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基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
大学全入時代
えり好みしなければ誰でも大学や短大に入れる「大学全入時代」が、2007年*1に迫っている。大学側は生き残りを懸けた改革を行っているが、多様化はかえって大学教育を分かりにくくしている面もある。生徒を送り出す側の高校教員は、どう受け止めるべきか。
「3分の2」は常に潰れる可能性
 大学全入時代とは、大学が「定員割れの時代」を迎えることを意味します。現在でも約3分の1の大学・短大が定員割れを起こしています*2が、07年にはもっと増えているでしょう。
  萩国際大学の民事再生法適用*3が問題となりましたが、いくら大学側が改革に努力しようとも、いずれは3分の2程度の大学が、いつ潰れてもおかしくない状況になるのではないか、と私はみています。入学時が大丈夫でも、卒業後も安泰だという保証はありません。そして、どの大学が安泰かを判断する確かな指標は、今のところないのです。
 競争率の高い大学を目指すことのできる一部を除く生徒はそうした大学の中から志望校をどう選ぶかが問題になってきます。そこで「安泰な大学」「有利な大学」など、探しても意義があるとは思えません。高校の先生が将来的にも安泰な大学の情報を集めるのは極めて困難なはずです。ましてや、どの大学に進学するのがいいかを生徒に指導することなど不可能だと思います。
大学に行く意味の再検討を
 その一方で厳しい時代にあっては、社会に出て独り立ちする力、どんな状況でも生きていける力をつけることが、ますます必要になっています。大学は、そうした力をつける場、あるいは人生の目的や生きがいを見つける場として利用すべきです。
  ところが今時の学生たちの多くは、情報を集めてレポートをまとめる力はもとより、ノートの取り方すらも身につけていないと感じます。
  大学選びに当たっては、損得や有利不利といった発想は、もうやめた方がいいでしょう。選ぶ理由は、教育内容やサークル活動、あるいは在学生の生活など多様であっていい。入学時点でその選択を納得できればいいのです。重要なのは、大学生活の4年間の中で何としても社会で自立できる力をつけるのだという“覚悟”を持たせることです。
  高校の先生には何よりも、大学に入ってそうした努力ができるような勉強の仕方や生活習慣を、生徒に身につけさせてほしい。そして、どの大学がいいかを探すこと以上に、大学に行く意味を、生徒と一緒に考えてやってもらいたいと思います。(談)
 
この人が解く!
  教育ジャーナリスト 多摩大学客員教授 山岸 駿介 氏
 
キーワード
*1 2007年の「大学全入時代」
文部科学省の試算によると、2007年度の大学・短大の入学定員が67万4000人なのに対し、予測志願者数も67万4000人(浪人4万人を含む)で、収容力(入学者数÷志願者数)は100%となる。なお、2004年度は85.1%。
*2 大学・短大の定員割れ
 文科省の外郭団体である日本私立学校・共済事業団の調査によると、2004年度に定員を充足できなかった大学は155校(29.1%)、短大は164校(41.0%)となっている。
*3 萩国際大学の民事再生法適用
 山口県や萩市の支援を受けて1999年に開学した萩国際大は、当初から定員割れに悩まされてきた。同大学を運営する学校法人は今年6月、37億円の負債を抱えて東京地裁に民事再生法の適用を申請し、再生手続きが始まった。
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