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キャリアガイダンス@メールTOP基礎から分かる教育トピック vol.9
基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「教員養成」〜専門性に対する疑問が背景に〜
 中央教育審議会は昨年12月、「今後の教員養成・免許制度の在り方について」と題する中間報告をまとめた※1。教職大学院※2の新設と教員免許更新制の導入が柱となっているが、その背景には、教員の「質」に対する世間の厳しい目がある。
実践的指導力や「組織的な協働」が不可欠
 教員養成の在り方が課題とされている背景には、教員の力量や専門性に疑問が投げ掛けられていることがあると思います。1980年代以降、校内暴力や不登校、いじめなど、子どもの「荒れ」にどう対応するかが問われました。そこでは単に知識を教えるだけではなく、子どもの意欲をかき立てたり、カウンセリングマインドを持って相談に乗ったりする「新たな資質・能力」が求められるようになったのです。

 このため98年には教育職員免許法が改正され※3、2000年度から大学の教員養成カリキュラムが改められました。しかし実際に大学で、そうした「子ども問題」に対応できるような教員を養成できるようになったとは言えません。依然として、教科の基礎である学問分野を教えることを通した教員養成が中心になっているのが現状です。

 学級崩壊や学力低下の問題を目の前にして、教員に求められているのは「実践的指導力」です。授業ひとつ取っても、ただ授業を行う力だけでなく、子どもを積極的に参加させていくような「授業を成り立たせる力」が必要になっているのです。

 さらに規制緩和によって学校が選択され、評価される時代にあっては、教員組織が一致して子どもの学力向上に取り組むことが、いっそう求められます。これまでの教員は個々の教科の専門性という「個業性」の強いスペシャリストでしたが、これからは学校づくり、校内でのチームづくりも含めた「組織的な協働の専門性」が不可欠なのです。

 筑波大学でも現在、スクールリーダーの育成や「高度な授業力の育成」を目指した独自の大学院構想を検討しているところです。
中教審報告でも不透明な「基本政策」
 ただし、そうした実践的指導力や新たな専門性が、新設される教職大学院で養成できるようになるかどうかは、現在のところ不透明と言わざるを得ません。大学側も教職大学院がどのような姿になるかが見えておらず、様子見といった状況です。

 その一方で東京都や同杉並区が自前の教員を養成する「塾」を設けるなど、現行の教員養成に強い不満が表明されていることは確かです。

 しかし今回の中教審中間報告からは、教員養成全体のグランドデザインをどう描いていくのかという理念が見えてきません。教職大学院にしても一部の希望者を対象とするものであり、修了者に対する処遇も含めた位置付けも明確ではありません。教員全体の底上げを図るような基本政策こそが今、求められているのではないでしょうか。(談)
 
この人が解く!
  筑波大学大学院教育研究科長 小島 弘道 氏
 
キーワード
*1 中教審「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(中間報告)
 教員が「広く国民や社会から尊敬と信頼を得られるような存在となる」ためには、養成・採用・現職研修の各段階で改革を総合的に進めるべきだと提言。その前提として、大学院で実践的な教員養成を行う「教職大学院」の新設と、新たに教員免許を取得する者から10年ごとに更新制を設けるべきだとしている。
*2 教職大学院
 高度専門職業人を育成する専門職大学院制度を活用して、大学院レベルで学校現場と連携した力量ある教員の養成を行おうというもの。法科大学院をモデルに検討してきたが、基本的な養成は学部段階で行うという原則は変えず、修了者に対する優遇措置も都道府県教委などの判断に委ねた。中間報告ではこれが「教職課程改善のモデル」だとしている。
*3 1998年の教育職員免許法改正
 使命感や得意分野を持ち、学校教育の課題に対応できる力量を育成するという観点から、「教職の意義等に関する科目」や「総合演習」を必修にするとともに、生徒指導や教育相談の内容充実、中学校の教育実習期間の延長などを行った。
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