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キャリア教育ニュース解説
(2005年1月11日掲載)

 経済開発協力機構(OECD)が昨年12月、「国際学習到達度調査」(略称PISA)の2003年版の結果を発表した。国際的に見て、日本の子どもの学力が低下していることが証明された。これを受けて、学力向上のための授業時間数や教育内容の増加を求める声が高まっている。しかし、性急な学力向上を唱える前に、もう一度冷静にPISAの結果を見詰め直すことが必要だろう。

学力低下を認めた文科省

 PISAは、41カ国・地域の15歳児(日本は高校1年生)の総合的学力を測る調査。今回の結果を、前回の 00 年調査と比較すると、日本は読解力を中心に順位を悪くしている。「科学的リテラシー(活用力)」は2位を維持したものの、「読解力」は8位から14位と大きく後退し、「数学的リテラシー(活用力)」も1位から6位へと順位を下げた。さらに、「読解力」の成績を6段階に分けて分析すると、日本は最低レベルが前回2.7%から上昇して7.4%で、 OECD 平均6.7%を上回った。また、参加国全体の平均が8.9時間だった学校以外での週平均の勉強時間は、日本の場合、6.5時間と学習意欲の不足が浮き彫りになった。文部科学省は、「わが国の学力は国際的に見て上位にあるが、最上位(世界トップレベル)とは言えない状況」にあるという異例のコメントを発表し、初めて公式に日本の子どもの学力が低下していることを認めた 。

本当に求められているものは何か
 だが、PISAの結果をよくみると、日本の子どもが抱える問題は、授業時間数や教育内容の増加という方法だけで解決できるほど単純ではないことが分かる。そもそもPISAは、「将来生活していく上で必要とされる知識や技能が、義務教育修了段階でどの程度身についているか」を測定するための調査。数学的リテラシーは、「数学が世界で果たす役割を理解し、様々な生活場面で数学的根拠に基づき判断を行い、数学に携わる能力」、読解力は、「自らの目標を達成し、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」、科学的リテラシーは「自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力」などと定義されている。また、今回初めて調べた問題解決能力は「先の3つの能力のうちで重複する領域の問題に直面した際に解決できる能力」だ。
  つまり、PISAは単なる知識量を測る学力テストではない。問うているのは、現行学習指導要領が重視している「生きる力」と符合する。よって今回の結果から、いわゆる学力だけではない、子どもたちの「生きる力」が低下傾向にあることがはっきりしたと言えるのではないだろうか。
  その中で最低レベルの生徒の割合が参加国平均より高かった読解力の結果だが、トップレベルは9.7%で前回(9.9%)から大きな変化はなく、参加国平均を上回っている。これは「できる生徒」と「できない生徒」に学力が二極化していることを示す。学校外の勉強時間の短さから言える全体的な学習意欲の低下の中で、学力が二極化しているという構造だ。
  一方でアンケート調査では、学校教育に対して「仕事に役立つことを教えてくれた」と肯定的に評価している日本の生徒 59%で、参加国平均89%を大きく下回っていた。
  さらに、数学の授業中の「教師の支援」について生徒に聞いた、「先生は生徒1人1人の勉強に関心を持っている」「先生は、生徒が分かるまで何度でも教えてくれる」など5項目の質問では、いずれも欧米諸国や今回成績が上位だった13カ国平均を下回り、5項目平均は13カ国中最低。加えて「生徒と教師との関係」に関して尋ねた、「多くの先生は生徒の満足度に関心がある」「先生は助けが必要なとき助けてくれる」など5項目の質問でも、全て13カ国平均に及ばず、5項目平均も13カ国中もっとも低いという同様の傾向だった。
  こうした結果を踏まえれば、授業時間数や教育内容を増やし、全国学力テストなどで競争主義をあおっただけで、果たして生徒の学力はどの程度上がるのか疑問が残る。学力を向上させることは、もちろん重要だ。しかし、単なる「振り子の揺れ戻し」的な学力向上策では、できる生徒とできない生徒、あるいは学校間の格差を広げるだけだろう。
  学校で学び、社会に出て何をするのか、言い換えれば、「何のために勉強するのか」「学校と社会はどう結び付いているのか」という意識を明確に持たせることを中心に据えながら、授業の改善を図っていかなければ子どもの学力を向上させることは難しい。そして、それは高校段階でも当該校だけでは困難な課題であり、中学校や大学とのほか、民間企業などの機関との連携がこれからより不可欠になってくる。
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日本は世界トップレベルから陥落 OECD学習到達度調査 (12月7日)
経済協力開発機構(OECD)は12月7日、2003年学習到達度調査(略称PISA)の結果を世界同時公表した。41カ国・地域の15歳児(日本は高校1年生)の総合的学力を測った調査で、日本は読解力分野を中心に00年の前回調査から順位を下げた。文部科学省は「わが国の学力は国際的に見て上位にあるが、最上位(世界トップレベル)とは言えない」と異例のコメントを発表した。結果によれば、前回調査と比較すると、「科学的リテラシー(活用力)」は2位を維持したものの、「読解力」が8位から14位、「数学的リテラシー(活用力)」が1位から6位とそれぞれ順位が下がっている。特に順位が低かった「読解力」の成績を6段階のレベルに分けると、日本は最低レベルの割合が前回の2.7%から7.4%に増え、OECD平均の6.7%を上回っている。全体の成績低下と同時に、成績上位層と下位層の格差が開いていると言えそうだ。また、学校の授業以外での1週当たりの平均勉強時間はOECD平均8.9時間に対して、日本は平均6.5時間と厳しい結果となった。文科省は来年夏までに「読解力向上プログラム」などの学力向上策をまとめる方針。世界のトップレベルからの陥落は、中山成彬文科相が表明している全国学力テストの導入論議に弾みをつけるほか、06年度末を目途に中教審が進めている学習指導要領の見直し作業にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

http://www.mext.go.jp
/b_menu/toukei/001
/04120101.htm

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