全国的に知られている福岡・城南高校の進路学習「*ドリカムプラン」。その推進にあたった和田美千代氏(現・福岡県立筑紫丘高校勤務)は、2005年8〜9月、ヨーロッパ諸国を視察。各国のキャリア教育事情を探った。その視察結果をもとに、日本の現状を照射。現場にいる高校教師として日本におけるキャリア教育のあり方を提言した。
「ヨーロッパから帰国してから、その報告のための講演活動で全国を飛び回っています。覚えたてのパワーポイントで92枚もスライドをつくってしまいました」。冒頭、親しみやすい雰囲気をつくって講演を始めた和田氏。かの有名な福岡県立城南高校の進路学習「ドリカムプラン」の企画・推進者の一人である。和田氏はこのほど、キャリア教育研究の一環として、ドイツ、フィンランド、スウェーデンの高校などを視察。講演では、まず、ドイツの教育制度の紹介から始めた。 ドイツでは、小学校5・6年の職業準備教育の後、中学校に当たるものとして基幹学校、実科学校、ギムナジウムの3種に分かれる。つまり、どんな人生を歩むのかといったことを、小学校5・6年生の段階から親子ともども否応なく考えさせられることになるという。「ドリカムプランでは、高校1年の時に進路希望別の9グループの中から1つを選ばせますが、見学者から『生徒は決めることができるのか』とよく聞かれた。しかし選択することを突きつけられて初めて考え始めるのだと思う」と和田氏は自らの実践経験も交える。そして、職業およびそれと表裏一体の資格について学ぶドイツの「労働科」という教科や、有名な「デュアル(二元性)システム」について言及。「教育界と産業界が共同して次世代を育てる高校段階のデュアルシステムは、報酬もあり雇用にも直結する。だから双方とも真剣。連携などといった生易しいものではない」と和田氏は力説した。
「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会を創造する」ことをテーマに調査・研究活動などを行っているリクルート ワークス研究所。同研究所で主に小・中学校のキャリア教育を研究している辰巳哲子が、「『基礎力』の育成でつながる教育現場と社会」という研究結果を発表した。
「基礎力」とは、どのような業種や職種であっても、働く人に共通して必要となる力のこと。企業の採用時のアセスメントツールの分析、および人事部や現場管理職、キャリア教育に携わる研究者らへの取材を通じて定義された次の5つに大別されるという。