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最前線!職業人インタビュー vol13
子どもでもリスペクトすることが大事


―おちさんの高校時代のお話を聞かせてください。

普通の高校生でしたよ。女の子にモテたいと思っていたし、勉強やハンドボール部の部活もそれなりに一生懸命やっていたし。

―映画やテレビの番組作りへの夢はずっと持ち続けられていたんですね。

周囲からは「無理」としか言われませんでした。でも、僕は天邪鬼(あまのじゃく)だから、そう言われてうれしくて仕方なかったですね。なら絶対なれるな、って。で、その高校の文化祭はレベルが高かったんですよ。毎年すごい数のお客さんが来て。1年生のとき、出し物で合唱を企画したんです。単なる合唱だけじゃつまんない、と、コントなどのバラエティもまぜながら合唱はマジメにやる、と、いま思えば「振り幅」のある企画を考えてやったんですね。先生からはあまり評価されませんでしたが、来客の投票では1位に輝いたんです。そういった大衆の反応を得ることにすごく興味がありましたね。

―当時から「企画」が好きだった。

そうですね。あと、誕生会とか呼ばれたとき、みんなは主役の子がロウソクを吹き消すところをじっと見つめているのに、自分はそんな子たちの表情ばかり面白がって見ていたのを覚えていますね。なんか、人と違うモノを見ようとしていたと思います。でも、そういうことが非常に重要だと思うんですよ。その姿勢が、大人になったときにオンリーワンを生み出せることにつながるんじゃないか、という気がします。

―周囲に染まらず、自分のユニークさを大切にして貫きとおすことが大事だと。

自分には、常に人の逆を行くようなところがありますね。常識的なことで反論されたりすると、あー自分はまだ大丈夫だとホッとするんです。なんか、僕はみんなで盛り上がっていたりすることが異常にダメなんです。サッカーのワールドカップのときなんかは、気分がどんどん引いていきましたね。みんなで1つになっていく、ということが恐いんですよ。一丸になるとか、価値観が1つになって同質の人間ばかりになることが恐くて仕方がないんです。

―流行を生み出すほうの立場からすれば、特にそういう感覚になるのでしょうね。

「動物占い」がはやっていたときなんか、よく「おちさんは動物占いは何ですか? 黒ヒョウ?」とか聞かれて、「ふざけんなー!」って思ってました(笑)。だから意地でも自分は何の動物かなんて調べませんでした。10年くらいしたら調べてみよう、と(笑)。

―常に冷ややかな目線があるんですね。



よく、大企業の人で、会社がエラいのに自分がエラい、と思い込んでいるような人がいますよね。僕は「テンパリスト」って呼んでいるんですけど、いつもテンパっていて、自分がいないと何も進まない、と思い込んでいるような。そういう人には「会社1日休んでみろよ、それで夕方電話してみれば、何ごともなく会社は動いていることがわかるって」って言ってあげたいんです。自分なんかいなくたって大勢に影響はないんだって。そうやって水をかけることってとても大事なことだと思うんです。一丸となっている、っていうことは、代用がきく、ってことだと思います。自分じゃなくても構わない、誰も困らないような集団からは離れていたいですね。

―学校教育では、個性を尊重しないで、なるべく「みんなと同じに」という風潮があると批判もされています。

そういう風潮は日本では変わらないんじゃないでしょうか。人と違うといじめられたりしますよね。そんな子は、「ある日、復讐してやる、今に見てろよ!」と思って、そのときはじっとガマンするしかないのでしょう。でも、そんなオンリーワンへの思いが記憶となって、大人になって必ずブレイクする日がくると思います。学校教育に対しては、いろんな子がどこかで必ずヒーローになれるような場を用意してあげてほしい、と思いますね。体育が苦手な子は、運動会は苦痛かもしれない。だから、その子が輝ける場がほかにあれば、その子はみんなと一緒に無理に運動会に出なくてもいいという判断だってあっていいと思います。

―子どもの可能性を育むためには、既成概念を持って画一的な対応をしないほうがいい、と。

よく、「子どもは黙っていろ!」とか「子どものクセに何がわかるか!」と決めつける大人がいますが、年齢なんて関係ないと思います。僕は年下でもリスペクト(*1)します。16歳でも17歳でも、才能があればテレビのプロデューサーをさせてもいい。給料払いますからきてください、っていう感じ(笑)。およそ年齢が関係ない分野はスポーツと音楽ぐらいですよね。ですから、東京ヴェルディ(*2)の中学生ストライカー森本くんの登場や、19歳の綿矢りささんが芥川賞を取ったときは素直にうれしかったです。もし、年齢的なことで枠に押さえ込んでいたら、その才能は埋もれたままだったかもしれません。運動が苦手でも、勉強の成績がパッとしなくても、そのように能力のペンタゴンがいびつでも、「この子はすごい文章を書く」と、何かいいところを周囲はリスペクトして伸ばしてやることが大事だと思います。その上で、マイナス面を指摘するべきではないでしょうか。それをマイナス面ばかり言うのは、最初から子どもだといってバカにしているとしか思えません。

―進路選択にしても、親の時代と今とではかなり変化していて、子どもの希望を大人はよく理解できない場合もあるようです。

毎晩、夜中までクラブ(*3)で子どもが遊んでいたら普通は注意しますね。それまではよくても、その子が「クラブを経営してみたい」と言い出したら、大抵の大人は「何をバカなことを!」と言って聞き入れないでしょう。でも、その子は毎晩、遅くまでクラブで遊ぶほどクラブが好きだとしたら、やはりリスペクトして、一旦は「どんなクラブにしようと思っているの?」と聞いてあげるべきだと思うんです。そこで出た考えが甘いものだったら、社会経験を積んだ大人としての注意をすればいい。はなっから否定したら、ひょっとしたらその子は世界のクラブ王になれたかもしれない機会を潰すことになると思うんです。

―海外で認められてから、ようやく日本でも陽の目を見る例も多いですね。



日本では才能が認められるまでに10年とかの長い時間がかかったりします。年長者が立場を奪われるのを恐れて邪魔をしているんでしょう。勝負の世界は、今が重要なんです。サッカーの中田も、野球のイチローや松井も、自分の才能に気づいて勝負できる世界に飛び出していった。アメリカでは、すごいプレーができるとか、面白い作品が作れる、画期的な研究ができるなどすれば認められるんです。経歴や実績は関係ない。そのほうがよっぽど健康的ですよね。

―周囲の思惑で貴重な才能を潰してはならない、と。

相手をリスペクトすることが大事だということです。たとえば、いじめられていることを告げた子に「大したことない」とか「やり返せ」とか平気で言うでしょう? でも、本人にしてみれば、生きるか死ぬかという大変なことで、親や先生にすごい勇気を振り絞って告白したと思うんです。言えないから自殺までするんであって。リスペクトがない教育が、一番ダメな教育だと思います。

―どうもありがとうございました。
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