノだけ作っていればいいというわけではありません。結果が求められる仕事であるし、頭をさげる、根回しをするといったビジネスの感覚も必要です。

北澤 ありがとうございました。最後に、NPOのお立場から、毛受(めんじょう)さん、お願いいたします。
毛受 毛受です。まず、NPOという言葉から聞きなれないとお思いの保護者の方もいらっしゃると思うので簡単にご説明しますと、NPOとは、要するに政治や行政、一般企業に任せていても、なかなか手が着かない課題、うまく進まない公共的な課題を、利潤追求を目的とせずに市民自ら協力し合いながら解決しようとする団体です。私が主催している愛知市民教育ネットは、「市民参加の教育づくり」をコンセプトに、主に学校から依頼されて「総合的な学習の時間」の企画開発を行ったり、市民参加の教育イベントを推進・運営協力したりしています。

私が愛知市民教育ネットをはじめた動機は、20年後、30年後を考えたとき、幸せを感じる社会になっているような気がしなかった。それなら、どうせ仕事をするならと、教育問題に関心がありましたから、この分野でNPOを立ち上げることを選びました。

これから必要な人材は、これからの社会がどうなっていくのかという広い視点でものごとを考え、行動していける人だと思います。また、これからの日本の社会は、次々に問題にぶち当たっていくわけで、そういった問題に主体的に立ち向かうことが「楽しい」と思えるようなマインドも必要だと思います。
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