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キャリアガイダンス@メールTOP基礎から分かる教育トピック vol.28

基礎から分かる教育トピック キャリアガイダンス@メール
「全入時代の大学入試」〜問われる質の保証〜
大学入試の在り方を検討してきた中央教育審議会のワーキンググループはこのほど、「『大学全入』時代の高大接続」に関する提言をまとめた。特に、近年広がる推薦入試やAO入試※1に対して、何らかの学力検査※2を行うことを求めている。提言の背景にあるものは何か。
推薦・AO入学生の学力に不安

 提言の背景には、えり好みしなければ誰でも入れる「大学全入時代」にあっても、入学してくる学生の質を一定程度確保しなければならない、という大学側の強い危機感があります。とりわけ推薦入試やAO入試に関しては、入学生の学力が担保されていないという懸念が相当あるようです。

   これについては、高校側としても理解できます。それほど勉強もしないで大学に入れるという状況は疑問ですし、ある程度の入試科目を課して入学させた方がいいという意見が、校長会でも大勢を占めています。高校にとっては、高校教育の質をどう保証するかが一番のポイントだ、と言っていいでしょう。

   ただ、大学側の問題もあると思います。本来、AO入試はさまざまな資料を使って緻密な選考を行うべきなのに、実際にはエントリーすれば簡単に合格できるような大学が存在しているのも事実です。しかも生徒が自分でエントリーできるため、高校では出願したかどうかすら把握できず、十分に指導できないこともあるのです。

   一方で大学側にも、推薦やAOに限らず一般入試でも高校時代の学習履歴やポートフォリオを活用して受験生を幅広く見たい、という意向があります。学力試験だけでない、高大連携によるきめ細かな選抜をこれから進めていこう、ということでしょう。WGが提言した「高大接続テスト(仮称)」※3も、そうした方向を示したものです。

   大学入試センター試験を米国のSAT(大学進学適性試験)のような資格試験にすべきだという意見もありますが、そうなると現在60点で設定している平均点を80点くらいに引き上げなければならず、選抜機能が薄れることになるので、現実には難しいでしょう。

高校の「全人教育」が評価される入試制度を

 高校の担任としては、どんな大学でもいいから目の前の生徒を合格させてあげたい、という思いは当然あるでしょう。しかし、入学後の高等教育に耐えうる学力がついているか、ということも考えて指導する必要があります。何より、高校生として身につけておいてほしい学力をつけさせる、という高校教育の役割を忘れてはいけません。

 本来なら高校教育で目標としている学力と、大学入試のための学力が一致していることが望ましいのですが、現実には両者のせめぎ合いがあり、難しいところです。高校側としては、高校教育で行う「全人教育」がきちんと評価されて生徒が上級学校に進学していけるような入試制度を望みたいものです。(談)

 
この人が解く!
  東京都立豊島高校長(全国高等学校長協会大学入試対策委員長・中教審「高等学校と大学との接続に関するワーキンググループ」委員)渡邊 健治 氏
 
キーワード
*1 広がる推薦入試やAO入試

 文部科学省のまとめによると、2007年度入試で推薦による入学者は約21万6000人(1997年度に比べ約6万人増)、AOは約4万2000人(同約3万5000人増)。推薦とAOによる入学者は全体の42.6%を占め、特に私立では49.8%とほぼ半数に達している。

*2 何らかの学力検査
 ワーキンググループの「議論のまとめ」では、推薦やAO入試においては(1)調査書(2)資格・検定試験(3)大学入試センター試験(4)高大接続テスト(仮称)――のいずれかを課し、高校段階の学習成果を把握すべきだとしている。
*3 高大接続テスト(仮称)
 「議論のまとめ」では、「高校・大学が協力してAO入試や高校の指導改善に活用できる新しい学力検査」と位置付けている。その結果を本人、高校、大学が共有することにより、「大学の入口管理」はもとより「高校教育の質保証」にも活用できるという。
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