| 中央教育審議会の答申を受けて文部科学省は、学習指導要領を改正した上で、来年度から実施することを決めた。一部とはいえこんなに早く学習指導要領が改正されるのは異例のことだ。マスコミの論調は、学力低下批判によって同省が学力重視へと軌道修正したのに対応して、整合性が取れなくなった学習指導要領の手直しを図ったという見方が大半を占めている。だが、はたしてそれだけなのだろうか。 |
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学習指導要領の主な改正の柱である学習指導要領の「基準性」の明確化、学習内容の上限を規定していたいわゆる「歯止め規定」の見直し、「個に応じた指導」の充実などの意味が、学習指導要領を超えた内容を発展的学習として実施することで学力向上を図るというように一般的に受け止めている以上、今後、学校は習熟度別指導や発展的学習などの学力向上対策に取り組むことを求められるようになることは避けられないだろう。
しかし、無理やりに教科学習の時間を増やし、従来の知識偏重の指導方法を繰り返して、生徒の学力は向上するだろうか。現在の生徒の実態をみれば、「上がる」と言い切れる高校教員はそんなに多くはないはずだ。それほど、学力問題の根は深い。そこで注目されるのが、中教審答申や文科省が打ち出した改正のもうひとつの柱である「総合的な学習の時間」の充実だ。
改正学習指導要領では、各学校ごとに「総合的な学習の時間」の全体計画を策定することが義務付けられる。全体計画の意味について文科省は、「各教科、道徳、特別活動を含めた学校の教育活動全体の中での『総合的な学習の時間』の位置付けや意義、各学年の目標及び内容、具体的な指導の改善、評価のありかた、円滑な実施のための指導体制等を含むもの」と説明している。逆に言えば、このような当たり前ともいえる全体計画がなかった学校がいかに多いかということだ。
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また、一部で「総合的な学習の時間」の教科との関連付けが強調されて伝わったことで、「総合的な学習の時間」でも教科学習ができるようになると誤解している向きもあるが、文科省が公表した学習指導要領改正概要では、「各教科等で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、それらを学習や生活において生かし、総合的に働くことができるようにすること」となっている。要するに、教科や道徳など教育活動全体の中に「総合的な学習の時間」を位置付けることを求めており、総合的学習の重視でこそあれ軽視ではない。
来年度は、新学習指導要領が学年進行で2年生まで進む。「総合的な学習の時間」の実施を先延ばしてきた学校も踏み切らざるを得ない。その時に、「総合的な学習の時間」をおざなりにしたまま、従来の学習観による教科指導に力を入れただけで、どれほどの効果が上がるだろうか。「総合的な学習の時間」の先進校では、学問研究や職業研究などの進路学習を総合的学習で取り入れ、生徒の進路意識を育てることで、教科の学力向上もできたという学校が少なくない。新学習指導要領にはさまざまな矛盾があることも事実だが、今回の一部改正を、教科学習重視への単なる「揺れ戻し」と取るか、あるいは総合的学習の充実を求めたものと取るかで、今後の学校の明暗が分かれることになるかもしれない。
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●中央教育審議会 「学習指導要領」について見直しを求める答申(10月7日)
中央教育審議会は10月7日、昨年から実施している学習指導要領について、見直しを求める答申を河村文部科学相に提出した。このうち、「総合的な学習の時間」については、「趣旨に即した創意工夫あふれる取組が増加」とするものの、「『目標』や『内容』が明確でなく検証・評価が不十分な実態や、教員の必要かつ適切な指導を欠き、教育的な効果が十分上がっていない取組も」あると指摘。充実のための方策として、「学習指導要領の記述を見直し、その趣旨を一層明確化」することを求めている。具体的には、各教科等の学習内容との相互の関連や計画的な指導、学年・学校・学校段階間の連携等を明示することや、各学校において「学校としての全体計画」を作成し自己評価の実施等により、「取り組み内容を不断に検証することが必要」と指摘した。また、学校図書館の活用や、公民館や図書館、博物館などの社会教育施設や社会教育団体などとの連携・協力、地域の施設や経験豊かな人材など多様な教育資源の把握・活用がのぞましい、としている。
http://www.mext.go.jp/b_menu/
shingi/chukyo/chukyo0/
toushin/03100701.htm |
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