2004年7月26日
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キャリア教育のいまがわかるオンタイム・オンラインマガジン
◆◆◆ キャリアガイダンス@メール ◆◆◆ ∞ No.32 ∞
*発行:株式会社リクルート「キャリアガイダンス」編集部
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【変化する社会、人――高校教育のあり方とは?】
いま、「働く価値観」は多様化しています。
キャリア教育・進路指導においても、変化し続ける生徒個人個人の「興味」
「能力」「価値観」を踏まえることが必要とされています。「キャリアガイダ
ンス@メール」では、いま社会で変化しつづけている「働く価値観」をめぐる
オピニオンや最新のキャリア教育に関するニュース等をタイムリーにお伝えし
ます。ぜひご指導のご参考にしてくださいますようお願い申し上げます。
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@キャリア教育ニュース解説 Career Guidance Eye@ Vol.8
高卒就職好転の今こそ進路指導見直しの好機
〜生徒の社会性、勤労観、職業観の育成支援を〜
▼このNEWSを読む
●高卒就職の5割以上が3年以内に離職 青少年白書
(6月22日)
→全文はこちら
http://shingakunet.com/career-g/mmag/040712/news.html
実感としてはまだ不十分ながらも景気は回復基調に入っている。文部科学省
のまとめによると、高校卒業者の就職率はアップしており、長期間にわたって
低迷していた就職戦線にも好転の兆しが見え始めた。しかし、だからといって
喜んでばかりもいられない。このまま高校生の就職状況が回復していくとする
ならば、まだ不況の厳しさが残っているこの時期に、高校の進路指導では早急
に着手しなければならないことがあるはずだ。
●好転し始めた高卒就職状況
文科省が5月に発表した高校生就職状況調査によると、今春卒業者の就職率
は3月末現在で89.0%(前年同期比2.3ポイント増)と2年連続して上昇して
いる。見逃せないのは、都道府県別でも42都道府県の就職率が前年同期よりも
アップしている点で、高校生に限れば就職状況は好転に向かいつつあるようだ。
そんな雰囲気を反映するかのように、「一人一社制」を廃止した県の進路指導
関係者の一部から、制度の復活を望む声があがり始めているという。
企業の採用試験受験を一人一社に限定する制度は、高校生の就職慣行として
長い間定着しており、生徒を確実に就職させられるというメリットがあった。
しかし、長引く不況の中で、同制度が逆に高校生の進路を狭めているという文
科省の提言を受けて、見直しの機運が高まっていた。これに対して、一人一社
制の復活を求める進路指導関係者は、「採用試験を受けても就職するとは限ら
ないので、企業と学校との信頼関係が築けない」と批判している。
確かに一人一社制は、就職状況が堅調なときには非常に有効な制度だ。高校
生の就職状況の好転の中で、進路指導関係者が一人一社制の復活を求めるのは、
ある意味で当然のこととも言える。だが、一人一社制の見直しには、不況によ
る高卒採用枠減少への対応と同時に、生徒の進路選択の幅を広げるという狙い
があったことを見落としてはいないだろうか。
●依然として深刻な失業、早期離職
6月に発表された青少年白書によると、青少年(15〜29歳)失業者は122万
人、失業率は11.9%で、労働人口全体の失業率5.3%を大きく上回っている。
また、高校卒就職者の早期離職率は、就職1年目が26.3%、2年目が14.7%、
3年目が9.3%で、就職3年目までに5割以上が離職している。社会問題化し
たフリーターの増加への対策として、政府は「若者自立プラン」を策定し、
「就職基礎能力証明書」の発行やジョブカフェなど、就労意欲や職業意識形成
の支援に乗り出している。ところがアルバイトなどでまだ就業にかかわってい
るフリーターと異なり、全く就業する意欲も能力も持たないNEET(Not in
Employment, Education or Training)と呼ばれる若者の出現が日本でも問題
となり始めている。
進路指導関係者の間では、就職についてよく「その時々の景気に左右され、
学校でできることはあまりに少ない」と嘆く声が多いが、本当にそうだろうか。
大学や専門学校に進学する生徒も、そのほとんどはいずれ就職して社会に出て
行かなければならない。上級学校に進学する生徒たちに、職業意識の形成など
就職に関する指導の充実が求められていると言える。就職指導と進学指導は別
々のものではないはずだ。
高校生の就職にやや明るさが見える反面、大学卒業者をはじめとする若者の
就職状況が厳しい中で、教職員をはじめとする社会全体が、若者に対する職業
意識形成の重要性を認識しつつある。今こそ、進路指導計画や進路指導体制の
見直しに着手する好機ではないか。これだけ若者の就労問題が騒がれている時
に、高校の進路指導の責任が、大きくなることはあっても、決して小さくなる
ことはない。
このコーナーは次回から、毎月第2週配信号に掲載します。
▼この記事はキャリアガイダンス.netにも掲載しています
http://www.career-g.net/mmag/040726/eye.html
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@最前線! 職業人インタビュー@ vol.15後編
『13歳のハローワーク』を作った、ベストセラー編集者
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株式会社幻冬舎 常務取締役 編集本部・出版局担当
石原正康 氏
いしはら・まさやす●1962年、新潟県生まれ。高校時代からロック音楽に熱
中し、アマチュアバンドでギタリストとして活躍。ヤマハ主催の音楽コンテ
ストで新潟県の「ベスト・ギタリスト」に選出される。法政大学経済学部入
学後、85年から角川書店の「月刊カドカワ」編集部で、アルバイトで編集者
の仕事を始める。88年、担当した山田詠美氏の『ソウル・ミュージック・ラ
バーズ・オンリー』直木賞受賞で編集者として認められ、同社に入社、書籍
編集部に配属。93年、同社のトラブルを契機に、上司であった見城徹氏(現
・幻冬舎代表取締役社長)らと6人で退社し、同年11月の幻冬舎設立に参加。
常務取締役就任。
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※インタビュー:2004年6月23日
選択肢を広げて、好きなことを仕事にしてほしい
高校時代は、エレキギターの練習ばかりやっていました。高校の友人2人と
ロックバンドを組んで、ライブハウスとか、高校の文化祭とかで演奏して。ヤ
マハが主催する『イーストウエスト』という有名なコンテストがあって、新潟
県のベスト・ギタリストにも選ばれましたよ。当時は、将来はローリング・ス
トーンズに入りたい、って真剣に思っていた。親にそう言っても、本気にはし
てくれませんでしたがね。当時は、好きなことを仕事にすればいい、って思っ
ていましたね。
その頃は、別に文学青年ではありませんでした。高校の頃は、五木寛之さん
の『青春の門』を回し読みしていたくらいです。作文が得意だった、というこ
ともありません。市のコンクールで佳作を1回とったことがあるくらい。でも、
作家を目指していた学生の頃はかなり小説を読んでいました。1日1冊は読ん
でたかな。その頃は小説が面白くなって、ただ好きで読んでいましたね。やは
り好きなことが仕事になっていますね。
好きなことを仕事にするのは、簡単なことではないですね。とはいえ、これ
も見城から言われたことですが、編集者になるためには、別に文学全集を読む
必要はないんだ、と。それよりも、学生時代にスポーツを夢中でやるとか、何
かに熱中することが突破口になるんだと。それが編集者としてのいい感性に結
びついて、相手を自分の得意な世界に引きずり込めるようになることもあるわ
けですから。そういったように、自分の得意なこと、好きなことを突き詰めて
いけば、直接は関係のない世界でも通用するという側面はあるから、あきらめ
ずに続けていくことも大切かな、と思います。
そういう、得意分野を生かすような教育があまりされていない、という根強
い批判があるようですが、教育現場で認めてあげて、引っ張っていければいい
と思いますね。そういう意味でも、兵庫県でやっている、中学2年生が地域内
の企業や活動を1週間体験学習する「トライやる・ウィーク」は、非常にいい
試みだと思いますね。働いている生身の人間と出会えたり、作業を実践してみ
る社会体験を通じて、視野や選択肢が広がると思います。こういうことは、中
学2年のときだけでなく、いつやってもいいと思います。
たくさんの仕事を紹介した『13歳のハローワーク』がベストセラーになりま
した。この本では、514の職業を紹介しているんですが、ある高校生が「選択
肢がたくさんあるから気持ちが楽になった」と書いてきてくれました。選択肢
が多い、ということは、自由な気分になれますからね。それは、うれしい反響
でしたが、当初はこんなに売れるとは思ってなかったんです。初版も3万部で
したし。でも、各職業ごとに2人以上に話を聞いて書きましたから、おざなり
な紹介の仕方はしていないつもりです。
ところで、ぼくの知っている範囲の高校生たちは、みんな礼儀正しくて優し
い人ばかりですよ。村上龍さんの『ラブ&ポップ』という、女子高生の援助交
際を扱った小説を出すときに、15人くらいの女子高生に会って話を聞いたこと
がありました。みんな可愛かったですね。17歳という頃は、社会から遠いから、
それだけでチャーミングでいられるんだと思いました。その一方で、ある信託
銀行の就職セミナーに村上龍さんと行ったことがあったんです。相手は就活中
の大学3年生。服装は自由、と書いてあるのに全員スーツを着て、面白いこと
を言っても誰も笑わない。この会社に入れないと人生終わり、みたいに考える
と暗くなると思うんです。社会に近いからそう考えるのかな。
ある雑誌のインタビューで「駆け出し時代の気分をいつも持っていたい」と
発言したことがあります。社会で偉くなっていくと、地位が邪魔をする、とい
うこともあるわけです。会社ですから、組織を管理するという仕事もあります
が、編集者に関して言えば、作家に原稿を書いてもらうのが仕事で、それを忘
れたら出版社は成り立たないわけです。編集は、現場で本という形式になる前
の新しい価値を作る仕事をしているわけですから、若いときのピュアな気持ち
を失ってはならないと思うんです。
次回は、集客数を伸ばし続け、全国的に注目されている、北海道旭川
市「旭山動物園」園長 小菅正夫氏にご登場いただく予定です。
▼キャリアガイダンス.netにこの記事の全録版を掲載しています
http://www.career-g.net/mmag/040726/interview1.html
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@リレーエッセイ@
高校生がワカル、大人がカワル−8
『悪いジョーク』 精神科医 香山 リカ
大学生の就職問題を扱った本を出版したあと、いくつかの大学から講演会の
講師として招かれた。いずれも大学の教員主催ではなく、キャリア支援センタ
ー、いわゆるかつての“就職課”の事務方が主催する講演会だ。聴衆は支援セ
ンターなどの事務職員だったり学内の教員だったり。
学生の就職問題に携わって長いというある事務職員は、こんな話をしてくれ
た。「教授や助教授の中には、私たちの活動をよくわかってくれない人もいる
んですよ。“どうして就職率がもっと上がらないんだ。キミたちの指導が悪い
んじゃないか”と言う人もいるかと思えば、“就職だけが人生じゃないんだか
ら、そんなに学生をたきつけなくたって”と言う人も。もちろん私たちも就職
が学生の進路のすべてとは思っていませんが、就職しない学生の多くはほかに
進路を見つけることもできません。かといってその学生たちを指導するのは、
至難のワザなんですよ。だってその子たちは、支援センターに足を踏み入れて
もくれないんですから」
大学での私の経験から言うと、支援センターに行かない学生は「自分は就職
したいのかしたくないかもわからない。そんないいかげんな段階でセンターに
行っては悪い」と考えていることが多い。「じゃ、就職以外なら何がしたい?」
と聞いても、「うーん」と首をひねる。こちらがしびれを切らして「あなたは
社交性もあるし、人と接するような仕事が向いていると思うよ」とアドバイス
しても、「そんなもんですか」と他人事のような顔をしている。つまり、自分
の特徴や気持ちがまるでわかっていないのだ。
キャリア支援センターの講演会に呼ばれると、「教員たちも、まず学生が
“自分はどういう気持ちなのか”をしっかり見つめられるよう、指導する必要
がある」といった話をする。そうすると事務方の人たちは、「そうだそうだ」
と言わんばかりにうなずく。その表情からは「ウチの就職率が高くないのは、
私たちの技術不足ではありません。先生たちが、学生が自分に向き合えるよう
指導し、支援センターに来られるよう“支援”してもらわなきゃ、何も始まら
ないんです」といったことばが聞こえてくる。
キャリア支援センターに行く支援をする、と言うのもおかしな話だが、それ
くらいしないと若い人たちは自分を見つめ、社会に足を踏み出す準備もできな
いのだ。そうだとしたら、高校はさしずめ「社会に出るための支援センターに
行く支援の支援をするところ」とでもなるのだろうか?悪いジョークのようだ
が、かなり深刻な問題だと思う。
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執筆者プロフィール
かやま・りか 精神科医・帝塚山学院大学人間文化学部教授。1960年札幌市
生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。現在も 臨床を行い
ながら新聞、雑誌で社会批評、書評なども手がけ、現代人の“心の病”につ
いて洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカ
ルチャーにも関心を持つ。主著に『切ない…。』(青春出版社)、『「愛国」
問答』(中公新書ラクレ)ほか多数。
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次回は、予備校講師 飯田高明氏の執筆です
▼この記事はキャリアガイダンス.netにも掲載しています
http://www.career-g.net/mmag/040726/column.html
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編集長 : 角田 浩子
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