 |
 |
 |
| 「教育再生」を最重要課題に掲げる安倍晋三内閣の下で、「教育バウチャー制度」※1の導入が検討課題として浮上している。規制改革・民間開放推進会議※2も、学校間の競争を促すために学校選択制とセットで導入するよう求めている。日本では、どんな影響をもたらすのか。 |
 |
 |
 |
|
教育バウチャーは、先日亡くなった米国の経済学者ミルトン・フリードマンが提唱しました。公立学校における官僚制を打破するために、教育費を学校などに配分するのではなく、保護者に直接配分することで、教育サービスを受ける側の発言権を拡大しようとしたものです。日本でも1980年にフリードマンの著書『選択の自由』(日本経済新聞社)が翻訳されたこともあって、臨時教育審議会(83〜87年)で取り上げられたことがあります。
ただし、教育バウチャーをどう定義するかは、導入した国や自治体によって違っています※3。より広い意味では、児童・生徒数を基準に学校の予算を決める、という場合もあります。ですから日本の私学助成(学生数などを算定基準に加味)や就学援助なども、定義によってはバウチャーの一形態と言えなくもありません。ただし、規制改革・民間開放推進会議の委員に話を聞くと、公私の区別なく一律に児童・生徒一人あたりの金額を決めて、それによって配分された予算の範囲中で学校運営をまかなうことを考えているようです。
|
 |
|
| |
外国の例を見ると、米国では一部の自治体で、低所得者層や学力不振児童・生徒の私学就学を促進するなどの目的で実施されています。
全面的に導入したのはチリで、フリードマンに影響を受けた経済学者らが軍事政権下の80年に先導しました。その結果、導入前には80%あった公立学校への就学率が50%に低下するなど、中産階級を中心に私学への雪崩現象が起き、私学ビジネスも活況を呈しているということです。また、公立の教員の身分が不安定になったため、非公務員化されました。
私は、例えばフリースクールへの公的補助に道を開いたり、就学援助を拡大させたりするといった限定的なものであれば、日本でも導入していいと考えています。しかし、全国一律に導入するというのであれば、チリのような事態が起こることも十分懸念されます。2003年のTIMMS(国際教育到達度評価学会の国際数学・理科教育動向調査)でチリは依然として下位にありますので、バウチャーを導入すれば学力が上がる、というものでもないようです。日本では、まだまだ検討すべき課題が多いと言わなければなりません。(談) |
|
 |
|
| |
 |
 |
キーワード |
|
 |
 |
| *2 規制改革・民間開放推進会議での論議 |
 |
 |
 |
| 2004年12月の第1次答申では、公私立学校はもとより株式会社立学校なども含めた経営形態の異なる学校間で競争条件を同一化するために、教育バウチャー制度を検討するよう提言。政府の「骨太の方針2005」(2005年6月)でも「教育における利用券制度」を検討し、結論を得るよう求めている。これを受けて文部科学省は2005年10月、「教育バウチャーに関する研究会」(座長・小川教授)を設置した。 |
 |
|
|
 |
 |
|