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リレーエッセイ 高校生がワカル、大人がカワル
(2004年11月22日掲載)

 真剣に進路を絞る時期に入った我が塾生たちの質問の内容が真実味を帯びてきた。「すべり止めはどこがいい?」、「獣医を目指してるけど、受験でダメだったらどんな学部に行けばいい?」、「医学部以外で免疫学を扱っている大学ある?」。この時期は、教科の内容よりも進路相談が大半であり、当然一人当たりの質問時間が長くなって非常につらい。

 質問を受けていると塾生からこんな愚痴がよく出る。「最近、やる気が出ない」、「机に向かってもボーっとなっちゃう」、「何をしていいかわからなくなる」、「先生は受験の頃、どうやってやる気出した?」…いわゆる受験ストレスである。こういう子の場合、よく話を聞いてやることにしている。悩みを打ち明けるだけで、結構ストレス解消になっていることが多いからだ。

 そこで、よく話を聞いてみる。すると、これらの悩みを抱えている子たちには共通点が見られる。まず、我が教え子の中でも真面目に勉強をするタイプに多く、どうやらストレスの解消法がわからないようなのだ。「最近、息抜きしてる?」と聞くと、「息抜きしている余裕なんてないよ」、「息抜きってどうやればいいの?」、「一度怠けると怠け癖がついちゃう」。これではストレスも溜まるはずである。「毎日同じことを繰り返していると、疲れるのは当たり前なんだよ」と諭しても、「だって、勉強のペースが乱れる」、「休んだら他の子に追い越されちゃう」…もっともな御意見である。

 しかし、このまま放置する訳にはいかない。悩む時間だけが過ぎ、確実に勉強の能率が落ちる。「今度、一日だけ思いっきり遊んだら?」とアドバイスする。休むことがいかに長期戦を戦い抜くために必要かを説く。最後に「休む勇気を持ちなさい」。これが私の殺し文句である。

  私の受験のときは、不真面目だったこともあり、受験勉強の合間に親の目を盗んで悪友と趣味の釣りに出かけたものである。結果的にそれがストレス解消になっていたのであろう。長期戦を乗り切った秘訣がそこにあったように思う。その話をすると、「それじゃあ今度の模試の後、カラオケ行ってみるよ」、「普段の勉強の量を少し増やして、時間をつくってみるよ」。こんな真面目な言葉が返ってくる。もっと気楽に構えてくれるといいのだが…。予備校講師が「勉強しろ」という時代から「休め」という時代に変わってきた。立場上、「休め」と言うのは勇気がいるものなのだが…。
飯田 高明
【プロフィール】
いいだ・たかあき
河合塾講師*1968年三重県に生まれる。広島大学教育学部(理科)卒業後、同大学院理学研究科博士課程に在籍中の1995年より、河合塾広島校で生物を担当。2000年より、東京地区へ移籍し、現在、東大オープンや全統マーク模試をはじめとする模擬試験やテキストの執筆を手がけ、東京と広島を毎週往復し、生物の講義を行う。人気、実力ともに高い評価を得ている名物講師*著書に「こだわって!国公立二次分野問題集(河合出版 小畑成美・前田真共著)」がある。
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