| 親会社であるNTTが持つ高度なネットワーク技術と日本IBMの先進的なシステム開発技術をバックボーンに、顧客企業のビジネス課題を解決する日本情報通信。片岡夕佳さんは、現在、同社の財務グループで請求書の発行や売上・原価構造の分析表作成、残高確認、税効果会計*1や退職給付会計*2の実務および法人税・地方税の申告書の作成など、財務分野の業務を幅広く担当している。「規模の大きな会社の財務・経理部門ならばいろいろな経験ができるし、IT系はこれからさらに成長すると思って税理士法人から転職しました」
簿記の知識は片岡さんの仕事にどう活用されているのだろうか。まず「仕訳」。交通費や交際接待費、事務用品費など、会社で発生する経費には「科目」と呼ばれる種類があり、会計ではそれらごとに仕訳して集計しなければならない。例えば、顧客と飲食店で食事した場合、通常の打ち合わせの場合と接待の場合では税務上の扱いが異なるからだ。後者の「交際接待費」の場合、会社の損金とはみなされず、その金額分は課税対象となる。科目の仕訳内容を把握し、勘定科目を直したり、または、法人税の申告書を作成する際に、申告調整をしなければ、税務調査で指摘を受け、更正決定を受けたり、修正申告を行わなければならなくなる可能性がある。「勘定科目の仕訳方は簿記の基本。従業員が起こした伝票をチェック、修正しますが、そういったコンプライアンス(法令順守)に不可欠の知識です」。さらに片岡さんは税理士の資格も取得。「簿記は基礎。その上に税務や会計に関するより専門的な知識を得て、さらに高度な業務に生かせています」
また、簿記を学ぶことにより、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を読んで経営状況を分析できるようになる。例えば、損益計算書でたくさんの売上がある場合、通常ならば会社にその分の現金があると思いがち。しかし、貸借対照表を見ると多額の売り掛けが残っており、売掛金の回収が滞っていて現金はない、といったことまでわかる。「それがわかれば回収促進を図るとか、つなぎ融資を受けるなどの対策が早めに立てられるようになり、経営の安定化に役立ちます」
経理や財務は会社に不可欠の重要な業務であるが、なかなか認識されず、スムーズな協力を得て仕事を進めていくことに苦心することもあるという片岡さん。「でも、簿記の知識を活用して会社の財務状態を分析し、経営に報告できることには大きなやりがいを感じています」
*1税効果会計:企業会計上の利益または費用と、課税所得計算上の益金または損金の認識時点の相違等により、企業会計上の資産や、負債の額と課税所得計算上の資産、負債の額に相違がある場合に、税金の額を適切に期間配分することを目的とする手続き
*2退職給付会計:退職金にかかわる支払債務を時価評価することにより、期末時点での実際の退職金支払に必要な金額を把握し、会社の負っている債務の実態をより明確にしようとする会計手法
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