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リレーエッセイ 高校生のココロ
(2004年1月13日掲載)
 高校生の進路とは直接、関係のない話題だが、2003年に生命保険文化センターが実施した調査によると、35歳から54歳の独身女性のほぼ半数が「今後も結婚するつもりはない」と答えたそうである。子どもについても、「ほしいと思わない」が7割以上。これまで政府の審議会や国民生活白書などは「ほとんどの独身女性は相変わらず強い結婚願望や出産願望を持っているが、種々の理由によってそれが阻まれている」という見解を発表してきたが、実はそうでもないようだ。

 独身生活のメリットについても「広い友人関係を保てる」「仕事を続けられる」などという答えが目立ち、独身であることがより自分らしい生き方につながる、と考えている人が多いこともわかった。この調査は35歳以降を対象に行われたものだが、おそらくその下の世代でも同じ考えを持つ人は少なくないだろう。つまり、進学、就職、そして結婚や子育てという型通りの人生より何より、とにかく制度にしばられずに自由であることが自己実現の最低条件、という考え方だ。

 おそらく、進路に関しても同様の考えを持つ高校生が増えているはずだ。私のまわりにも、「東大間違いなし」と言われたのに森林保護のボランティアになるためにカナダに旅立った高校生、受験にも就職にも見向きもせずにフリーターの道一直線の高校生などがいる。いずれも、仕方なくそうしているのではなく、積極的に制度にしばられない自由な生き方を選んでいるのが特徴だ。

 しかし、すでに社会の中でシステムに組み込まれている大人としては、彼らが選ぶ自由を応援したい気持ちを持つ一方で、つい口にしてしまうのだ。「やっぱり進学した方がいいんじゃない?」「一度は結婚してみれば?」「せっかく働くならバイトより正社員がいいよ」。

 とはいえ、そこで若者に「どうして?」ときかれて、「それが大人というものだから」としか答えられないのは、あまりに悲しい。もっと自由に生きたい。もっと自分らしく生きたい。厳しい時代が続いても、若者のその思いは今後もますます強くなるだろう。そこで「よし、やってみなよ」と背中を押すのか、それともやっぱり「でも、進学や結婚はした方がいいと思うよ」と諭すのか。ひとりひとりの大人が、「さあ、あなたはどっち?」と試されている。

香山リカ

【プロフィール】
かやま・りか精神科医・神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授。1960年札幌市生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。現在も臨床を行いながら新聞、雑誌で社会批評、書評なども手がけ、現代人の"心の病"について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。主著に『切ない…。』(青春出版社)、『「愛国」問答』(中公新書ラクレ)ほか多数。
ホームページ:
http://www.caravan.to

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