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リレーエッセイ:FORZA! キャリアガイダンス@メール
企業が求める“コミュニケーション能力”の本当
 誰もが時折“コミュニケーション”と英語で表現することがありますが、その理由を深く考えたことがないのが実際です。

 「会話力」「対話力」「対人折衝能力」等々、さまざまな関連した言葉が頭に浮かびますが、この“コミュニケーション”とはこれらの言葉をすべて内含したものとしてつかっていることに気がつきます。

 つまり、ただ物事を正確につたえればそれで良しというものではない、そこにはたとえば「場の空気」を読む力も必要かもしれないし、「しゃべり」よりむしろ「聞く力」の方が求められている場合も多いかもしれない――と実に多岐にわたる能力が求められることがお分かりになることでしょう。

 とはいうものの、いずれにしても大切なのは「相手に評価されてナンボ」という社会人の基本中の基本のルールです。これは一瞬たりとも忘れて行動してはいけません。「ボクの話が分からないのは相手がわるい」と相手のせいにするのは一番簡単な逃げのセリフですが、決してこのセリフを吐いてはいけません。

 どんなに相手がアタマが悪かろうと、先入観念の塊であったとしても、たとえ日本語がよく通じない相手であっても、自分のコミュニケーションの不首尾をすべて相手のせいにしてしまってはそこからは何も生まれません。

 相手のせいにしなければ、自然に「自分の言い方が回りくどく、相手にわかりにくいのでは?」とか、「一方的にしゃべるばかりで相手の意見を聞こうとしていないので、相手がこちらの話を聞く耳をとざしているのだ」といった改善点に次々に気がつかれるはずです。すべての勝負はそこから始まります。

 「評価をするのは相手」という基本をよく理解しているし、それに基づいて「自分がすべき改善点」も分かっているし、「行動を改める努力」もしている……それでもうまくいかないことが多いのが現実の世界です。

 でも、決してあきらめてはいけない、あきらめることができないのが企業のみならず、私たちの住む世界のルール。それならば、今度は相手をこちらの望むようなかたちへとリードすることだって、時には必要となります。それが、英語でいうところの“エヂュケート(educate)”です。これは、決して学校における表現だけではなく、企業においても「わからずやの課長に今度のプロジェクトを応援してもらう」「クライアントに新製品の特徴を理解していただく」という場合に、単なる「説明」を超えた「教育」プロセスが必要となる場面が多くみられます。

 なるほど、学校教育の現場はコミュニケーション能力を体得するのに思いのほか適していることに気がつきます。

 「わたし先生」「ボク生徒」といった上下関係に双方とも甘んじることなく、「先生」←「生徒」ならびに「生徒」←→「生徒」といった関係でのコミュニケーションを養うことにもっと真剣になるべきです。

 それは、たとえば“ディベート”の練習をしたり、各種役員・お世話係をかならず経験させることで、「力づくではなく“自分”のもてる力をすべて駆使する対話力」の難しさと意義深さを学ぶことの大切さについてです。

 なぜなら、実社会に出たらすぐに「ぶっつけ本番」となるのですから、“練習”するのは今しかないことは、先生も生徒もお気づきのはずです。
 
 
  国際人事コンサルタント 梅森 浩一 氏
 
うめもり・こういち
国際人事コンサルタント。エグゼクティブ向けコンサルティング「アップダウンサイジング・ジャパン」主宰。1958年生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三井デュポン・フロロケミカルに入社、総務・人事に従事。88年、チェース・マンハッタン銀行東京支店の人材・組織開発担当マネージャー、93年、ケミカル銀行東京支店の日本統轄人事部長に就任。さらにチェース・マンハッタン銀行東京支店、ソシエテ・ジェネラル証券東京支店においてディレクター・人事部長を歴任。それらの間、合併作業に伴う大量の人員削減、その一方での中途・新卒の採用活動、各種人材開発プログラム、給与・厚生プログラムの見直し、新規の人事制度導入等にかかわる。主著に「面接力」(文春新書)、「転職したいヤツに欲しい人材はいない」(光文社)、「『採用したい!』と言わせる技術」(大和書房)、「成功する会社の『女性力』」(ソフトバンククリエイティブ)など多数の著作がある。
http://www.updownsizing.com/
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