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キャリア教育ニュース解説
(2004年10月12日掲載)

 東京都教育委員会の「公立学校の授業力向上検討委員会」は9月9日、教員研修などのコーディネーター的役割を担う「授業力リーダー」を養成することを求める報告書をまとめた。いわば「先生の先生」を育成しようという提言。中でも特に教科などの「授業力」の高い教員を「授業力スペシャリスト」に認定し、処遇面でも優遇を図る方針を打ち出している。全国的に教員への実績・能力主義導入が検討されているが、授業力に重点を置いた教員評価方式は注目を集めそうだ 。

導入相次ぐ教員への人事考課制度

 現行でも制度的には勤務評定があるものの、公立学校教員の給与はいわゆる年功序列型となっている。管理職以外はみな同格という学校組織のあり方や自律性の高い教員の職務内容から、これを肯定する意見も多い一方で、努力してもしなくても給与は平等という実態に不満の声も少なくなかった。こうした中、2000年度に導入した都教委を皮切りに、教員に対する人事考課制度導入の検討、実施が全国的に進んでいる。
  また、国立大学の法人化により公立学校教員給与の準拠規定となっていた国家公務員の教育職俸給表が廃止され、今年度から公立学校教員給与・手当の決定は各都道府県の裁量となっている。さらには、政府が06年度に予定する公務員制度改革に合わせた、公立学校教員の給与制度改革が検討されている。ただ、教員の実績・能力をどう判定するか、実質判定者となる管理職の資質向上など課題は少なくない。
 その一方で、指導力不足などいわゆる問題教員の存在に社会的な批判が集まっている。中央教育審議会は05年度中に指導力向上のために教員養成専門職大学院の設置を求める答申をまとめる見通しだ。このため、都道府県教委の中には、教諭の処遇改善の一つとして、主任の準管理職化など職制に関する改革以外に、指導力のある教員の優遇を検討している例もある。

「よい授業」とは何か、問われる
  都教委の検討委員会の報告書では、区市町村教委や校長の推薦を受けた若手教員を「東京都教師道場」(仮称)で2年間にわたって研修させ、その修了者を授業力リーダーに認定。教科研修や校内研修のコーディネーターとして任用するほか、その中からさらに優秀な教員を授業力スペシャリストとして選抜し、役割に応じた処遇の改善を図るという。教師道場は06年度、授業力リーダーの認定は08年度からスタートする予定だ。

 教員給与への実績・能力主義の導入には、教職員組合を中心に依然として反対意見が根強く残っているが、教員の最も大きな仕事が授業であることを考えると、授業力に重点をおいた教員評価と処遇改善は、比較的に賛同を得やすいだろう。教員全体の指導力向上にも効果が期待できる。
  報告書は、授業力向上へリーダー的存在の教員の育成、処遇改善対象者の認定方法などの具体的な構想を全国に先駆けて示しており、今後、大きな影響を及ぼすことになろう。
  ただ、他の教員評価と同様に、授業力をどう判定するのかという課題も残されている。単にクラスの平均点を上げるだけが授業力ではないはずだ。その意味で、東京都でも02年度から都立高校に導入している生徒による授業評価の試みは注目される。
  教員評価は、評価基準や評価者の資質などに疑問を投げかけられがちだが、意欲と能力のある教員をさらに伸ばすという視点で運用されれば、成果は大きいはずだ。同様に授業力の評価に当たっても、公平で透明性のある基準作りのほかに、生徒や保護者らの意見を反映させる仕組みが不可欠だ。
 生徒や保護者も含む教育関係者が一体となり、「よい授業とは何か」「教員の指導力とは何か」を真剣に考える必要がある 。

このNEWSを読む
授業力高い教員に優遇措置 東京都(9月9日)
  東京都教育委員会の「公立学校の『授業力』向上検討委員会」は9月9日、教員の授業力向上のために「東京教師道場」(仮称)の設置や授業力が特に高い教員に給与などの優遇を図ることなどを内容とする報告書をまとめた。「東京教師道場」は、都立高校長や市区町村教委から推薦された若手教員が、 2 年間にわたってベテラン教員の指導の下で授業を通した研究・協議を行い、授業力の向上を図るもの。修了者は「授業力リーダー」に認定される。さらに、「授業力リーダー」の中で優秀者は「授業力スペシャリスト」に認定され、一般教員よりも処遇面で優遇するとしている。都教委は 2006 年度からスタートさせる方針だ。学力低下批判や教員の不祥事の増加などを受けて、都道府県教委の多くは教員の指導力向上に力を入れているほか、 06 年度に予定されている政府の公務員制度改革に合わせて、能力・実績主義を教員給与制度に導入する方向で検討している。しかし、教員の能力・実績をどう判定するかが課題となっており、授業力に重点を置いた東京都の構想は、全国的にも大きな注目を集めそうだ。
http://www.kyoiku.metro.
tokyo.jp/press/pr040909
.htm
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