『オニババ化する女たち』(※)という本が売れている。女性疫学者が書いたこの本の主張は、「女性は自分のからだに備わった機能にきちんと向き合い、20代のうちにきちんと出産をしなさい。そうしないとエネルギーが行き場を失い、いつもイライラしたオニババになってしまいますよ」というもの。
この本が発刊されたのを知ったとき、私は「少子化を憂慮する男性は同意するかもしれないけれど、若い女性や働く女性たちは大反発するだろう」と思ったのだが、実際は女性読者にもとても好評だという。大学の女子学生たちに意見を聞いたところ、「オニババになるのはコワい。やっぱり私も早く結婚しようっと」などと、やはり本の主張を好意的に受け取っている人が多い。オニババをテーマに特集を組んだ女性誌もあった。
結婚、出産をしない女性がエライ、と言う気はない。若い学生たちにその道を歩め、と奨励するつもりもない。晩婚化や非婚化の結果としての少子化が、日本の社会にたいへん深刻な影響を与える、というのもよくわかる。しかし、それでもなお、私は「自分の人生を決めるのは自分」と思うのだ。とくに、やっと選択の自由を手に入れた女性たちには、のびのびと自分のやりたいことをやる人生を歩んでほしい。その「自分のやりたいこと」が結婚や出産、という人はそうすればいいし、「とりあえずは仕事」「ボランティア活動を思いきりやってみたい」「外国で暮らしたい」と思う人はそれを実現させるべく、一生懸命、がんばればいい。
ただ、今のところ、残念ながら時間を逆戻りさせることはできない。だから、人によっては「私は子育てに忙しくて仕事は十分にできなかった」ということもあれば、「私は仕事に全力投球した分、出産はあとまわしになっちゃって」ということもあるだろう。まさに「人生いろいろ」だが、その取捨選択も、基本的には本人の自由、本人の責任で行えるのがいちばん。もちろん、男・女に関係なく…。
そう思って学生の指導を続けてきた私だが、「オニババ論」の思わぬヒットと支持を見て、考え込んでしまった。 21世紀になっても、「女には女の幸せ」というのがあるのだろうか。高校の現場で進路指導に携わっている先生たちは、そのあたりをどう考えているのか、尋ねてみたい気がする。 |