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「教員給与」
「一般公務員に比べ、教員の給与は高すぎる」「校長経験者の年金額が事務次官を上回るのはおかしい」――財務省の財政制度等審議会で10月20日、こんな論議があった※1。教員の給与は本当に高すぎるのか。また、こうした論議が起きる状況をどう見たらいいのか。
なぜ高いのか、本当に高いのか

 教員の給料は 1974 年制定の「教育職員の人材確保に関する特別措置法」(人確法)で、一般の公務員よりも優遇するとされています。立法当時は1割程度高くすることを想定していました。しかも教員には残業手当がないため、代わりに教職調整額(給料の4%)が支給されています。加えて文部科学省がホームページで反論しているように、教員はほとんどが大卒以上です。財務省は一般公務員より平均 11 %高くなっていることを問題にしていますが、こうした要素を総合的に考えれば、もっと高くてもいいはずなのです。
  財務省が教員給与を問題にするのは、実は今に始まったことではありません。しかも教員はいま第二次ベビーブーム時に大量採用した年齢層が多く、そうした層は給与水準が高いだけでなく、一斉退職時期が来れば多額の退職金が大きな財政負担となります。財政審が年金の話まで持ち出したのも、おそらくそうした意識があるからでしょう。
  もし引き下げが行われれば、高校の教員にはもっと悲惨な将来が待っています。現に東京都教委の検討会は、小・中学校と高校の給与一本化を提言しています※2。その上に義務教育費国庫負担金が廃止されることになれば、小・中でも大幅なダウンが避けられません。

社会に知られていない仕事や生活の実態

 注意すべきは、こうした論議を財政審があえて行い、マスコミも含めて多くの人がそれを支持したことです。確かに、今の学校教育がうまくいっているとは言えないかもしれません。だからといって、教員の給与を引き下げれば教育がよくなるのでしょうか。
  実際、教員が開設するブログ(日記風ホームページ) ※3を読むと、虚無感が広がっています。困難な教育現場の現状を考えれば、給料が高いから教員を続けている、という人はほとんどいません。安易な教員たたきは、専門職としてのプライドを傷つけ、かえって教員の意欲を減退させるだけです。
  問題は、教職という仕事の正確な実態が、社会にほとんど伝わっていないことです。労働者としての職員団体はありますが、医師会や弁護士会のように、教員全体の立場を代弁する職能団体が教員にはありません。名目的にはあっても、ほとんど機能していないのが実態です。ブログに表現されているような仕事や生活の実態をすくい上げ、社会に発信していくような仕組みをつくることが今、求められているのではないでしょうか。(談)

 

 
この人が解く!
  教育ジャーナリスト 斎藤 剛史 氏
 
キーワード
*1 財政審の論議
 10月20日の財政審合同部会に提出された資料によると、一般行政職に比べて小・中学校教員の給料月額は4万円(11%)高く、退職年金月額もモデルケースで校長経験者は事務次官経験者より1万7000円上回る。委員からは「人確法廃止は賛成」「教師の人数を増やせば学力向上につながるとの考えは改めるべきだ」などの意見が挙がった。翌21日には文部科学省がただちに反論をホームページに掲載した。
http://www.mof.go.jp/
singikai/zaiseseido/top.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou
/17/10/05102101.htm
*2 東京都教委の検討会提言
 「教員の給与制度検討委員会」が8月にまとめた第二次報告では、行政職を基準にして教員給与制度を見直すことを提言した。具体的には、人確法の優遇措置見直し、小・中学校と高校の給料表一本化、職の在り方の精査による給料表の複線化などを挙げている。
*3 教員ブログの反応
 財政審の審議内容が報道されて以来、各ブログで活発な論議が行われている。問題を扱うブログのリンク先を集めた「教員給与引下げ報道に関して」と題するトラックバックセンター
http://education.blogmura.com
/tb_entry50760.html
)も開設された。
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