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中高一貫教育校
 6年間を通した学ぶ機会を生徒に与える「中高一貫教育校」。政府は全国に500校整備するという目標を掲げてきた。実際に設置校数は制度化された1999年度以降、伸びてきている。今後の設置予定も含めると公立だけでも150校に迫る勢いとなっている(昨年10月現在)。
「進学対応」だけでない特色が必要
 ほとんどの中学校卒業者が高校に進むようになった中で、生徒が6年間を通して自己実現を図るために、多様で幅広い教育サービスを提供しようと制度化されたのが、中高一貫教育校です。
  ただし、その性格は実施形態*1によって違ってきます。連携型の多くは地域の子どもたちを集め、高校入試であくせくさせずに、ゆとりの中で進路を考えさせようというものです。これに対して中等教育学校と併設型は、それぞれの特色を打ち出し、全県1学区など広い学区の中で一つの選択肢として提供し、選んでもらうという、言わば「選択される学校」であるところが異なります。
 ただし、何をもって中高一貫教育校の存在意義とするかは、各学校の設立目的や、立地する地域によって変わってきます。どうしても生徒の大学進学実績を重視する学校として関心が集まりがちですが、「ゆっくり学びたい」という子もいるでしょうし、生徒全員がトップクラスの大学に進むわけでもありません。教科指導に力を入れるにしても、プラスアルファが必要です。何を「売り」にするのかは、各校で考えなければならないのです。
 加えて、公立の中等教育学校と併設型中学校では入学者選抜*2で学力検査を行わないため、入学する生徒の学力には個人差が出てくる場合があります。学力以外の面でも、どういう生徒を集めたいのか、そのための適性検査をどうするのか、その学校の特色に応じて考えなければなりません。
高校教師の「発想の転換」に最適
 中高一貫教育校の教師は、発想を変えることが求められます。一般的に高校教師の場合、視野にあるのは、指導する高校の教科内容や、目の前にいる高校生の生徒指導でしょう。しかし、中高一貫教育校では中学生も指導しなければなりません。教育課程も、中等教育学校と併設型では特例により中・高校間は「内容の一部入れ替えOK」*3です。中学校の授業の仕方や、場合によっては小学校のカリキュラムも知っておくことが求められます。
 それは確かに負担もありますが、高校教師の視野を広げることにもなるでしょう。これまで高校に入学してきた生徒の学習の習熟度で疑問に思ってきた部分が、中学校教育の状況を知ることで納得できるようになるかもしれません。ですから高校の先生方にも、子どもたちの成長を長いスパンでとらえることができる中高一貫教育校への赴任をお薦めします。(談)
 
この人が解く!
  国立教育政策研究所 総括研究官 坂野慎二氏
 
キーワード
*1 実施形態
6年間を一体とする「中等教育学校」(前期課程3年、後期課程3年)、同一の設置者(都道府県、市町村など)による中学校と高校を接続する「併設型」、異なる設置者同士も含めて両者の交流を深める「連携型」がある。
*2 入学者選抜
中高一貫教育校を法制化した1998年5月の国会では「受験エリート校化しない」との付帯決議がなされた。これに基づいて公立の中等教育学校と併設型では、入学者選抜で学力検査を行わないこととされた。
*3 教育課程上の特例
いずれの中高一貫教育校にも中学校と高校の学習指導要領が適用されるが、中等教育学校と併設型では中高の教育課程の一部を入れ替えたり、連携型では中学校の選択教科の幅を拡大したりするなどの特例が認められている。
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