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日々の診療を行っていると、具合を悪くして病院を訪れる先生の数に年間を通して波があることが分かります。一口で言うと休み明けということになりますが、5月の連休明け、9月の夏季体制後が目立ちます。新年度のスタートや正月の時期はそれほどでもないようです。それとともに、11月頃、学校行事も一段落して進路指導が本格化してくる時期に受診される先生がやや増える傾向もあります。
こうした変動からも分かるように、先生方の場合には狭義のうつ病よりも、過労やストレスによる一時的な落ち込みや「適応障害」と呼ばれる反応性うつ病の多いことが私どもの調査でも明らかになっています。「うつ病はこころのカゼ」と最近よく言われますが、症状の似ているカゼにも鼻カゼ程度のものから肺炎に至る重症のものまでさまざまです。同様に、うつ病は大きく分けて3タイプ、すなわち狭義の脳の病気である「内因性」、ストレスフルな出来事を原因とした「反応性」、デリケートな性格による「性格因性」に分類されます。それぞれ症状の程度や回復までの経過などが異なりますが、違いが分かりにくい場合も少なくありません。ここで重要なのは治療法と周囲の方の対応の仕方。簡単に言えば、内因性うつ病では本格的な抗うつ薬を服用しながら、「励まさないでゆっくりと療養してもらう」ことが大切です。反応性うつ病では軽い薬物療法とカウンセリングを併用し、「ストレスや過労の原因を確かめてそれを除く、あるいは対処方法を工夫する手助けをする」ことです。そして性格因性うつ病ではクスリはあくまで補助的に用いながらカウンセリングを中心に行い、むしろ「仕事を続けながら励ましてあげる」ことが原則となります。
教職業務が立て込んだ時期に過労に陥ることや、進路指導などで心労が重なることは誰にでもあります。そういう時期に一時的に落ち込むことは無理もありません。そんな時は早めに気づいてタイミングよく休息の時間をとること、メリハリをつけた生活パターンに持ち込むことが大切です。それでも落ち込みが2週間以上続くようならば、反応性うつ病などの疑いがあります。思いきってメンタルヘルスの相談窓口を訪れたり、精神科・心療内科の受診をしてみることをお勧めします。
最後に注意していただきたいのは、最近、インターネットからの情報が氾濫し、こころの病気に関する誤解・偏見や医学的に間違ったクスリの情報も飛び交っているということ。病状やクスリの効果・副作用には個人差というものが明らかにあります。「自分の健康を自分で守る」ためにも、そうした情報に振り回されず、医療専門家に直接相談することを大切にしていただきたいと思います。 |
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| なかじま・かずのり |
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| 1956年、広島県生まれ。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。精神科医、医学博士。1990年より社団法人東京都教職員互助会三楽病院精神神経科に勤務。1999年、同部長。2006年より東京都教職員総合健康センター長兼務。東京都教育庁委嘱医。東京医科歯科大学臨床教授。日本学校メンタルヘルス学会運営委員など。主著に『先生が壊れていく―精神科医のみた教育の危機』(弘文堂)、『あなたの学校は大丈夫ですか? 教師のメンタルヘルスQ&A』(ぎょうせい)、『こころの休み時間―教師自身のメンタルヘルス』(学事出版)、『教師と子どものメンタルヘルス―診察室からみた社会と教育』(東山書房)などがある。 |
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