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キャリア教育ニュース解説
(2005年3月7日掲載)

 総合的な学習の時間に対する風当たりが強くなっている。中山成彬文部科学相は2月15日、第3期中央教育審議会の初総会で、学力向上を中心とした教育課程の見直しを審議するよう要請。検討課題の1つに「総合的な学習」の授業時間数を挙げた。2つの国際調査の結果公表によって学力低下問題が再燃した昨年末以降、「総合的な学習」の見直しに言及してきた中山文科相が、その具体策を中教審に求めた。だが、「総合的な学習」導入は高校の場合、2年前。見直し議論は、廃止や削減に向けてではなく、「総合的な学習」を本当に効果のある活動とする目的であるべきだ

文科相発言で交錯する思惑

 昨年末に公表された経済開発協力機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)などの結果を受けて、文科省は日本の子どもの学力低下を初めて認めた。中山文科相は、今年1月に宮崎県で開催されたスクールミーティング後の記者会見で、学力向上のために「総合的な学習」の授業時間数削減を示唆し、新聞などで大きく取り上げられた。同様に文科省幹部が新潟のスクールミーティングで小学校低学年の生活科の廃止に言及したこともニュースとなり、一部の教育関係者の間では「総合的な学習」や「生活科」が次の学習指導要領改訂で廃止または大幅に削減されるとの見方が強まっている。
 これに対して文科省は、「総合的な学習」の廃止の声を否定するのにやっきになっている。生活科廃止については、ホームページ上ですばやく報道を否定。また、「総合的な学習」に関しては、中山文科相が、全国都道府県教育委員会連合会総会のあいさつで、削減の報道に関して異例の釈明を行ったほか、実践で有名な東京都内の小学校を視察した。一説では、学力向上のために「総合的な学習」の廃止を主張する中山文科相に、意義を何とか理解してもらおうと文科省職員が説得したとも伝えられている。
 そして、それはある程度成功したようだ。中教審総会のあいさつで中山文科相は、「総合的な学習」を含めた授業時間数の見直しを検討課題に挙げる一方で、自ら学び自ら考える力を育成する現行学習指導要領の理念に「誤りはない」という認識を審議の前提として示した。また、教育内容とともに、「子どもたちがわくわくした気持ちで授業に取り組めるような方策、わかる授業の実現に向けた方策」など、指導方法の改善を検討課題として盛り込んだことも注目される。

好事例増加へ、丁寧な検討を
 今後、「総合的な学習」の論議はどこへ向かうのだろうか。
 学力低下批判を決定的にしたPISAの結果について、文科省の中間分析報告は、低下傾向にある学力と同時に教科横断的な知識・技能や、実生活に結びついた知識・技能の活用などの能力が低下していることを問題視している。
 もともとPISAは、通常の知識量のみを問う学力テストではなく、「将来生活していくうえで必要とされる知識や技能の習熟度」を測定する調査だ。子どもの「生きる力」の育成を主軸に据えた現行の学習指導要領で、目玉と言われる「総合的な学習」の意義と食い違ってはいない。
 とはいえ、学力向上が社会的な要請となっている中、限られた総授業時間数の枠を考慮すると、「総合的な学習」の何らかの見直しは避けられないだろう。「単なる体験に終わっている」「教科指導を補う時間になっている」など、「総合的な学習」の趣旨にかなう実践が行われていない一部の学校へ批判もある。
 だが、その一方で、今春導入4年目を迎える小・中学校では成果を上げている例も多い。また、高校でもキャリア教育などの進路学習を「総合的な学習」に取り入れて、生徒の学習意欲を高め、学力向上や生徒指導上の問題解決に成功したケースもある。重要なのは、こうした効果を上げる学校を増やすための努力だ。
 中山文科相は、中教審総会のあいさつの中で、現行学習指導要領の趣旨を肯定すると共に「その狙いが十分に達成されているか、必要な手立てが十分に講じられているか、ここに課題がある」と述べている。「総合的な学習」の意義を認める意見は、学力低下批判を唱える学識者の中にも少なくない。もし、「総合的な学習」が狙い通りの成果を上げていないとすれば、この活動自体に問題があるのではなく、活用方法や実施体制が課題のはずだ。
 今後の教育内容や教育課程の論議で求められるのは、「総合的な学習」の廃止や削減などの拙速な見直しではない。教科学習とのバランスを考慮したり、好事例を検証したりしながら、「総合的な学習」の効果をより上げるための丁寧な再検討が必要ではないだろうか。
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総合的学習の見直し発言で釈明続く 文科省(1月20日)
中山成彬文部科学相は1月20日、全国都道府県教育委員会連合会総会のあいさつの中で、学力向上を次期学習指導要領改訂の柱とするように中央教育審議会に指示する方針を明らかにした。これによって、総合的な学習の時間の削減または弾力化がほぼ確実との見方が一部である一方、文科省は教育現場の動揺を抑えるのにやっきになっているようだ。中山文科相は、1月18日に宮崎県で行われたスクールミーティング後の記者会見で「総合的な学習」の削減を示唆し、それがマスコミで大きく取り上げられたことについて触れ、「考えなければならない課題がいろいろあるとの感想を述べたもの」と異例の釈明を行った。同様に、新潟県でのスクールミーティングに参加した近藤信司文科審議官が、小学校低学年の生活科の見直しを表明したと一部で報道されたが、文科省は直ちに「特に、生活科を取り上げて見直すとの見解を示したものではない」とする見解をホームページに掲載するなどの対応を取っている。これらの対応は、「総合的な学習」や生活科の授業の充実を図っている学校現場の取り組みに水を差すことを避けるためと見られる。ただ、小泉純一郎首相も施政方針演説の中で、学習指導要領改訂で学力向上を図ると述べるなど、「総合的学習」見直しへの伏線が張られつつあり、文科省側がいかに釈明しても、一連の発言や報道が学校現場に大きな影響を与えることは回避できそうにもない。中教審は既に教育課程見直しの審議を開始。今後、スクールミーティングなどでの意見を参考にしながら今秋までに基本的方向をまとめる予定だ。

http://www.kantei.go.jp/
jp/koizumispeech/
2005/01/21sisei.html

http://www.mext.go.jp/
b_menu/daijin/
05020201.htm

http://www.mext.go.jp/
a_menu/gimukyou/
meeting/05020401.htm

http://www.mext.go.jp/
a_menu/gimukyou/
plan/20050204.htm

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