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こじま・たかこ
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1958年生まれ。高校卒業後、三菱銀行(現・東京三菱銀行)に入行、支店の窓口業務と新人教育を担当。82年、退行。91年、埼玉県庁に職業訓練指導員として入庁。若年女子向けにOA業務などを指導、独自の就職指導で若年者の就職を7年間、100%実現させた。キャリアカウンセリングを学び、2001年より中高年の再就職支援事業のスタッフとして企画・運営・講師を務める。02年度の緊急地域雇用創出特別交付金事業として、就職アドバイザー雇用と職業訓練生への就職支援プログラムを企画・運営。03年度からは「彩の国キャリア塾」として多方面のキャリアデザインの研究および講座の企画のほか、キャリアカウンセラーの養成に携わる。埼玉県ワークシェアリング就職指導講師。著書に『がんばる中高年 実践就職塾』(東海左由留氏共著、メディアファクトリー刊)がある。
(2004年2月23日掲載)
※インタビュー:2004年1月21日
―小島さんは、「1000人以上を再スタートに導いたカリスマ・キャリアカウンセラー」として、ご著書がマスコミでも話題になりました。現在の活動内容をお教えください。
埼玉県立職業能力開発センターで、「彩の国キャリア塾」というキャリアデザインの実践の場の企画や、キャリアカウンセラー養成などの仕事をしています。2001年に、政府が5年間で5万人のキャリアカウンセラーを育成する、という方針を発表するなど、キャリアデザイン支援の必要性が急速に言われ始めています。しかし、現場で何を求められているのかまだまだその方法は確立されていません。本を出版したのは、そういった状況を見て、これまで自分が10年以上にわたって現場で実践してきた経験や考えを少しでもまとめて発表したい、と思ったからなんです。
―
反響はいかがですか。
高校の進路指導の先生の集まりや、産業カウンセラー協会などから呼んでいただいて講演もしています。私は現場で実践するという軸があるので、ブレないでやってこられたのだと思っています。
―それにしても、このご時世で特に中高年の再就職は難しいと思うのですが、どうしてそのように数多くの人の再就職を成功させることができたのでしょうか。
求職者と求人企業の条件のマッチングは最後のことで、その前の自分自身の再整理を徹底してお手伝いしているからだと思います。求職者は、雇用状況が激変しているのにもかかわらず、会社員のときの生活形態や仕事のイメージを引きずって探そうとするから再就職先が見つけにくいんです。把握がうまくいっていない。ですから私は、まず社会や家庭の状況を整理して今後を考えてもらいます。それから、たいていの人は自分の職能を固く決め付けている。「経理一筋でやってきたので、営業センスや企画力はない」とネガティブに否定ばかりするんです。でも、他人から見れば、経理の仕事でも税理士と折衝したり、事務の女の子を上手に使っていたりしている。折衝力やコミュニケーション能力が経理の仕事でも必要で、それがあるから長年任されてきたんじゃないの、と思えるんですね。それらの能力があれば、生産管理や営業だってできるはず、と。私はこれを「職能分解」と呼んでいます。誰しも、思っている以上にいろいろなことをやってきているし、その「移転可能なスキル」に気づけば、職域がぐっと広がるんです。
―そのやり方にはどんな特色があるのでしょうか。
アメリカのキャリアカウンセリングが日本に紹介されたときにさっそく勉強したんですが、ジョブクラブという、適職発見のためのグループ活動があるんです。これはいいと真似をしたところ、そのままでは日本人にそぐわないものだと感じました。と言うのは、アメリカのジョブクラブでは職が決まった人から抜けていくんですね。アメリカ人は狩猟民族で、自分が獲物を獲ってきたら終わり。でも農耕民族の日本人はそうはいきません。残された人は疎外感や無力感に襲われてしまう。なんでもみんなで分け合うことが大事なんです。そこで、グループ活動をするのに、「ストレスのかかる勝ち抜けはやめよう」「自分が見つけた不要の求人案件は他の人に回そう」というルールを決めました。グループ活動のいいところは、自分が見えていないいい面を他人に指摘してもらえるところにあるんですが、やっていくうちに、自分のことを差し置いて他人のお節介を焼きだすんです。「あの会社は俺よりお前のほうが合っているから紹介しておいた」なんて言って(笑)。そんな調子でうまく回り始めましたね。
―なるほど、なんだかあったかいですね(笑)。では若年者はどうでしょうか。
私には大学1年と高校1年の2人の息子がいて、進学できて一山越えた、と思っていたんですね。でも実際は彼らはこれから初めて社会のニーズと自分のキャリアのマッチングに悩み始めるんです。専門家としてたくさんの人を支援してきたのに、自分の子どもは今さらそのことに気がついた(笑)。それがきっかけとなって、若年者の支援にも本気で取り組もう、とあらためて思いました。というのも、以前から若い子たちの職業訓練を通じていろいろ問題を感じていたからです。
―どういったことでしょうか。
子どもと就職先について話していて、その場で本人がなりたい職業を決めたとしても、家に帰れば親にリセットされてしまいがちです。そもそも本人の持っている興味や価値観は、親に簡単に否定されてしまうだけ薄いんですね。そこで親を呼んで会ってみると、そういう育て方をするからそうなるんだな、ということがはっきりわかるんです。職業の価値観が家庭で構築されていないんですね。
―家庭で仕事についての会話がない、と。
親は働いている姿を子どもに見せられないし、仕事なんて家庭に持ち帰れないですよね、疲れちゃって。持ち帰ってもいいのはお金だけ(笑)。しかも、多くの家庭が「おまえを育てるために働いているんだ、育てるのにいくらかかっていると思っているんだ」「誰も産んでくれなんて頼んでいない」なんて会話をしがちです。もっと、仕事をするということは、こんなに大変だけどやりがいのあることなんだ、という中身の話をして、労働することの価値を子どもに伝えてほしいと思うんです。
先日、ある大学で、就職が決まっていない学生に親を連れてきてもらってセミナーをやりました。学生本人に自分の今後のキャリアについて何か話させると、非常に貧弱なことしか言えないんです。会社が何をするかも知らなくて底が浅い。すると、聞いている親は「22歳にもなって」とショックを受けて「なんで学校では何も教えてくれないのか」と言うんです。そこで私は、「それは学校の先生の役割ですか?親が伝えることだ思います」と言ったのですが。
―なるほど。そこで、小島さんは今後どういった活動を考えられているのでしょうか。
働くことには14の価値があるという研究(
※1
)があるんですが、こういった価値観は働いていないと見つけられないものではないと思うんです。子どもたちがケータイで必死にコミュニケーションを取っているのは、誰かに認められたい、知りたいという思いがあるから。「誰かに認められる(社会的評価)」という労働価値観が、そんな日常の生活の中から見つかるんです。そういったことを教えるのは、私は学校教育だけではなかなか難しいと思っています。私は、そういった日常からのライフデザインのサポートをやりたいのですが。
―このインタビューでお会いする職業人の方は皆さん、高校生は可能性があるのに狭い世界にこもっている、と言われます。
高校生は不安なんじゃないでしょうか。自分に自信がある子は少ないですよね。でも、これまで大きな決断を迫られたこともないので、どうすれば自信を持てるのかわからないのも仕方がないと思います。子どもたちに向かって「狭い世界を広げろ」と言っても無理かもしれません。だから私は、大人たちが寄ってたかって子どもに関わる社会を作らないと、豊かな価値観が育まれないと言っています。職業訓練校の生徒たちには「メンターやモデラー、サポーター(
※2
)を見つけなさい」と言ってきました。「あの人のこんなところがいい」という、パーツでもいいからなるべくたくさんのいいところを探しなさい、と。子どもは大人の嫌いなところばかり探しますよね。反対に、「親をほめてごらん」というと、必ず何か出てくるし、見る見る表情が変わってくるんです。そうやって興味を広げることが大事だと思います。
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