審議経過報告が言うように、現在の大学が、進学率50%という「ユニバーサル段階」にあること、社会から「知的基盤社会」を担う人材育成を期待されていること、それに加えて大学自身が「グローバル化」への対応を迫られていることは、相互に拮抗している問題に直面しているということです。ある意味では危機的な状況だと言っていいでしょう。しかし、その処方せんとして審議経過報告が提言していることは、高等教育関係者の間では常識になっていることを全部並べただけ、という印象がぬぐえません。希望者が全入できるほど大衆化(ユニバーサル化)した大学でエリート(知的基盤社会に対応する人材)を養成する、という矛盾を、報告文の最後まで抱えたままなのです。矛盾の解消には大学の機能分化※3が提唱されていますが、おそらく、どの大学でも「うちは教育・研究大学だ」と言うに違いありませんから、有効性は疑われます。
ただし機能分化とまではいかなくても、これからの大学は学生確保のために「個性」を打ち出すことが不可欠になります。報告書も提案していることですが、「初年次教育をが充実している」「社会貢献に力を入れている」「コンピテンシー(活用能力)を伸ばす」など、アウトカムにかかわる個性を売り物にしないと、生き残っていけないでしょう。受験生の側も、今後は偏差値ではなく、そうした個性が自分に合っているかどうかで、大学を選ぶべきです。(談)
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