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キャリアガイダンス@メールTOP基礎からわかる教育トピック vol.25

基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「学習指導要領の改訂」〜高校はどう臨むべきか〜
学習指導要領の改訂論議が、大詰めを迎えている。小・中学校の授業時数増などをもって世間では「『ゆとり教育』が見直される」と騒がれる一方、「生きる力」の重要性は引き続き強調される見通しだ。高校では、どう臨んだらいいのか、「ゆとり教育」推進の第一人者とされ教育改革に取り組んできた元文部官僚・寺脇研氏に聞いた。
90年告示の時代から「ゆとり教育」ではない
 現行の学習指導要領(1998年告示)の基調を仮に「ゆとり教育」※1と呼ぶとしても、それはあくまで小・中学校の話であり、高校(99年告示)はもともと「ゆとり教育」ではありませんでした。そればかりか、高校は1990年告示※2によって大きな変革が行われて以来ずっとそのままの路線だとさえ言えます。

 現行指導要領でも、必履修教科・科目の31単位さえこなせば、後は「青天井」でいくらでも何でもできるはずです。卒業履修単位である74単位しかやっていない高校なんて、進学校ではまずないでしょう。それなのに必履修科目の未履修問題などということが起こるのは、本来おかしなことです。大学入試に出ないからといって必履修科目を開設せず、生徒から教養を得るチャンスを奪ってしまうというのは、いったいその高校でどういう「学力」をつけさせようとしているのか、疑ってしまいます。

 だいたい、高校進学率は30年以上も前から90%を超えていたんです。そのころから「七・五・三教育」などと言われて、落ちこぼれが問題になっていたでしょう。授業についていけない生徒をこれまでずっと切り捨てておいて、今になって高校現場が「ゆとり教育」批判や学力低下を騒いでいるとしたら、おかしなことです。

高校をどうするか、自分の頭で考えよ

 いま大学は18歳人口減の中で学生の確保に必死ですが、一部の有名大学を別にすれば「ゆとり教育」批判なんてしていません。どこの世界に、来たお客に対して「レベルが低い」などと言う会社がありますか。集めた学生に、どういう教育を提供するかを必死で考えないといけない。高校だって、とっくの昔にそうなっていなければならなかったのに、特に公立高校には、いまだにその危機感が薄いように感じられてなりません。

 だいたい、高校の先生の多くは「生徒を導いている」と勘違いしているのではないでしょうか。高校生にもなったら、学ぶ主体は子どもです。今度出す本※3の若い編集者にしても、高校をドロップアウトしてフリーライターから小さな出版社に入り、大手に移った人です。高校など何とも思っていませんし、義務教育ではない高校は、それでいいのだと思います。高校以外にも、学べる場はたくさんあるのです。

 小・中学校の授業が変わり、自分の頭で考え、表現する子どもが育ってきています。私が教える大学でも、オープンキャンパスに参加して、偏差値ではなく自分の視点、価値観をもって大学を選んだ学生が入ってきています。彼らに選ばれる高校になっていますか。偏差値の高い学校に入れておけば安心、と考えているのは親や教師だけかもしれません。高校の先生には、「ゆとり教育」批判をしている暇があったら、高校をどうするか、自分の頭で考えてほしい。「自ら学び、自ら考える」という姿勢が、教師にこそ必要ではないでしょうか。(談)

 
この人が解く!
  京都造形芸術大学教授 (元文部科学省大臣官房審議官) 寺脇 研 氏
 
キーワード
*1 ゆとり教育

 文部科学省は公式に「ゆとり教育」という言葉を使ったことは、一度もない。現行学習指導要領の基になった中央教育審議会答申(1996年7月)のサブタイトルが「子供に『生きる力』と『ゆとり』を」だったため、小・中学校での本格実施と合わせてスタートした完全学校週5日制とあいまって、批判的なニュアンスも込めながら「ゆとり教育」と呼ばれるようになった。

*2 90年告示の指導要領
 臨時教育審議会(1984〜87年)の答申が打ち出した「個性重視の原則」「生涯学習体系への移行」「変化への対応」を踏まえ、「新しい学力観」をキャッチフレーズとした。高校では94年度から学年進行で本格実施となり、家庭科の男女必修、選択必履修の拡大や「その他の科目」(現・学校設定科目)の導入などが行われた。
*3 寺脇氏の近著
 『それでも、ゆとり教育は間違っていない』(扶桑社刊)。寺脇氏自らが企業の採用現場などを訪ね、若者との交流を通して現在求められている人物像を探っている。
『それでも、ゆとり教育は間違っていない』(扶桑社刊)
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