1学期も半ばを過ぎ、我が塾生も予備校の授業に慣れ、私のもとには質問や相談が後を絶たなくなってきた。今年の高3生は例年になく危機意識が高い。今回はそのことについて述べたい。
現在、高3生は旧カリキュラム(94年度より施行)の最後の受験生である。文部科学省の学習指導要領の改訂で、次年度からは新カリキュラムでの入試となる。「受験に失敗すると、次の年には今の勉強が役に立たなくなるって噂をきいたんだけど…」「学校の先生に今年合格しないと大変になるぞって言われたけど本当?」これらの言葉の中には真実もデマもあり、これらが相乗的に受験生の危機を煽っているようである。
カリキュラムが変更されると、大学受験ががらりと変わる可能性がある。例えば、ある大学は、今年度は「化学・生物」の理科2科目で受験できたが、来年からは「物理・化学・生物」の3科目を必須にすることを表明している。受験生には災難としか言いようがない。当然、高校も予備校も対応を迫られることになり、私も来期の対応に四苦八苦である。ところが大学側はのんびりとしたものであり、新カリキュラムでの受験科目を公表しているのは、意思決定の迅速な「一流大学」が主であり、大半は他のことで忙しいのであろうか、公表する気配がなく困ったものである。
もっと可哀想なのは高2生である。新聞紙上などでご存じだと思うが、今回のカリキュラム改訂では、各科目の内容が3割カットされている。では、大学受験の内容も3割カットかというと、そう甘くはない。過去の経緯を見ても内容が増加することはあっても減少することは考えられない。受験生には何の罪もないのに、小1〜高3まで内容がカットされ続け、受験内容が減らないという理不尽と戦わなくてはならないのである。
しかし、予備校にとって今年はありがたい。授業に対する真剣さが格段に違う。例年なら夢と現実がかけ離れて、11月頃から慌てて質問や相談にくるのが予備校の風物詩であった。しかし今年は6月の時点で「問題演習をガンガンやりたいけどいい問題集教えて」「今から大学の過去問をやった方がよい?」…実に頼もしい限りである。俄然、こちらも気合が入る。おかげで私のスタミナはもう切れかけている。彼らのエネルギーに圧倒される毎日である。こういうのを「嬉しい悲鳴」というのだろうか…。何とか梅雨を乗り切りたいものである。
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【プロフィール】
いいだ・たかあき●
河合塾講師*1968年三重県に生まれる。広島大学教育学部(理科)卒業後、同大学院理学研究科博士課程に在籍中の1995年より、河合塾広島校で生物を担当。2000年より、東京地区へ移籍し、現在、東大オープンや全統マーク模試をはじめとする模擬試験やテキストの執筆を手がけ、東京と広島を毎週往復し、生物の講義を行う。人気、実力ともに高い評価を得ている名物講師*著書に「こだわって!国公立二次分野問題集(河合出版 小畑成美・前田真共著)」がある。 |
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