2004年9月13日
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キャリア教育のいまがわかるオンタイム・オンラインマガジン
◆◆◆ キャリアガイダンス@メール ◆◆◆ ∞ No.34 ∞
*発行:株式会社リクルート「キャリアガイダンス」編集部
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【変化する社会、人――高校教育のあり方とは?】
いま、「働く価値観」は多様化しています。
キャリア教育・進路指導においても、変化し続ける生徒個人個人の「興味」
「能力」「価値観」を踏まえることが必要とされています。「キャリアガイダ
ンス@メール」では、いま社会で変化しつづけている「働く価値観」をめぐる
オピニオンや最新のキャリア教育に関するニュース等をタイムリーにお伝えし
ます。ぜひご指導のご参考にしてくださいますようお願い申し上げます。
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@キャリア教育ニュース解説 Career Guidance Eye@ Vol9
「大学全入時代」到来の早期化で大学は変わるのか?
〜生徒のキャリア発達を意識した進路指導と真の選択眼を〜
▼このNEWSを読む
●07年度に大学全入時代到来 文科省が推計を修正
(7月23日)
→全文はこちら
http://www.career-g.net/mmag/040913/news_jump.html
文部科学省はさきごろ、21世紀の高等教育のグランドデザインを審議してい
る中央教育審議会大学分科会に、「大学全入時代」が従来の推計よりも2年早
い2007年度に到来するとの試算を報告した。3年後の大学入試は、入学定員と
志願者数が同数になる。大学全入時代は、高校の進路指導にどのような変化を
もたらすのか。また、これからの進路指導はどうあるべきなのか。
●全入時代は同時に大学淘汰の時代
大学・短大志願者数と入学定員が同数になり、志願者は必ずどこかの大学・
短大に入れる大学全入時代は、1997年に当時の大学審議会(現在は中教審大学
分科会)が到来を予測した。その時期は2009年度とされていたが、最近の入試
状況をもとに推計をやり直した文科省は、到来時期を07年度に修正した。修正
を迫られた最大の原因は、予想外の大学・短大志願率の伸び悩みだ。前回の推
計では、現役大学・短大志願率が06年度に60%を突破し、09年度は62.9%にな
るとされていたが、実際には今春入試でも志願率は56%を超えていない。
大学全入時代の影響として最も懸念されているのが、大学の経営危機だ。日
本私立学校振興・共済事業団の調べによると、04年度で私立大学の約3割に当
たる155校が定員割れしており、その数は過去最高となっている。大学全入時代
になれば、経営危機に陥る私立大学が増加すると見られており、高校の進路指
導でも志望先の大学や短大の将来性にまで目を配ることがより求められる。私
立学校法の改正で、来年度からすべての学校法人に財務情報の公開が義務付け
られている。高校は、経営状態に関する大学情報には今まで以上に注意を払う
必要があるだろう。
●必要なのは進路意識形成の支援と確かな目
もう一つ懸念されるのは、生徒の進学先の安易な選択の増加だ。現在でも推
薦入学やAO入試などが、一部で学生の「青田買い」になっていると問題視す
る指摘もあるが、学生確保に向けた争いがさらに厳しくなる大学全入時代には
この傾向に拍車がかかることは必至だ。こうした状況の中で、生徒が入学しや
すさなど目先の理由で安易な選択をしないようにするためにも、1年次から3
年間を見通したキャリア教育などを計画的に実施することが求められている。
また、これは大学教育の質という問題にもかかわってくる。文科省は現在、
大学の学部・学科新増設の認可方式を廃止し、学部再編による新学部設置の場
合、与える学士号が以前の学部と同様ならば、認可申請は不要で届け出だけで
よいとしている。だが、大学関係者の間では、「従来なら認可審査に通らなかっ
たような学部が新設される」と一部でささやかれている。これは、ある程度知
名度が高い大学も含まれているという。
その一方で、全国的には知名度が高いとは言えないものの、学生に対する教
育力や専門分野の研究水準などで、大学関係者の間で高い評価を受けている大
学も少なくない。
高校現場では、どうしても有名大学への合格率や進学者数など表面的な結果
に関心が集まりがちだ。しかし、大学全入時代には、「どこで何を学ぶのか」
という生徒の進路意識形成への支援が、ますます重要になってくるだろう。同
時に教員にも、大学や学部の中身を見極める確かな目がこれまで以上に求めら
れるのは言うまでもない。
このコーナーは毎月第2週配信号に掲載します。
▼この記事はキャリアガイダンス.netにも掲載しています
http://www.career-g.net/mmag/040913/eye_jump.html
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@最前線! 職業人インタビュー@ vol.16後編
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旭川市旭山動物園 園長
小菅正夫 氏
こすげ・まさお●1948年札幌市生まれ。73年に北海道大学獣医学部を卒業後、
獣医師・飼育係として旭川市旭山動物園に入り、95年、園長に就任。研究分
野は鳥類の染色体、猛禽類の野生復帰、野生動物医学。現在、日本動物園水
族館協会 種保存委員会 猛禽類別調整者・環境猛禽類保護増殖専門員、日
本野生動物医学界評議員を務める。「ものがたり絵本 だれも知らない動物
園シリーズ3『動物園は雪のなか』」(農山漁村文化協会刊)の文を執筆
(絵はあべ弘士氏)。
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※インタビュー:2004年7月5日
勉強とは、役立つ・役立たないではなく、自分を作るためにすること
高校時代は柔道をやっていて、部活ばかりの日々でした。北大に入ったのは、
柔道部が強かったからなんです。勉強のことより、「北大柔道部へ入学する」
ことが夢でしたね。事実、勉強なんかしているヒマはありませんでした。柔道
部だけじゃなくて、レスリング部やラグビー部、応援団まで顔を出していた。
力が強かったからか、応援団では野球の試合で旗持ちまでやりましたよ。そん
なんで毎日大変でしたねぇ。
入学のときは理類で入って、学部は2年のときに決めたと思うんですが、オ
リエンテーションのときに獣医学部の教授が馬の手術してくれてね、それがカッ
コよかった。それで獣医学部に入ってしばらくは、牛や馬の獣医になろうと思っ
ていました。当時は、卒業すると役所に入って畜産行政に携わるか、地方で酪
農などの獣医になるか、街で小動物の病院を開業するのが一般的な進路でした
から。
それが、旭山動物園に入ったというのは、ちょっと悲惨なことがあったから
なんです。牛や馬の獣医になるためには、いろいろな技術を身につけなければ
ならないんですが、その中に繁殖させるための種付けがあるんです。メスの直
腸に手を突っ込んで、卵巣や子宮を触って確かめるんですが、なんと僕は腕が
太過ぎて入らなかった。4年の6月にもなって、それでは獣医は無理だと。ど
うしようかと思いましたが、公務員になるのはいやだし、ほかになりたい仕事
もイメージできません。悶々とする日々の中、それでもなんとか柔道と勉強は
必死にやっていました。そうしたら、3月の卒業間際になって、突然旭山動物
園から求人が来たんです。教授から呼ばれて、開口一番「キミしかいない!」っ
て言われまして。ほかの学生はみんな就職決まっていましたからね。
結果的には大幸運でした。今では、旭山動物園は自分の人生そのものですか
ら。動物園に入ったことで、好きな動物を科学的に見ることができるようにな
りました。獣医としても、オス・メスを分ける染色体の研究や、希少動物の繁
殖などを研究してきました。また、動物園という場を使った教育活動について
も研究を進めています。
教育現場に対しては、ひとつだけ持論があるんです。勉強しない子どもに対
して「何々の役に立つから勉強しろ」というのは間違っていると思います。勉
強とは、役立つ・役立たないではなくて、自分を作るためにすることです。よ
く、サイン・コサインなど三角関数を勉強しても実生活で使ったことがない、
役に立たないことを教える、と批判されることがありますよね。とんでもない
と思いますよ。三角関数という積み木を1個持つことができれば、それだけ高
い塔にすることができると思うんです。実生活に役立つ知識だけでは細い塔で
終わる。無駄と思える雑学でも、それに支えられて太い塔に積みあげていける
んです。子ども時代にケガして覚えたこと、経験したスポーツ、ケンカしたイ
ヤな奴、どれをとっても人間形成にムダなものは一つもないと思います。
高校生の時期にしかできないことというのがたくさんあると思うんです。勉
強よりもやりたいことがあれば、勉強なんてしなくてもいいぐらい。「点を取
れないからしない」「受験に役立たないからしない」という理由でやらないの
はもったいないと思いますね。私の知人は、大学受験で合格したらそれで親へ
の義理は果たした、と言って入学せず、就職しました。それでやりたいことを
見つけ、勉強し直したいと専門学校に通っているんです。そういう生き方でも
いいと思います。
僕が大学4年の就職で悩んでいる頃、柔道部の先輩に「迷ったらじっくり考
えると良い。人生は長い。焦る必要は全くない。しかし、人生は有限だよ」っ
て言われたことがあるんです。それで自分らしく生きていこう、と前向きに考
えられるようになりましたね。珠玉の一言です。
次回は、年間5億円を売り上げる浪速のカリスマ添乗員
株式会社日本旅行の平田進也氏にご登場いただく予定です。
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@リレーエッセイ@
高校生がワカル、大人がカワル−10
『ハーバード流、充実した大学生活の送り方』
米在住カウンセラー 大谷 彰
アメリカの大学では毎年7月から8月にかけてオリエンテーション花盛りと
なる。筆者の勤めるメリーランド大学でも9月に始まる新学期に先がけ、新入
生、およびその親たちが団体で1泊2日のオリエンテーションに連日押し寄せ
てくる。大学のキャフェテリア(学食)で食事をとり、ドーミトリー (学生寮)
に体験宿泊してもらうのであるが、日中は大学ぐるみで親子別々に様々なプロ
グラムが組まれている。筆者たちカウンセラーも、新入生がこの大学でサクセ
スするためにどうすればよいかについてミニ講義を行わねばならない。
生き生きとして、張りのある、実り豊かな大学生活を送るための条件とは何
か?
アメリカ屈指の名門ハーバード大学が、学業で好成績を修め、大学生活全般
において大いに満足していると答えた卒業生1600人を対象に実施したアンケー
ト調査結果がこの問いに答えるヒントを与えてくれる。この報告書から日本の
現状に見合うと思われる項目をいくつか拾って考察してみよう。
まず一番に目につくのは「最低1人、できれば数名の教授と親しくなれ」で
ある。アメリカの大学に限らず、教師と生徒の関係希薄化は日本の高校・大学
教育でも深刻な問題となりつつある。真の教育とは単なる知識の伝達ではなく、
教える者と学ぶ者との人間関係を基盤に、自己と社会、ひいては様々な現象を
理解してゆく過程にほかならない。このプロセスにおいては、教師と生徒の積
極的な関わりが不可欠とされる。これを無視して単に知識だけを提供すること
は、頭デッカチで性格に歪みがあったり、対人関係が未熟な人物を生んでしま
う結果となりかねないであろう。
ハーバードの調査はまた「外国語を学べ」と勧めている。アンケートに応
じたエリート卒業生の60パーセントが、外国語学習は「キツイが本当に楽しかっ
た」と回想する。英語熱の高い日本人が喜びそうな結果であるが、なぜ外国語
の履修が大学生活に満足をもたらすのであろうか?留学したいからといった、
日本でありがちな理由とは全く違い、報告書によると「語学クラスは少数制で、
サボることが許されず、しかもグループで勉強する機会が多い」からと指摘し
ている。さらに「小さな試験が頻繁にあり、途中で1つのテストに失敗しても
やり直しが利きやすい」という功利面も、成績を重視するハーバードの学生た
ちは見逃していない。このアドバイスが特に興味深いのは、外国語の習得その
ものよりも、少数の集団で学ぶという学習環境に焦点が当てられていることで
ある。先に述べた、教師と生徒の繋がりを縦糸とするなら、ここで強調される
生徒間の関係はまさに横糸と言ってよい。大学という環境のもと、この縦横2
本の糸が織り合わさって、学生一人ひとりに個性豊かな人生の絵模様が創造さ
れてゆくのである。
調査結果にはこの他、「時間を考慮せよ」、「幅広い科目を取れ」、「グル
ープで勉強せよ」、「文章力を身につけよ」など、ごく普通のアドバイスが目
立つ。しかし、こうした当たり前の事柄こそ、学生生活を実り多いものにする
根本原理と言えよう。それゆえ、これらはハーバード大学という恵まれた環境
におかれた学生にとってだけでなく、日本をはじめ世界で共通するものだと考
えてよい。
オリエンテーションのミニ講義は、アンケートにリストアップされた最後の
言葉、すなわち「学業以外にも多くのことを体験せよ」で締めくくられる。ハ
ーバードの調査が明らかにしたところによると、勉強だけに打ち込む「ガリ勉
タイプ」よりも、奉仕活動など学業以外にも精を出す「何でも見てやろうタイ
プ」の学生のほうがむしろ優秀な成績を収め、学生生活に対する満足度も高い。
一言で言うなら、バランスの取れた、積極的な大学生活を送る学生がベストな
のである。ハーバード大学卒業生が教えるこれらの教訓、日本の学生や教育者
の方々にも示唆するところが多いのではなかろうか?
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執筆者プロフィール
おおたに・あきら メリーランド大学カウンセリングセンター、シニア・サ
イコロジスト。1955年大阪生まれ。高校在学中に米国オハイオ州へ1年間、家
庭滞在留学を体験する。帰国後、上智大学外国語学部英語学科に入学し、卒
業と同時に再度渡米、西バージニア大学院にてカウンセリング心理学を修め
る。教育学博士。ジョンズ・ホプキンス大学助教授を経て1989年よりキャリ
アと臨床心理のカウンセリング実践を行う一方、GCDFインストラクター、京
都ノートルダム女子大学客員教授として日米で積極的に研修・講演活動を行
う。著書に『カウンセリング・テクニック入門』(二瓶社)はじめ論文多数。
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次回は、精神科医の香山リカ氏の執筆です
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