「これから何かを始めようとする人と一緒に成長していきたいという思いがありまして」。会社設立手続きを年間百数十件手がけている行政書士の丸山学さんは、このことを主な業務と定めている理由を語る。会社設立を入り口に、以降は許認可手続きや契約書、内容証明の作成など、行政書士の守備範囲となる業務が派生する。そういった業務を通じて顧客との関係を密に保つということが丸山さんの考えである。「これから頑張っていこうとする人を手伝うことで、自分も元気になれますから」
顧客のトラブルにかかわる苦労もある。会社設立を手がけた顧客の取引先に売掛金の回収を促すために、誰が、誰に、いつ、どんな内容の手紙を出したのかを郵便局が公的に証明する内容証明郵便の作成を依頼されることがある。その際、作成代理人である自分の名前も記載しなければならず、紛争相手からクレームが来る場合も。依頼人が追い詰められるようなことがあると、夜中に携帯が鳴って相談に応じることもしばしばだ。「大変ですが、それだけ頼りにされているのでやりがいでもありますよ」
書類の作成方法は一律であり、正確に作成すれば事は足りる。しかし、そこにとどまっていては面白くない。丸山さんは、さらに付加価値のある経営コンサルティングの領域を目指したいという。たとえば、顧客が「株式会社を設立したい」と思っていても、「合同会社のほうがふさわしい」と思えばそう提言する必要がある。また、起業した人の中には、株式上場を目指す経営者もいる。「その思いに応えてアドバイスできるようにならないと、行政書士として生き残るのが難しくなると思っています」
高収入を得られるようになった自らの経験を書籍にまとめて出版した丸山さん。「行政書士の資格取得を契機に、独立して仕事を獲得する苦労を味わったことが、自分を成長させてくれたと思います」 |