| 文科省が最近になって、キャリア教育という概念を持ち出してきた背景には、フリーターの増加など若者の勤労観や職業観の未熟さ、モラトリアム傾向の増大などのほかに、情報技術の発達や長引く不況による雇用形態の激変がある。経済成長期は、社会人としての訓練はある意味で、終身雇用制度の下で企業が行ってきたが、もはやそれは望めない。
また、この役目の一部は、学校でも進路指導として行われてはきた。しかし協力者会議は、従来の進路指導は進学指導や就職指導といった「進路決定」や「出口指導」が中心で、その取り組みも体系化されていなかったと指摘し、このような進路指導の現状を抜本的に改革するためにキャリア教育が要請されていると強調している。
具体的には、進路指導だけでなく教科や特別活動、「総合的な学習の時間」など学校教育全体を通したキャリア教育の指導計画を小学校段階から明確化するとともに、教員全員がキャリアカウンセリングの能力を持つことなどが提言されている。学校を出たあと子どもはどんな進路を選ぶにしろ、社会人として生きなければならない。自立した社会人として生きるための能力・態度を育成することが、ますます学校教育に求められている。学校教育とはすなわちキャリア教育である、と言ってもよいのではないか。
今回、キャリアやキャリア教育についての定義が言語化され、実践の内容も示されたことで、本年こそ本格的にキャリア教育が始動する年となると考えたい。またこの言葉が中身を伴って日本の学校に根付くかどうかは、これからの現場の取り組みにかかっていることは間違いない。 |