センター試験を終え、受験生は問答無用で志望校を選ぶ時期にきている。このときの子どもたちから発せられる言葉は実に切実であり、それに耳を傾けるだけでも消耗が激しい。高校の先生方や親御さんの心労も並大抵ではないことが察せられる。
この時期、私のところには塾生からの受験相談が後を絶たない。「今のセンターの成績だと○○大学しか出願できそうもないけど、都会じゃないから嫌」「どこか理科1科目だけとか、英語がなくて理科の二次試験の配点の高いおいしい大学ない?」など無理難題な相談も多く、説得に一苦労する。また、「センターしくじった。どこに出願しよう?」これは楽な相談である。現実に直面した受験生として理解できる。このような場合、判断の材料となるデータを提供すれば、放っておいても塾生自らが解決してくれる。
やっかいなのは、「親に○○大学は無名だからやめなさいって言われた。どうしよう」「家から通えるところに願書を出せって言われた。出すとこないじゃん」「高校では○○大学がいいんじゃないって言われたけど、志望の学部と全然違うんだよ」…高校の先生方や親御さんも同じ思いであろうが、第三者が絡んだ相談というのはややこしくて消耗が激しい。塾生が「親と私」、「高校と私」、場合によっては「親と高校と私」の板ばさみに遭いパニックになってしまうこともある。親、高校、予備校の講師では立場が違う。それぞれのアドバイスがまさに、「船頭多くして船山に登る」を生み出すのである。
かといって、親御さんや高校の先生方に遠慮するわけにはいかない。私は、塾生には私なりのアドバイスをする。ただ粛々と予備校の講師の立場から、戦略的に最も受験に効果のあるアドバイスを送るのみである。ただし、ここで注意しなければいけないことがある。それは現状把握である。「親御さんはどういうふうに言ってる?」「高校の先生は何て言ってる?」このように問いかけて現状を把握しないと、一方的なアドバイスになってしまう。一方的なアドバイスは相談にきた塾生の頭を混乱させるだけでなく、納得のいかない大学を受験することになりかねないのである。
この数年、大学に籍を置きながらの再受験生(業界用語で仮面浪人)が増加している。また、一度大学を卒業してから別の大学を受験するケースも目立っている。願わくは、自分の納得のいく大学を受験し、悔いの残らない人生を送ってほしいものである。
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| 【プロフィール】
いいだ・たかあき●
河合塾講師*1968年三重県に生まれる。広島大学教育学部(理科)卒業後、同大学院理学研究科博士課程に在籍中の1995年より、河合塾広島校で生物を担当。2000年より、東京地区へ移籍し、現在、東大オープンや全統マーク模試をはじめとする模擬試験やテキストの執筆を手がけ、東京と広島を毎週往復し、生物の講義を行う。人気、実力ともに高い評価を得ている名物講師*著書に「こだわって!国公立二次分野問題集(河合出版 小畑成美・前田真共著)」がある。
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