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キャリア教育ニュース解説
(2004年2月23日掲載)
 文部科学省の「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」(主査=渡辺三枝子筑波大学教授)は1月28日、小学校から高校までの教育活動をキャリア教育の視点から体系化し、子どもの発達段階に応じて勤労観や職業観を育成するための指導を計画的に実施することなどを提言した報告書をまとめた。報告書の内容は、昨年7月に発表された「中間まとめ」とほぼ同様だが、新たに「キャリアカウンセリング研修」のプログラム例などを盛り込んでいる。「キャリア教育」という用語は、まだ学校現場で十分に浸透しているとはいえないのが実情だが、キャリア教育は、これまでの進路指導とどう違うのか、また、これからの学校教育に何が求められているのだろうか。
教育行政の初出は中教審の「接続」答申
 キャリア教育は、1970年代に米国で生まれた教育理念の一つで、比較的古くから日本にも紹介されている。しかし、進路指導などの研究者には広く知られているものの、学校現場の進路指導関係者の間では必ずしも普及しておらず、キャリアカウンセリングなどキャリア教育の一部が部分的に知られている程度だ。また、日本の教育行政文書に登場したのも最近で、旧文部省当時の中央教育審議会が1999年に出した「初等中等教育と高等教育の接続」答申が初めて。大学入試の改善などを提言した中教審答申は、学校段階の接続を超えて、学校生活から職業生活への円滑な接続という視点から、教科を含む学校の教育活動全体でキャリア教育を行うよう要請している。

 当時、この中教審答申は、公立中高一貫教育の導入、大学入試改善ばかりが関心を集め、キャリア教育の提言はあまり注目されなかったが、答申以降、文部科学省は学校教育の柱の一つにキャリア教育を据えるという方針を打ち出している。同協力者会議の報告は、文科省としてのキャリア教育の考え方、具体的内容などの集大成ともいえるものだ。

 キャリア教育の概念と実践が、学校現場であまり広がっていない理由の一つに、その内容が広範囲にわたり、定義があいまいであることが挙げられる。これに対して同協力者会議は、キャリアを「生涯にわたって遂行するさまざまな立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関連付けや価値付けの累積」とした上で、「一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」とキャリア教育を定義づけ、端的には「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」と示している。

自立した社会人になるための教育
 文科省が最近になって、キャリア教育という概念を持ち出してきた背景には、フリーターの増加など若者の勤労観や職業観の未熟さ、モラトリアム傾向の増大などのほかに、情報技術の発達や長引く不況による雇用形態の激変がある。経済成長期は、社会人としての訓練はある意味で、終身雇用制度の下で企業が行ってきたが、もはやそれは望めない。

 また、この役目の一部は、学校でも進路指導として行われてはきた。しかし協力者会議は、従来の進路指導は進学指導や就職指導といった「進路決定」や「出口指導」が中心で、その取り組みも体系化されていなかったと指摘し、このような進路指導の現状を抜本的に改革するためにキャリア教育が要請されていると強調している。

 具体的には、進路指導だけでなく教科や特別活動、「総合的な学習の時間」など学校教育全体を通したキャリア教育の指導計画を小学校段階から明確化するとともに、教員全員がキャリアカウンセリングの能力を持つことなどが提言されている。学校を出たあと子どもはどんな進路を選ぶにしろ、社会人として生きなければならない。自立した社会人として生きるための能力・態度を育成することが、ますます学校教育に求められている。学校教育とはすなわちキャリア教育である、と言ってもよいのではないか。

 今回、キャリアやキャリア教育についての定義が言語化され、実践の内容も示されたことで、本年こそ本格的にキャリア教育が始動する年となると考えたい。またこの言葉が中身を伴って日本の学校に根付くかどうかは、これからの現場の取り組みにかかっていることは間違いない。

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文部科学省「キャリア教育推進の条件整備」を提言(2003年7月10日)
 文部科学省は昨年7月10日、「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議『中間まとめ』」を発表した。この「中間まとめ」では、今後キャリア教育を推進するために、1)教員の資質向上と専門的能力を有する教員の養成、2)保護者との連携の推進、3)学校外の教育資源活用にかかるシステムづくり、4)関係機関等の連携と社会全体の理解の促進、以上4点の条件を整備するとしている。1)については、国や県が実施する教員向け研修・講座等にカリキュラム開発能力やコーディネート能力を身につけるための内容を盛り込むだけでなく、新たにキャリア・カウンセリングに求められる専門知識・技能を取得する「教員研修プログラム」を開発し、担当する教員を養成していくとしている。このほか、キャリア形成の方法について専門的な知識・情報を有する人々を「キャリア・アドバイザー」として学校に招き、講演や懇談会などを実施することなども提案されている。
http://www.mext.go.jp/
b_menu/public/index.htm
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