進路指導・キャリア教育を推進する  
 
 キャリアガイダンス.net  
 PRODUCED BY RECRUIT  
 
 
メルマガ配信登録(無料)
高校の先生に役立つ情報をメールで月に2回、無料でお届けします!
お申し込みはこちら
HOMEへ
すべての高校の先生へ
キャリアガイダンス@メール
最新号を読む
バックナンバーを見る
購読申し込みをする
「リレーエッセイ」
「そのとき、私はこうした」
「進路関連データトピック」
「資格を活かす
仕事人図鑑」
「いま注目のこの資格」
「基礎からわかる
教育トピック」
「教育関連ニュース
&イベント」

キャリアガイダンス@メールTOP基礎から分かる教育トピック vol.21

基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「ゼロトレランス」〜毅然とした生徒指導で注目〜
深刻化するいじめや校内暴力への対応策として、米国の「ゼロトレランス」※1(寛容ゼロ)が注目されている。国立教育政策研究所(国研)も昨年、報告書※2でゼロトレランスに関連した生徒指導の一方式を紹介した。“日本版ゼロトレランス” は、どうあるべきか。
子どもや保護者の変化に対応するために

 ゼロトレランスのような生徒指導体制が求められるようになった背景を理解するには、これまでの生徒指導の流れと、子どもや保護者の変化を押さえておく必要があります。

 1980年代はじめの校内暴力は「生徒集団」対「教師集団」という、学校社会の中での集団のぶつかり合いでした。それが、いじめや不登校は子ども集団の中での問題へと移っていくとともに、「どの子にも起こる」ことが認識されていったというのが、この20年間の流れでした。

 現在の学級崩壊、校内暴力、いじめなどは、以前のように「あの子なら」ということが予測しにくく、どこに“地雷”が埋まっているか分からなくなっています。これは、とりもなおさず子ども集団自体が変化していることの反映です。また、保護者の中にも、一方的に学校を責め立て続ける「モンスターペアレンツ」が出現しています。こうした状況に、学校側は十分な危機管理ができていません。

 子どもの「先」が読めない時代にあっては、「一人ひとりのつぶやきを聞きましょう」というカウンセリング的なガイダンスアプローチだけでは対応できず、新しい生徒指導が求められます。そうした指導方式の一つを提案したものが国研の報告書だ、と言っていいでしょう。

トコトン面倒を見るという「魂」を

 ゼロトレランスを日本に導入する際に気を付けなければいけないのは、日米の育児観の違いです。小さい時から厳しくしつけるクリスチャンの伝統が背景にある米国なら「毅然とした対応」だけでもいいのですが、6歳までは放任し、しつけはその後で、という観念が比較的強い日本では、そうもいきません。

 だから私は、ゼロトレランスを「毅然としてトコトン面倒を見ること」と日本的に翻訳しています。規律違反に対して、毅然とした態度で対応しながらも、その後は学習や生活面のフォローを徹底的にしていくという視点です。指導に当たる先生も、担任している時だけ一生懸命やればいいという「積み上げ方式」の発想ではなく、18歳までは学校教育でトコトン面倒を見ることを視野に入れ、そこから3年間なり6年間を見通す「逆算の発想」で生徒指導を考えることが重要です。

 ゼロトレランスを学校が導入するには、教育委員会がガイドラインを作っておくことが不可欠です。ガイドラインがあってこそ各学校の校長は毅然とした運用ができるのであり、学校任せにしていてはいつまでも「危機」には対応できません。

 ますます困難化する生徒指導に対応するには、ゼロトレランスという「仏」を作れば済むものではありません。そこに、毅然としてトコトン面倒を見るという「魂」を入れなければならないのです。(談)

 
この人が解く!
  千葉大学 教育学部長 明石 要一 氏
 
キーワード
*1 ゼロトレランス

 学校に安全で規律ある学習環境を構築するために、規律違反に対してはあらかじめ定めた基準に従って毅然とした態度で対応する指導方式。米クリントン政権下の1994年、学校に武器を持ち込むなどした生徒を1年間の放校処分にすることを各州に義務付けた「銃規制法」が始まりで、97年の「クリントンの呼び掛け」では対象を薬物などにも広げた。警察官による学校巡回もゼロトレランス政策に入るという。

*2 国研の報告書
 有識者による協力者会議(主査・明石要一氏)が2006年5月にまとめた「生徒指導体制の在り方についての調査研究」報告書。「規範意識の醸成を目指して」というサブタイトルが付いており、生徒指導の対応基準を明確にして、毅然とした粘り強い指導を行うよう求めている。
http://www.nier.go.jp/
shido/centerhp/seito/
student_taisei.htm
ご意見やご感想をお聞かせください。   バックナンバー