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キャリア教育ニュース解説
(2005年2月7日掲載)

 小誌編集部による「キァリア教育に関する意識調査」(『キャリアガイダンス』No.8で特集)の結果、キャリア教育について、高校の進路指導担当者らの約8割がポジティブな印象を抱きながらも、実践による仕事の負担増などを懸念していることが分かった。多忙化する学校現場の実情からすれば、ある意味で当然とも言える。だが、キャリア教育とは、教員に多くの負担を強いるような特別な教育なのだろうか。逆にキャリア教育を推進することで、現在の進路指導が抱える困難を克服することができるのではないか。

雇用対策、少子化対策でも注目

 キャリア教育は、2004年1月に文部科学省の調査研究協力者会議が、学校教育の中心的理念の一つとして打ち出してから一躍注目を集めた。
  特筆すべきなのは、このキャリア教育が学校教育の枠を超えて重要視されていること。フリーターの増加といった若年者雇用問題を解決するため、内閣府など4府省で設置する「若者自立・挑戦戦略会議」が一昨年6月にまとめた「若者自立・挑戦プラン」の中で、小学校段階からのキャリア教育推進を中心的方策の一つとして位置付けた。また、政府の「少子化社会対策会議」が昨年末、新エンゼルプランに代わる「子ども・子育て応援プラン」を策定し、「若者の自立とたくましい子どもの育ち」の課題を解決する具体的方策として、キャリア教育の推進を掲げている。
 こうしたキャリア教育に対する社会的な関心が高まる中で、小誌編集部が高校の進路指導担当者に行った意識調査では、「キャリア教育に対する印象」について、「期待感」「責任感」などポジティブな回答が全体の約8割を占めた。「キャリア教育の影響」に関しても、「生徒にとって有意義」が過半数を占めた。だが一方、「学校現場で浸透するかどうかは未知数」「教員の負担が相当大きくなりそう」といった、キャリア教育推進への不透明感や負担感も浮き彫りになっている。また、キャリア教育を進める上で困難に感じる課題としては、「教員の時間の確保」と「学習プログラムの開発」がともに9割以上を占めた。
 これは、キャリア教育の考え方の浸透が進路指導担当者間で進み、現場の課題が学習プログラムの開発やその実施という実行段階に入っていることを示しているのではないだろうか。「キャリア教育の推進による変化の予想」として、進路指導部や教員の仕事の増加が8割以上を占めるなど、負担増への懸念が表れたのも、見方を変えれば、キャリア教育の実践は間近に迫っていると教員が認識しているとも言えるだろう。

現在の進路指導の見直しからスタートを
 キャリア教育に期待しながらも、負担増を懸念するというのは、年々多忙化する学校現場の立場から見れば、仕方のないこととも受け取れる。しかし、キャリア教育の推進は、本当に多忙化や負担増につながるのだろうか。キャリア教育に詳しい三村隆男上越教育大学助教授は、「キャリア教育とは、新しいことに取り組む教育ではなく、これまでの進路指導を新しい観点で見直す教育」と説明する。
 自ら進路選択できる力や職業観、勤労観を生徒に身に付けさせるキャリア教育は、従来の進路指導にさらに新しいものを取り入れることではなく、これまでの進路指導を見詰めなおすことから始まる。そのように考えれば、キャリア教育を実施したからといって、それが直接、教員の負担増につながることはないはずだ。
 高校生の就職戦線はようやく明るさが見えてきたが、若年者雇用状況は依然として厳しい。そればかりか、進学、アルバイト・パートなどをせず、勉学や労働に一切かかわらないニートといわれる若者の増加が大きな社会問題となっている。職業観や勤労観を育てるキャリア教育は、急務な実践なのだ。加えて、大学全入時代が07年度に到来すると予測され、進学面での受験圧力が一層低下していくのに従い、従来のいわゆる「出口指導」に重点を置いた進路指導では、生徒の学習意欲を喚起できなくなっている。
 小誌の意識調査では、「進路指導現場で高校生に感じること」として、「自ら課題を設定しその解決に取り組むことができない」「主体的な選択、決定ができない」などの意見が5割を占め、主体的に自らの進路を決められない生徒を憂慮する回答が多かった。フリーターやニートの増加に加え、学習意欲の低下も大きな問題となっている中で、「出口指導」中心の指導を続ける方が、よほど進路指導の困難さが増し、教員の負担感が強まるのではないだろうか。キャリア教育よる負担増を懸念するよりも、進路指導を見直して新たな一歩を踏み出すことが、生徒の学習意欲、勤労観、職業観の形成につながり、さらには教員の負担感を軽減する道ではなかろうか。
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進路指導担当者はキャリア教育の意義を評価しつつも仕事増予想 小誌調査 (1月6日)
仕事増を懸念しながらもキャリア教育の意義を評価――小誌編集部の「キャリア教育に関する意識調査」で、高校進路指導担当教諭のこんな意識が1月6日、明らかになった。調査は、昨年10月に全国の高校5255校の進路指導部を対象に実施。1122校(回答率21.4%)から有効回答を得た。その結果、「キャリア教育に対する印象」(複数回答)は、「期待感」51.2%、「責任感」32.5%、「使命感」27.1%などが上位に並び、ポジティブな印象を挙げた者が全体の約8割を占めている。「キャリア教育の影響についてどう考えているか」(複数回答)でも、「生徒にとって有意義だと思う」が52.6%に上るなど評価する意見が多かった。ただ、「学校現場で浸透するかどうかは未知数」37.4%、「教員の負担は相当大きくなりそう」37.2%など、不透明感や負担感もうかがえる。一方、「進路指導現場で高校生に感じること」(複数回答)では、「自ら課題を設定しその解決に取り組むことができない」49.4%、「主体的に選択、決定ができない」48.1%など、自主的に進路を捉えられないことを憂慮する回答が多かった。また、「キャリア教育の推進による変化の予想」は、進路指導部の仕事の増加が82.4%、教員の仕事の増加が81.9%など負担増を懸念する声が圧倒的に多いものの、生徒の意欲の増加が54.2%、生徒の満足度の増加が48.0%、保護者の満足度の増加が46.0%など好影響を予想する声も多い。進路指導担当者の多くは、負担増などを覚悟しながらも、生徒の意欲向上のためにキャリア教育の推進を目指していると言えそうだ。この調査結果は、『キャリアガイダンス』No.8で特集している。

http://www.recruit.co.jp/
corporate/report/
2005pdf/050106_career_
kyouiku_chosa.pdf

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