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キャリア教育ニュース解説
(2004年9月13日掲載)

  文部科学省はさきごろ、 21世紀の高等教育のグランドデザインを審議している中央教育審議会大学分科会に、「大学全入時代」が従来の推計よりも2年早い 2007年度に到来するとの試算を報告した。3年後の大学入試は、入学定員と志願者数が同数になる。大学全入時代は、高校の進路指導にどのような変化をもたらすのか。また、これからの進路指導はどうあるべきなのか。

全入時代は同時に大学淘汰の時代

 大学・短大志願者数と入学定員が同数になり、志願者は必ずどこかの大学・短大に入れる大学全入時代は、 1997 年に当時の大学審議会(現在は中教審大学分科会)が到来を予測した。その時期は 2009年度とされていたが、最近の入試状況をもとに推計をやり直した文科省は、到来時期を 07年度に修正した。修正を迫られた最大の原因は、予想外の大学・短大志願率の伸び悩みだ。前回の推計では、現役大学・短大志願率が 06年度に 60 %を突破し、 09年度は 62.9%になるとされていたが、実際には今春入試でも志願率は 56 %を超えていない。
  大学全入時代の影響として最も懸念されているのが、大学の経営危機だ。日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、 04年度で私立大学の約 3 割に当たる 155校が定員割れしており、その数は過去最高となっている。大学全入時代になれば、経営危機に陥る私立大学が増加すると見られており、高校の進路指導でも志望先の大学や短大の将来性にまで目を配ることがより求められる。私立学校法の改正で、来年度からすべての学校法人に財務情報の公開が義務付けられている。高校は、経営状態に関する大学情報には今まで以上に注意を払う必要があるだろう。

必要なのは進路意識形成の支援と確かな目
  もう一つ懸念されるのは、生徒の進学先の安易な選択の増加だ。現在でも推薦入学やAO入試などが、一部で学生の「青田買い」になっていると問題視する指摘もあるが、学生確保に向けた争いがさらに厳しくなる大学全入時代にはこの傾向に拍車がかかることは必至だ。こうした状況の中で、生徒が入学しやすさなど目先の理由で安易な選択をしないようにするためにも、 1 年次から 3 年間を見通したキャリア教育などを計画的に実施することが求められている。
  また、これは大学教育の質という問題にもかかわってくる。文科省は現在、大学の学部・学科新増設の認可方式を廃止し、学部再編による新学部設置の場合、与える学士号が以前の学部と同様ならば、認可申請は不要で届け出だけでよいとしている。だが、大学関係者の間では、「従来なら認可審査に通らなかったような学部が新設される」と一部でささやかれている。これは、ある程度知名度が高い大学も含まれているという。
  その一方で、全国的には知名度が高いとは言えないものの、学生に対する教育力や専門分野の研究水準などで、大学関係者の間で高い評価を受けている大学も少なくない。
  高校現場では、どうしても有名大学への合格率や進学者数など表面的な結果に関心が集まりがちだ。しかし、大学全入時代には、「どこで何を学ぶのか」という生徒の進路意識形成への支援が、ますます重要になってくるだろう。同時に教員にも、大学や学部の中身を見極める確かな目がこれまで以上に求められるのは言うまでもない。
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07年度に大学全入時代到来 文科省が推計を修正(7月23日)
  文部科学省は7月23日、「大学全入時代」の到来が従来の推計よりも2年早まって、2007年度となるとの見通しを中央教育審議会大学教育分科会に報告した。大学の入学定員と大学志願者が同数になる、いわゆる「大学全入時代」は、97年の旧文部省の推計では09年度に到来するとされていた。しかし、中教審で21世紀の高等教育の在り方が審議されていることを受けて、推計を見直した結果、大学志願率が予想よりも伸びていない半面、入学定員が大学新増設により増加していることなどから、従来推計よりも2年早く大学全入時代が到来すると推計を修正した。ただ、日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、04年度で私立大学の約3割に当たる155校が既に定員割れを起こしており、大学や予備校関係者の間では、大学全入時代は実質的に始まっているという認識が強い。いずれにしろ今後は、知名度が高く受験者が集中する大学と、入試の段階から既に定員割れしているような大学という二極化構造が広がることは確実だ。こうした状況を受けて中教審は、「21世紀日本の高等教育の将来構想」の中間報告を近くまとめ、大学の在り方に関する方針を示す予定だ。
http://www.shigaku.go.jp/
shigandoukou16.pdf
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