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ぜにや・みゆき
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1962年、東京都生まれ。84年、東京外国語大学外国語学部卒業後、野村総合研究所に入社。2年後、米スタンフォード大学に1年間留学。帰国後、ジャーディン・フレミング投資顧問(現・JPモルガン・フレミング・アセットマネジメントジャパン)に入社。結婚・出産のインターバルの後、95年、転職支援を手がけるヒュー・マネジメント・ジャパンに設立とほぼ同時に入社。常務取締役管理本部長などを歴任の後、2004年4月、西京銀行に顧問嘱託として入社。同年6月、専務取締役兼専務執行役員東京本部長に就任。日本の働く女性たちに、ビジネスの分野で成功するためのトレーニングプログラムを提供するNPO法人ジュエルのアドバイザーも兼ねる
(2004年12月6日掲載)
※インタビュー:2004年11月2日
― 銭谷さんは、日本の銀行では初の女性の常勤役員に就任され、注目を集めていらっしゃいます。まずは抱負からお聞かせください。
個人的には、できるだけ早く実績を上げて、意欲を持って働く女性にとって励みとなれるような存在になれればと思っています。というのも、男性の経営者には普通に業績などについて問われるのに対し、女性には、業績よりも個人的なことを聞かれますよね。私は女性として云々でこの銀行に転職したわけではありませんから、後輩や同世代の働く女性が社会的に正当な評価をされるためにも、早く実績を上げていきたいということです。西京銀行で役員になれた理由は、世の中の流れが変わってきていることや、この仕事にやりがいを感じることができたからです。業績数字を上げるということに対しては、前職から携わってきていましたし、イメージではなく数字を上げることが一番正しいことだろうと思っています。
― おっしゃった世の中の流れの変化とは、価値観が多様化して女性でも活躍できるチャンスが増えた、といったことですか。
そうですね。実は私はもう一つ、ジュエルというNPOのアドバイザーにも就いているんです。リーダーになりたい女性を支援することを目的に、今年の2月に設立されました。設立の背景には、頑張ってやっていきたくても、女性にはなかなか機会が与えられないという現状があり、そんな世の中に一つ一つ風穴を開けていきたいということがあります。
元々、野村総研にいたこともあって、金融界にもかかわってきたのですが、金融界は女性の活用に関して、産業界の中で一番遅れているんです。その前に、そもそも日本は先進国の中で女性の活用が最低のレベルです。つまり、最低の中の最低である金融界(笑)で、女性の私が実績を上げれば、世の中の女性にとって大きな励みになるだろうということですね。
― 西京銀行は、山口県を本拠とする地方銀行ですが、「レディースバンク戦略」を立ち上げて女性向けの商品を開発されたり、また採用面や人材育成の面でも女性の活用に力を入れていますね。
「imadess(イマデス)」という、女性が自己研鑽するための入学金や授業料、教材費などの資金としてご利用いただけるローン商品や、「femistory(フェミストリー)」という女性向けのマンション購入ローンを開発しました。
採用では、3年前から総合職は女性の割合を4割にするという目標を掲げて取り組んでいます。本年度は24人中11人と半数近く採用しました。それに、一般職の女性を管理職に積極的に登用する「主査制度」も導入しました。10年くらい経験した人に、支店の内部管理のヘッドになってもらうという主旨です。支店長が2年ほどのローテーションで入れ替わるのに対して、一般職は地元に密着しますから、支店の運営上、内部管理がきちんと継続されるメリットがあるんです。また、一般職から総合職への転換制度もあるのですが、これはあまり活用されていなかったので、私のほうでテコ入れをしました。彼女たち自身に、本当に手を挙げていいものかという遠慮があったのと、支店長によって制度を活用するよう声をかける、かけないのバラつきがあるんです。それがいい悪いではなく、制度に関する認識がそういうものでしかなかったということで、半年ごとに定期的に転換試験を行うことにして、会社の姿勢を示しました。会社の姿勢を示した、ということでは、本店の近くに地銀で初めて企業内託児所を開設しました。これら一連の取り組みで、昨年6月、厚生労働大臣から「均等推進企業優良賞」を受賞しました。
―素晴らしいですね。
さらに、私としては実際に総合職がどんな仕事をどんな思いでしているのかを知りたかったので、3年以上の経歴のある人全員と面談しました。総合職は今までローテーション人事を行ってきましたが、面談を踏まえて全員に適性検査を受けてもらい、今後は適材適所の人事に移行することにしました。そういった中で、実際に優秀な女性総合職から支店長が生まれましたし、本部の戦略部門に配置することもしました。女性社員は、会社が本気であることを知って今まで以上にモラルアップしてくれていますし、男性にとっても、負けていられないという良い刺激になっていると思います。
― 男性、女性を分けるのは意味がないことですね。
適性を見て配置するだけです。公平に実力主義を貫いていけば、要所の男女比率は自然に半々になっていくと思います。最近の若い男性にも、旧来型の「男はかくあるべき」といった発想は嫌だと思う人も出ていますね。長男だから転勤したくない、という人もいる。これはまだ実現していませんが、男性の総合職から一般職への転換制度もあっていいと思います。個々人のやりがい、モチベーションは違いますので、柔軟に、自由に考えればいいのではないでしょうか。
― ところで、銭谷さんが西京銀行に転じられたのには、どういった経緯があったのでしょうか。
以前、在籍していた会社の顧問弁護士が日本銀行のOBの方だったのです。経営アドバイザーとして10年ほどのお付き合いがありましたので、私の考え方や仕事の進め方をよくわかっていただいていました。その方が、4〜5年前に日銀時代の後輩で女性を登用しておられる西京銀行の大橋頭取をご紹介くださり、頭取が参加されている異業種交流会にお誘いいただいてコミュニケーションを続けていた、というところです。
―現在の主なお仕事の内容は 。
地銀はどこも地場の貸し出しが伸び悩んでいますが、東京ではシンジケートローン(
*1
)などいろいろな商品を扱うことができます。貸し出しだけではなく、ベンチャーファンドや再生ファンド(
*2
)に投資をしたり、M&A(
*3
)といった手数料ビジネスのウエイトを高めたりしていかなければなりません。それを行うには、山口県内の従来のネットワークとは違うものが必要です。私は東京生まれの東京育ちで、前職も東京で働いていましたから、東京には大手証券会社などのネットワークがあります。それで、東京本部には本店から債券や株の運用部門を移管しました。また、専務として経営戦略全般を見ていますが、東京にいることで大きな流れをつかむことができると思っています。
― 西京銀行では、「しあわせ市民バンク」融資制度という、コミュニティビジネス(
*4
)の起業を志す人を支援するサービスもされていますね。
山口県は、コミュニティビジネスを起業する女性が日本で一番多いところなんです。無担保・無保証人で、「夢作文」を書いていただいて熱意を審査するというものですが、いままで融資して潰れたものは1つもありません。ベンチャー企業といっても、株式の公開による一攫千金を目指すような人ばかりでなく、このように地域に貢献する形で活動することを志す人も多くいるんです。日本は、国全体で中小企業が圧倒的に多いですから、草の根レベルでこういった起業を支援していくことが、日本の経済基盤をつくることにつながると思ってやっています。
―東京と山口を行ったり来たりですか 。
3分の2は東京で、3分の1は山口といった感じですね。テレビ会議システムがありますから、それも活用しています。
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