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キャリア教育ニュース解説
(2004年7月26日掲載)

 実感としてはまだ不十分ながらも景気は回復基調に入っている。文部科学省のまとめによると、高校卒業者の就職率はアップしており、長期間にわたって低迷していた就職戦線にも好転の兆しが見え始めた。しかし、だからといって喜んでばかりもいられない。このまま高校生の就職状況が回復していくとするならば、まだ不況の厳しさが残っているこの時期に、高校の進路指導では早急に着手しなければならないことがあるはずだ。

好転し始めた高卒就職状況
 文科省が5月に発表した高校生就職状況調査によると、今春卒業者の就職率は3月末現在で89.0%(前年同期比2.3ポイント増)と2年連続して上昇している。見逃せないのは、都道府県別でも42都道府県の就職率が前年同期よりもアップしている点で、高校生に限れば就職状況は好転に向かいつつあるようだ。そんな雰囲気を反映するかのように、「一人一社制」を廃止した県の進路指導関係者の一部から、制度の復活を望む声があがり始めているという。
 企業の採用試験受験を一人一社に限定する制度は、高校生の就職慣行として長い間定着しており、生徒を確実に就職させられるというメリットがあった。しかし、長引く不況の中で、同制度が逆に高校生の進路を狭めているという文科省の提言を受けて、見直しの機運が高まっていた。これに対して、一人一社制の復活を求める進路指導関係者は、「採用試験を受けても就職するとは限らないので、企業と学校との信頼関係が築けない」と批判している。
 確かに一人一社制は、就職状況が堅調なときには非常に有効な制度だ。高校生の就職状況の好転の中で、進路指導関係者が一人一社制の復活を求めるのは、ある意味で当然のこととも言える。だが、一人一社制の見直しには、不況による高卒採用枠減少への対応と同時に、生徒の進路選択の幅を広げるという狙いがあったことを見落としてはいないだろうか 。
依然として深刻な失業、早期離職
 6月に発表された青少年白書によると、青少年(15〜29歳)失業者は122万人、失業率は11.9%で、労働人口全体の失業率5.3%を大きく上回っている。また、高校卒就職者の早期離職率は、就職1年目が26.3%、2年目が14.7%、3年目が9.3%で、就職3年目までに5割以上が離職している。社会問題化したフリーターの増加への対策として、政府は「若者自立プラン」を策定し、「就職基礎能力証明書」の発行やジョブカフェなど、就労意欲や職業意識形成の支援に乗り出している。ところがアルバイトなどでまだ就業にかかわっているフリーターと異なり、全く就業する意欲も能力も持たないNEET(Not in Employment, Education or Training)と呼ばれる若者の出現が日本でも問題となり始めている。
 進路指導関係者の間では、就職についてよく「その時々の景気に左右され、学校でできることはあまりに少ない」と嘆く声が多いが、本当にそうだろうか。大学や専門学校に進学する生徒も、そのほとんどはいずれ就職して社会に出て行かなければならない。上級学校に進学する生徒たちに、職業意識の形成など就職に関する指導の充実が求められていると言える。就職指導と進学指導は別々のものではないはずだ。
 高校生の就職にやや明るさが見える反面、大学卒業者をはじめとする若者の就職状況が厳しい中で、教職員をはじめとする社会全体が、若者に対する職業意識形成の重要性を認識しつつある。今こそ、進路指導計画や進路指導体制の見直しに着手する好機ではないか。これだけ若者の就労問題が騒がれている時に、高校の進路指導の責任が、大きくなることはあっても、決して小さくなることはない 。
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高卒就職の5割以上が3年以内に離職 青少年白書(6月22日)
 内閣府は6月22日、「青少年白書」を公表した。それによると、青少年の失業率は依然として深刻な状況にある中、高校卒就職者の5割以上が3年以内に就職先を離職している。2003年中の青少年(15〜29歳)就業者数は1319万人で、前年と比べ42万人減少し、就業者総数に占める割合は20.9%(前年比0.6ポイント減)。青少年就業者が勤める業種は、「サービス業」「卸売・小売業」「製造業」の3分野が50.6%を占めている。青少年失業者は122万人で、年齢別にみると、15〜19歳が14万人(学生などを除く同年齢労働力人口に占める失業率は11.9%)、20〜24歳が54万人(同9.8%)、25〜29歳が54万人(同7.0%)となっており、労働人口全体の失業率5.3%を大きく上回っている。一方、高校卒就職者の離職率は、就職1年目が26.3%、2年目が14.7%、3年目が9.3%で、新卒採用の高校卒業者の5割以上が就職3年目までに離職していることになる。高校生の就職状況は、わずかながら好転の気配を見せているが、生徒と就職先のミスマッチは今後とも大きな問題となろう。
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