高校では軽度発達障害などの困難・ニーズを有する生徒を、「親のしつけが悪い」「本人の問題・わがまま」などと扱いがちでした。しかし軽度発達障害という新たな「枠」を設定することで、はじめて生徒の行動の現象面だけでは分からない本人の困難・ニーズが見えてくることも少なくありません。例えば彼らは五感において顕著な「感覚の過敏・鈍麻」を有することが多く、通常では問題とならない音や匂いなどでパニックを起こしてしまうことも少なくありませんが、そうした障害理解の有無が彼らの困難・ニーズへの支援に大きな影響を与えます。
軽度発達障害の問題が出てきて約10年、「枠」はできました。しかし障害や特別ニーズに応じた標準的な支援はまだ確立されておらず、これからの課題です。ただ対応の基本は、生徒本人やその保護者・家族においていかなる困難・ニーズがあり、どのような配慮が必要なのかをしっかりと聞き取り、それに応じた支援をすることです。そう考えれば、従来の指導とそう大きく変わるところはありません。「教員が増えないと対応できない」という声も根強くありますが、これなら今ある学校の“資源”でも対応可能ではないでしょうか。
特別支援教育という言葉はなじみがないかもしれませんが、高校においては生徒の単位認定・進級・留年、不適応・暴力・非行などの生徒指導、中退・進路変更などの問題への対応などで生徒の各種の多様な困難・ニーズに取り組んできている実践の蓄積があります。そうした取り組みと特別支援教育とは、生徒一人ひとりの課題に丁寧に対応するという点で大きな違いはありません。
その意味で特別支援教育を特別視しないで、小・中学校と同様に、ぜひ高校にも不可欠なものとして根付かせていってほしいと願っています。(談) |