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基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「学校評価」
 文部科学省は現在、努力義務※1となっている学校評価を義務化するとともに、第三者による外部評価を充実させることを検討し、そのガイドライン作りを行っている。しかし、一部の教員には依然として学校評価に対する抵抗感が根強い※2。学校評価をどう受け止め、どう活用していったらいいのだろうか。
ランク付けではなく「信頼」と「質」のツール
 学校評価が求められる背景には、教育を受ける側のニーズにどう応えるか、多様な試みが必要になったことが挙げられるでしょう。しかし、学校現場にはまだまだ評価が学校のランク付けにつながるのではないか、という受け止め方があるように思います。
 先生方のほとんどは、公私の時間も忘れて熱心に指導に取り組んでおられます。生徒にこうなってほしい、という願いも、一人ひとりが持っておられます。しかし、そうした生徒像が、保護者や地域住民、あるいは生徒の願いとずれていたり、学校内で共有化されていなかったりしていることも多いのではないでしょうか。
 開かれた学校づくりをしようとするとき、教員だけではなく地域住民や保護者に、さまざまな協力や知恵を求めることが不可欠になります。学校評価で評価項目を検討したり、結果を公表して改善策を提示したりすることなどを通して、教職員間のみならず学校と保護者・地域との間に、信頼と協力関係を築くことができるのです。
 学校評価はPDCAサイクル※3を通じて校内外の信頼関係を築き、学校教育の質を向上させるツール(手段)なのです。
学校教育の“ピンチ”を信頼関係構築の“チャンス”に
 私が前に勤務していた大阪府教育委員会では、全国に先駆けて1998年度から学校評価(学校教育自己診断)を試行し、02年度以降は全府立学校で実施しています。改善につながっている学校の事例を見ると、(1)実施前に評価項目を教職員間で検討し、共有課題としている(2)評価結果をフィードバックし、改善への課題としている――という共通点があります。また、校内のコミュニケーションが活発な学校や情報開示に積極的な学校ほど、評価とその改善に正の相関関係が見られる、という調査結果もあります。
 いま世間には、学校教育に対するネガティブなプロパガンダがまん延しています。しかし、逆に現状を訴え、協力を求めるチャンスであるとも言えます。ピンチをチャンスととらえ、学校が主体となってチャレンジすることで、保護者や地域住民の願いにこたえられるようチェンジすることができるのです。何より学校が変われば、生徒の表情がみるみる変わっていきます。そのための客観性と妥当性のあるデータを提供してくれるものとして、学校評価に積極的に取り組んでほしいと願っています。(談)
 
この人が解く!
  奈良文化女子短大教授 (前大阪府教育センター主任指導主事) 善野 八千子 氏
 
キーワード
*1 学校評価の努力義務
 2002年の高等学校設置基準改正で「高等学校は…自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする」(第3条1項)と規定された。また、教育活動や学校運営についても「保護者等に対して積極的に情報を提供するものとする」(第4条)としている。
*2 学校評価に対する根強い抵抗感
 文部科学省が今年6月に発表した「義務教育に関する意識調査」では、「保護者や地域住民が教員を評価すること」について、校長・教頭で52.4%、保護者でも42.0%が「賛成」と回答したのに対して、一般教員だけは「反対」(32.5%)が「賛成」(30.0%)を上回った。
*3 PDCAサイクル
 Plan(計画)-Do(実施)-Check(総括)-Action(更新)という一連の組織経営過程を指す。善野教授によると、▽P=学校が目指す目標や育てたい生徒像を示す▽D=その目標に向かって実際に取り組む▽C=教職員・生徒・保護者・地域住民の評価結果データを収集し、そこから成果と課題を共有する▽A=課題を焦点化し、課題解決のための改善策を誰がいつまでに、どのように実行するかを明らかにする――ことが、学校教育の質を向上させる際のポイントとなる。
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