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総合学科
 普通科、専門学科に続く、高校の第三の学科*1として、1994年度創設された「総合学科」。「脱偏差値」「高校教育改革のパイオニア」というキャッチフレーズで、7校でスタートした設置校数は12年目の今春270校台に上り、政府が設定した整備目標(全国で500校)の半数を超えた。
生徒の個性に合った学習ができる場
 総合学科が構想された当時は、高学歴志向で普通科に生徒が集中する一方、大学・短大進学率は40%程度で、進学しない生徒がどう高校生活を送っていいか分からず、中退者が増えていることが大きな問題となっていました。そこで、「個性尊重」をうたった総合学科が創設されたのです。実際、創設当初に総合学科に転換したのは、普通科・職業学科というそれまでのくくりでは活性化が難しかった高校が多かったように思います。
 総合学科に学ぶ生徒たちは、好きな科目が選択できる*2という教育課程の下、高校生活を送っています。自分の個性に合った学習に打ち込むことで、課題研究*3などで教師があっと驚くような成果を上げる生徒も少なくありません。ただ最近の傾向として、学校の活性化という側面よりも、もっぱら生徒減に伴う高校再編・統合の手段として使われているような気がしてなりません。創設当初に比べれば、関係者の本来の設立趣旨に沿った改革熱意も薄れているようなところも感じられ、少し残念です。
教師も世界を広げ、人間的な成長を
 総合学科の中でも、課題が見えてきました。「好きな科目を選択していい」「将来に夢を持て」と言っても、科目が選択できなかったり、将来何をしたいか分からなかったりする生徒が少なくないのです。やはり、ただ生徒の選択の自由度を高めるだけではなく、「こういう勉強をしてみたら?」とアドバイスするなど、適切な教師のかかわりが必要です。
 また進路実現という点からみると、大学の一般入試では、受験に向けて普通科目だけを学んできた普通科進学校の出身者にはなかなか太刀打ちできないという実態があります。総合学科でも基礎学力の充実が課題ですが、大学側にもAO入試や生徒の高校時代の体験を評価する推薦入試など多様な選抜方法による積極的な対応を期待したいところです。
 教師にとって 総合学科は、自分を鍛える場でもあります。社会人を講師として招いたり、生徒にさまざまな体験学習をさせたりするためには、教師も必然的に社会と交流を持たなければなりません。情報化の進展などにより、生徒の世界はどんどん広くなっています。普通科の教師であろうとも世界を広げることが求められています。そういう点でも、ぜひ総合学科に来ていろいろな経験を積んで、教師として成長していってほしいです。(談)

筑波大学附属坂戸高校「校長室へようこそ」
http://jirohat.web.infoseek.co.jp/
 
この人が解く!
  筑波大学教授・附属坂戸高校長 服部 次郎 氏
 
キーワード
*1 第三の学科
 1991年4月の第14期中央教育審議会答申は、「普通科と職業学科を総合するような新たな学科」を設置するよう提言。旧文部省の高校教育改革推進会議の報告を経て、93年に「総合学科」の創設が決定した。
*2 総合学科の科目選択
総合学科は原則として単位制で、普通科目と専門科目の双方にわたる多様な選択科目を開設している。教科・科目のまとまりである「系列」はあるが、コース制などと違って生徒は系列を超えて自由に科目を選択できる。
*3 課題研究
創設当初は原則履修科目として「産業社会と人間」、情報基礎、課題研究を開設することとされていた。学習指導要領の改訂で原則履修科目は「産業社会と人間」だけになったが、引き続き課題研究を開設する学校が多い。
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