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キャリアガイダンス@メールTOP基礎から分かる教育トピック vol.23

基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「『道徳』必修化」〜全国に先駆けて茨城県で〜
政府の教育再生会議は、道徳教育を教科のような扱いにする「徳育」(仮称)の導入を検討している。いずれにしても、規範意識の育成や在り方生き方を考えさせることは喫緊の課題だ。そうした中、今年度から高校で「道徳」※1を必修(全校履修)にした茨城県教育委員会の取り組みが全国的に注目されている。
1年次週1時間、「総合」の一環として展開
 相次ぐ児童・生徒の事件などから「命の大切さ」を教える重要性が叫ばれる中、茨城県では「豊かな心の育成」を教育の重要な柱と位置付け、高校教育段階で2002年度からロングホームルームで月1回以上「心の教育」に関する指導を実施したり、2003年度からは道徳教育研究推進校を指定したりするなどの事業を行ってきました。

 そうした成果を踏まえて、より一層の道徳教育充実を図るため、2007年度から全ての県立高校で「道徳」を履修させることにしました。実施学年は第1学年で、各校の負担にならないよう「総合的な学習の時間」のうち1単位(年35時間)を充てることにしました。体験活動を行う場合は6時間程度としています。

 授業で使えるような生徒用テキストと指導資料※2も作成しており、具体的には学校や生徒の実態に応じて各校で指導計画※3を立てることにしています。評価は総合的な学習の時間に準じて評定はつけず、観察や面接、レポートなどを基に文章記述で行います。

教育活動全体で行う道徳教育の「かなめ」として

 高校における道徳教育は「学校の教育活動全体を通じて行う」(学習指導要領総則)ものですが、全校履修「道徳」はそのかなめの時間と位置付けています。1年生で実施することにより、2年生、3年生と生活していく中で道徳的実践力を高められるよう、各校で計画を立てて指導していってほしいと考えています。

 今の高校生は、人としての在り方や自分の生き方について、じっくり考える機会が少なくなっているのではないでしょうか。道徳は「教える」という性質のものではありません。まとまった時間を確保し、教師と生徒がともに話し合うことを通して、規範意識や他人を思いやる心、主体的に判断し行動できる力などが身に付けられると考えました。人生に目的意識を持つことは、進路意識を高めることにもつながります。

 まだまだ試行錯誤しながらのスタートですが、予想した以上に活発な意見交換が行われた高校もあったと聞いています。県教委としても相談に乗りながら、その学校なりの授業をつくり上げていってほしいと願っています。(談)

 
この人が解く!
  茨城県教育庁 高校教育課 副参事 秋山 久行氏
 
キーワード
*1全校履修「道徳」

 「生徒一人一人が道徳的価値や人間としての在り方生き方に関する自覚を深め、豊かな心を育て、未来に向けて人生や社会を切り拓いていこうとする道徳的実践力を高めること」を目標に置き、(1)主として自分自身に関すること(2)主として他の人とのかかわりに関すること(3)主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること(4)主として集団や社会とのかかわりに関すること―の4つの視点で内容を構成している。

*2 テキストと指導資料
 生徒用テキスト「ともに歩む」は生徒の心に響くような読み物資料を厳選しており、元プロサッカー選手の中田英寿氏や「夜回り先生」水谷修氏のほか、永井路子氏、恩田陸氏など県出身者の文章も多く盛り込んでいる。「高等学校道徳教育指導資料」は、道徳教育や全校履修「道徳」について、そのねらいや指導計画、評価方法などを詳しく解説している。
*3 学校や生徒の実態に応じた指導計画
 例えば指導資料では、交通事故死した後輩の葬儀に参列するまでを書いた生徒用テキストの読み物資料について、▽礼儀(生活の中で礼儀に反する場面を考える→参列した高校生の心について話し合う→礼儀について大切なことを明らかにする)▽敬意の表現(葬儀を経験したときの気持ちを話し合う→事故現場での高校生の心について考える→快・不快の感情は立場によって違いが生じることを明らかにする)▽人間の尊厳(訃報を聞いたときの気持ちを話し合う→亡くなった高校生に対しての気持ちを考える→生命の尊さや人間の尊厳について考える)―という3パターンの授業展開例を示している。
生徒用テキスト「ともに歩む」・「高等学校道徳教育指導資料」
撮影/中村誠
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