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キャリアガイダンスセミナー2007の講演速報 Part.1
基調講演: 「いま大人が伝えるべきこと」
研究発表: 「“社会が求める力”を育てる方法」
高校事例発表: 「進学校におけるキャリア教育の必要性とその方法」
キャリアガイダンスセミナー2007レポート Part2はこちら
いま大人が伝えるべきこと

精神科医・帝塚山学院大学教授 香山 リカ氏

精神科医として21年の経験を積み、数多くの若者を診察してきた香山リカ氏。現在は、大学教授としても日々、若者と接している。「精神科に通院するような子どもと、普段、皆さんが学校で接している普通の生徒とは違うかもしれないが、共通することもあるかもしれないと思って聞いてほしい」と講演を始めた。

「自尊感情」を持てない若者たち
 香山氏は、「一部の若者だけのことかもしれないが」と前置きしたうえで、現代の思春期にある若者には2つの特徴が認められるという。1つは、「自尊感情」がない、ということ。「勉強できない」「人気がない」といった理由があってのことではなく、「自分が自分であることに自信がない」というのである。だから、「そんな自分なんてどうなってもいいから学校になんて行かない」などと因果が逆となるのだ。「自分がかけがえのない存在という実感が持てなければ、他人という存在も大切に思えず、そういう心理が問題行動につながるのかもしれない」と香山氏は言う。

 それは、優秀と思われている生徒も同様。ハイレベルの進学校で生徒会の委員長に就任し、一目置かれているような生徒であっても、「私なんかダメ。生きていても意味がない。誰も自分を必要となんかしてくれていない」と思っているケースがあるという。そんな生徒に「あなたのことは誰もがいい子だと言ってたよ」と伝えても、「それは本当の自分の姿じゃない。周囲に喜ばれるように振る舞っているだけ。親や先生は、自分のいいところしか見ようとしない」という答えが返ってくる。

 よく少年犯罪事件が報道される時に「とてもそんなことをする生徒には思えない」「なんで周囲の大人は気づかないのか」といったコメントが流されるが、「子どもたちは巧妙に自分の気持ちを隠しているので、気づけといわれても無理。専門家でもそんな心はなかなか見抜けない」と香山氏は指摘する。

周囲から嫌われることを極端に恐れる
 大半の若者は、そういった問題が顕在化まで至らずに外面的には普通の状態にある。彼・彼女らは、周囲の友人らの顔色をうかがって過ごしているのだという。「学食で楽しそうに話している学生たちの会話に耳を傾けていると、誰かが提供する話題を肯定し合っているだけで話が全然深まらない。すぐ次の話題に飛んでしまう」。一人ひとりは自分の意見を持っていても、それを友人に言うことはしない。「自分の意見を言ったり批判なんかしたら、『場の空気を読めないやつ』と思われて嫌われてしまう」ことを恐れているというのだ。

 ある携帯電話会社が、マーケット調査で中高生に携帯電話の問題について意見を聞いた時のこと。携帯電話会社の人たちは、てっきり有害サイトの存在などが挙げられると思いきや、一番多く返ってきたのは「メールのやり取りはどこでやめればいいのか」という質問だったという。自分からやめると、相手に「冷たいやつ」と思われるとのいうのだ。だから、「じゃぁね」「またね」などといったやり取りを繰り返してしてしまう。「大人は、返事が来なければ『相手は忙しいんだな』と考えてさほど気にも留めないが、若者には死活問題。彼・彼女らは、相手にどう思われているかと過剰に神経を使っている」

「自分は特別な存在」という幻想
 その一方で、「自分は特別な存在である」という幻想を持つ。それが、香山氏が指摘する2つ目の特徴である。「自分らしい進路を選択しないと」と思うものの、うまくいかずに「自分なんていい会社に就職できない」と自信を失っているような学生に求人情報を紹介すると、手の平を返したように「私が営業?」「こんな小さな会社?」と不服な顔を見せる。「『あなたはほかの人とは違う』という一言を待っている。『君みたいになかなか決まらない学生はたくさんいるよ』という言葉は慰めにならない」というのだ。

 普通に生きるくらいなら、特別に悪いほうがまし。そんな心理が凶悪犯罪に結びついた例もある。「自分は生きる資格はない。でも特別な存在。若者の心理には、その中間が抜け落ちている。しかし、キャリアを構築していく現実世界でほとんどの人は、その中間に存在している。そのことを気づかせることが、キャリア教育の第一歩になるのではないか」と香山氏は指摘する。

 アルバイトやインターンシップ、あるいは学校の就業体験で、人から感謝されることで自信を取り戻す学生も多い。自分が「特別な存在」になれるからだ。しかし、それは「諸刃の剣」と香山氏は注意を促す。人を助けて感謝され、その仕事にのめり込んで燃え尽きてしまったり、思ったように感謝されずに挫折感を味わったりする場合も多いからだ。「自分の内面の回復を目的に就業すると、その対象から距離を置けずにバランスがとれなくなる」という。

人もすぐには判断できない
 学生が面接の場で「君のような人を待っていた」という一言を期待しても、潜在能力に期待する新卒採用においては現実的ではない。また、すぐに能力を発揮できるわけでもない。長く仕事を続けていくうちに、本人と会社はお互いになくてはならない関係へと深まっていく。人間関係もしかり。「自己陶酔できるような刺激的な言葉を吐いてくれる相手にはワクワクするかもしれないが、そんな関係は長続きしない。これから出会っていく人も、だんだんと付き合っていくうちに少しずつわかっていくもの。すぐにどうこう判断してはいけないというメッセージを出す必要があるのではないか」というわけである。

 夢を持つことは大切だが、夢がかなわなければ幸せになれない、ということではない。「むしろ、夢をかなえたことで次に何をしていいのかわからなくなったり、人の見る目が変わって生きづらくなったと相談してくる人もたくさんいる」と香山氏は言う。「自分は消去法的に精神科医になった。今でも“天職”などとは少しも思わず、明日にも“転職”したいと思うくらい。しかし、このように仕事に対して距離を置けるから、失敗しても挫折と取らず、長続きできた。むしろ、これまで続けてこられたから、あながち自分に合っていない仕事ではないかもしれないと思える。と、そんな等身大の自分こそに一番の落ち着き先があるのではないか」と香山氏は自分自身の例を引き合いに出して講演を締め括った。

 講演後、会場から「問題のある生徒と向き合う時の心構えについて」質問があった。それに対し、香山氏は以下のように回答した。 「カウンセリングの世界では、相手を『受容』し『傾聴』せよ、といわれてきた。基本はそうであっても、問題行動を起こしている生徒に寄り添ってばかりいても始まらない場合も多い。最近は、そんな場合はむしろ積極的に介入し、警察や児童相談所などに相談するなど、ケースワーク(直接的個別援助)を行うべきという意見が出されている。その判断基準は、日々現場で生徒と接している人の直感でかまわないのではないか」
(撮影/竹内由美子)



「社会が求める力」を育てる方法

株式会社リアセック取締役COO 松村直樹氏

リクルートのキャリアアセスメントプログラム「R-CAP」の開発者である松村直樹氏が、データや事例をもとに、近年の大学の学生に対するキャリア支援の実態や就職に必要な力とその育成方法などについて発表した。

“キャリア支援”に熱心に取り組む大学
 キャリア教育プログラムの企画開発、販売、運営実施などを手がける(株)リアセック。同社で取締役COOを務める松村氏は、リクルートで「R-CAP」の開発を担当し、高校の進路ガイダンスや大学の就職ガイダンスおよびキャリアデザインプログラムの授業の講師などに従事、2006年に独立し、リアセックを立ち上げている。自己紹介の後、大学のキャリア支援の実態から報告を始めた。

 「06年度に7つの大学が倒産した。少子化の世の中にあって、大学はどこも生き残りに必死。そのために、企業組織が求める人材に向けて学生の育成を図り、就職実績を向上させる“キャリア支援”に熱心に取り組んでいる」と松村氏は言う。上位校も例外ではなく、例えば東京大学が05年に「キャリアサポート室」を設置するなど、各大学は軒並み「就職部」を「キャリアセンター」や「進路支援室」といった名称に変更。求人票の掲示など就職情報の提供にとどまらず、低学年の段階から学校生活全般におよぶ指導・支援にまでサービス領域を広げている。その代表的な内容は以下のとおり。
(1)キャリアデザインプログラム
自己分析→就業観の醸成→キャリアデザインスキルの涵養→学生生活の目標づくり
(2)現代社会を知るプログラム
業界知識、動向、ビジネスモデルから実社会を学ぶ
(3)ロールモデル提示プログラム
OB・OG、企業人による講演会、よい働き方の提示
(4)低年次(1年次の夏)からのインターンシップ
(5)能力開発支援
資格取得、日本語の読み書き、ディベート・プレゼン能力など
(6)キャリアポートフォリオ学習
ファイルやアルバム、電子ファイルを提供し、体験を履歴として残し定期的に意味づけを行う
 例えば、関西のある私大では、ロールモデル提示プログラムとして、「男たちの復活戦・デジタルカメラに賭ける」「友の死を越えて〜青函トンネル24年の大工事」などのテーマで話題となったテレビ番組「プロジェクトX」の製作スタッフや登場人物を招聘し、学生にメッセージを送っている。また、別の関西のある私大では、大学院に進学する学生に対して、2年後になりたい自分を決意させ、2年間の活動計画を策定させるというプログラムを取り入れている。

これからのキャリアデザインとは
 日本経済は好況が続き、大企業を中心に新卒採用数が増加。08年度の求人倍率は2.14倍と未曾有の売り手市場の様相である(リクルート ワークス研究所調べ)。しかし、どれだけ就職しやすい環境となっても、キャリア教育の意義は変わらないと松村氏は言う。「今は1つの会社に一生勤め続けなければならない時代ではないからだ。労働(転職)市場が開かれていて、就業形態も多様化している。常に自分がより幸せになれるためのキャリアデザインが企業側、個人側からも求められていく」

 したがって、これからのキャリア形成は、次のようなイメージのものが求められるだろうという。
若い時期は、目の前の仕事に懸命に取り組み、偶然も含めた仕事や人との出会いの中で転職や復学などのキャリアチェンジを繰り返し、「自分らしさ」を模索する「いかだ下り」型。ある時期からは、職業的展望を明確に思い定め、計画的・戦略的に目標達成に取り組む「山登り型」。そのようなキャリアデザインができるようになるために、キャリア教育が必要となるのである。キャリア教育の目的とは、
(1)希望の業種・職種に就ける「就職力」を身につける
(2)キャリア自律を促進するために、「エンプロアビリティ(雇用される力)」および「環境変化に対する順応性」を高めることにある。

「就職力」=「多様性理解」+「独自性の発揮」
 (1)の「就職力」とはどういったものであろうか。ある私大で行った調査から、卒業後の進路を早期に確定した学生のほうが、就職活動を途中放棄したり、卒業間近でも進路未定の学生よりも、「多様性尺度」および「起業家的創造志向尺度」が有意に高いことがわかった。「多様性の理解」とは、端的に言えば、人に意見を言ったり、人から意見を言われることを恐れない力のこと。また、「起業家的創造志向」とは、自分のオリジナリティを意識しようとする姿勢。この2つの能力の高さと、企業から内定を得る確率に相関関係が認められたのである。「関東のある私大のキャリアデザインプログラムで、25週にわたってグループワークによる行動学習、協調学習をやり続けた。人に意見を言う、人から意見を言われるといった訓練をすることで、これら2つの能力が高まった。面接が怖くなくなった、自分をアピールできるようになったという効用が現れ、全員の進路が決定するという成果につながった。プログラムを受けなかった学生と比較することで明らかになったのである」

 (2)の「エンプロアビリティを高める」には、業務で成果を発揮できなければならない。そのためには、専門知識や技能といった能力と、それを支える「社会人“基礎力”」が必要だという。これには、経済産業省が「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」に分類したものや、内閣府による「社会を構成し運営するとともに、自立した1人の人間として力強く生きていくための総合的な力=人間力」、英国内閣府による「あらゆる職業を超えて活用できる“移転可能”なスキル」などさまざまな機関が定義を発表している。こういった「社会人“基礎力”」は、発達段階に応じて獲得させていくことが望まれる。例えば「親和力」は、小学校から高校までは「親しみやすさや気配り」、大学生から新人社員までは「多様性の理解」、20代から30代前半までは「人脈の形成」といったように。「授業の内容だけでなく、対話形式やグループワークなど、授業スタイルの工夫によって涵養できるもの。高校段階でも実践できるのではないか」と松村氏は指摘する。

 また、「環境変化に対する順応性」については、「あらかじめ予測できる課題に対処する準備と、状況変化によって適応を余儀なくされる予測できない変化に対応する準備」(=キャリア・アダプタビリティ)が求められるという。この順応性は、「好奇心」や「楽観性」「社交性」という性格・態度と、「過去の受容」や「構想力」といった展望力で構成される。「先にふれた関東のある私大の事例でわかったことであるが、展望力は1年程度のキャリアデザインプログラムで十分伸張する。逆に、何もしないとスコアが下がる。しかし、性格や態度は短期間の研修だけでは開発は困難。早期の段階から時間をかけて取り組まなければならない。PLAN−DO−CHECK−ACTIONというサイクルを回しながら、キャリアアドバイザーやメンターによる定期面談で『経験』したことに対する個人の『意味づけ』を促進することがポイント」

 キャリアデザインプログラムを効果的なものにするためには、「どんな力が求められているのか」「どうすればその力を身につけることができるのか」を把握し、計画的に取り組んでいくことが不可欠である。それがキャリア教育の基本であるということを松村氏は強調した。
(撮影/竹内由美子)



進学校におけるキャリア教育の必要性とその方法

広島県立広島中・高校主幹 倉田雄司先生

広島県の中高一貫教育のモデル校として2004年度に開校した県立広島中・高校。その立ち上げから携わり、現在、主幹として学校経営、進路指導、教科指導全般に当たっている主幹の倉田雄司先生から、学校経営やキャリア教育の方法論を語っていただいた。

「自分にしかできない仕事」とは?
 「自分にしかできない仕事は何かを常に考えながら、裏表のない学校づくりに取り組んできました」と講演を始めた倉田先生。これまで、尾道北高校の教務主任・進路指導主事として進学実績の向上、御調高校での全国に先駆けてのインターンシップ実施、県教育委員会の指導課・指導第二課の指導主事として県の学力向上、同じく教職員課の管理主事として効果的な教職員定数配当などに取り組んできた。そして2003年より、広島県のリーディングスクールである県立広島中・高校の開校準備局職員、開校後の総括主任・主幹として、まさにゼロからの学校づくりに取り組んでいる。

学校としての目標、教師としての目標
 キャリア教育の大前提には、磐石な学校経営がなければならない。学校経営の基本には(1)「コンプライアンス」(法規・法令の遵守)、(2)「アカウンタビリティ」(説明・結果責任)、(3)「ミッション・ビジョンに基づく学校経営」の3点がある。(1)については、憲法や地方公務員法などの関連条文を引き、「公務員の『全体の奉仕者』としての性格を理解し、その職務上の義務を遵守することが重要である」と強調した。(2)については、同校においては教育活動や学校経営における目標の設定・公表、教諭・講師の評価制度の運用などが挙げられる。(3)については、同じく「広島県の教育を先導し、教育改革を象徴する学校」としてのミッション(地域社会における自校の使命)、ビジョン(使命の追求を通じて実現しようとする自校の将来像)の策定及びこれを踏まえた中期達成目標等の設定が挙げられる。そして、学校経営の根幹をなす組織マネジメントを推進する管理職や主任には、「企画力」「情報分析・活用力」「リーダーシップ」「人材育成力」「判断・対応力」の5つの力が求められるとした。

 学校経営目標の達成には、教員の育成、そのための個々の目標管理が不可欠である。そこで、同校においては、管理職が全教員に対し「自己申告書」による目標管理に基づき、面談と授業観察を行っている。「教職員一人ひとりが組織の中でかけがえのない存在という認識のもと、学校経営目標と自己目標のベクトルを一致させること。そして、学校経営目標の実現に貢献することによる自己効力感とキャリアアップが重要」という。
「教員にはマネジメントに向いているタイプと、教科指導に向いているタイプに分かれる。それを意識した一人ひとりのステップアップ策を図ることが重要」と倉田先生は教員自身のキャリアデザインの必要性を説く。

「学歴も実力もある生徒」の育成
 広島高校の第1期生(06年度卒業)は、県民からの期待や第1期生としてのプレッシャーを受けつつ、先輩がいないことの不安を抱きながらも、学校をつくってきた誇りを胸に、生徒の98%がセンター試験を受験するという頑張りを見せた。倉田先生は、そんな進学校におけるキャリア教育の方向性として、次のような「学歴も実力もある生徒」の育成を挙げた。
●総合力のある生徒
●自ら高いハードルを設定して取り組むことのできる生徒
●自ら学習へのモチベーションを高め、向上心を持って自身を切磋琢磨できる生徒
●目の前を通り過ぎるチャンスを逃さない生徒
●社会貢献への意欲を持った生徒

 総合力のある生徒を育成するために、まず、「教育課程の骨格」を構築。併設型中高一貫教育校の特色を活用し、中学1・2年を「自分を見つめる」基礎充実期、中学3年を「自分のよさを知る」探求期T、高校1年を「自分の生き方を考える」探求期U、高校2・3年を「自分のよさをのばす」発展期と位置づけ、学習内容の習熟に応じた少人数指導、教員によるチームティーチングを行っている。中学教員が高校体育の少人数指導に加わったり、高校教員が中学の数学や英語の習熟度別指導に加わるなど、教員が校種を超えて兼職もしている。

 会場には、ある3学年(06年度)の女子生徒が卒業研究で作成した「アロマテラピーから嗅覚と記憶の関係に迫る!」と題された卒業論文が配られた。同級生の協力を得てSHRの時間を利用し、簡単な計算問題24問を1分間で解いてもらった後、アロマオイルを焚いて嗅覚を刺激して同様の計算問題を解いてもらい、その前後の変化を調べることにより、嗅覚と人間の脳との関係を作業効率・学習効率の面から明らかにしようというもの。「この生徒は、興味を持っていたアロマについて、その効用に疑問を持ったことから研究に取り組んだ。規定の期間内で、何をすれば自らの疑問に答えることができるかを自分自身で考え、それを計画的に実施して一定の研究成果をあげたこと、研究を通して明らかとなったこととそうでないことが自分の中でよく整理され、今後より深い分析をするためには、どのような条件を設定して実験を行い、またデータをどのように処理すべきかということを自らの課題として捉えることができたことなどが自分の言葉で述べられている」と倉田先生。同校が取り組んできた「総合力のある生徒の育成」の成果を感じさせる。

教師自身のキャリアが生徒に跳ね返る
 「キャリア教育を基底に据えた進路指導」においては、学年ごとの進路指導目標、教科や特別活動など領域ごとの指導内容、高校3年間のキャリアデザインなど様々な活動計画を策定し実践。また、「個を生かす指導の充実」「論理的思考力・表現力の育成」「学ぶ意欲を高める施策」などもあわせて取り組んでいる。

 「教員にとって授業以上に重要な仕事はない」と強調した倉田先生。同校では、「『わかりやすい授業である』『規律が保たれ、教師・生徒とも真摯な態度で授業に臨んでいる』『学習内容が生徒の知的好奇心を高めるものとなっている』『授業が教師による一方通行的なものとなっていない』といった授業満足度を測る指標を設定してチェックしている」という。

 最後に、25年間に及ぶ教員生活を踏まえて、次のように講演を締め括った。
「総合力のある生徒を育てるためには、社会が求める人材とは何かを常に問うことが大切。そして、自分自身がキャリアを積むことで、生徒にも何かが跳ね返っていくのがキャリア教育の真髄だと感じている」
(撮影/中村誠)


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