キャリアガイダンスVol.414
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図1 「社会に開かれた教育課程」のポイント123社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。※平成27年8月28日中央教育審議会 教育課程企画特別部会「論点整理」より作成送るか」に注目しています。これは、学校教育法30条の「主体的に学習に取り組む態度」、つまり学習意欲に当たります。教育基本法5条2項には、「各個人の有する能力を伸ばしつつ」という文言があります。各個人には元々能力が備わっていることを前提としている点で目を見張りますが、その能力とは何か。当然多様でしょうが、共通するものがあるように思います。それは学習意欲。2、3歳の子どもが何かを見て「これ何?」と疑問を口にする。この「知りたい」、あるいは「やってみたい」という、学びに向かう力は、生まれながらに備わっているのではないでしょうか。人が生きていくために欠かせないものだからです。 3つ目の柱には、「優しさや思いやり」とまで書かれています。性善説・性悪説という考え方がありますが、仮に優しさが生まれついての性質であるならば、生まれつき優しくない人は、永遠に優しくないことになります。ところが、「あの人は苦労したから、人の痛みがよくわかる」と言われるように、経験によって人としての幅や深みが生じることは多々あります。学ぶことで人は変容するのだし、そこには人間性も含まれる。そして、それもまた新しい時代に求められる資質・能力なのだというメッセージは、現場の先生方の腑に落ちやすいのではないでしょうか。 学習意欲が本来、人が備えている能力だとしたとき、ではなぜ、長じるにつれ低下していくのでしょうか。私は、評価の問題が大きいと感じています。ペーパーテストの成績を重視し、生徒を数字に当てはめてしまう。もっと、次につながる評価はできないものでしょうか。様々な角度から多面的に評価をすることが求められます。その評価を、時間をかけて生徒に伝える。その第一歩が観点別評価です。今回の改訂では、小・中学校と比べ、これまであまり重視されてこなかった面もある観点別評価を、高校でもしっかりとやろうということです。学力の三要素を踏まえ、「知識及び技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3観点に整理し、指導要録の様式の改善も進めます。そうして生じる「基礎的な知識は不足しているけれど、疑問をもって取り組もうとしている」とか、「関心はあるけれど、技能が不十分」といった評価を生徒と共有し、次につなげるのです。 加えて、各種資格やコンクールの社会に開かれる前に、生徒、教師に開かれていること成績、ボランティア活動、生徒会活動、部活動などの取り組みを、ポートフォリオなどを通じて生徒が記録し、教員が把握することも大切です。 さらに、生徒自身が自分のキャリアプランを立て、文字化し、振り返るような取り組みも重視されるべきでしょう。 たとえば、指定校推薦において、評定平均値は高いのに、大学に提出する志望理由書が書けない生徒がいます。なぜその大学で学ぶのかが自分でもよくわかっていない。これは、とても残念なことです。 ある国立大学のAO入試対策として、志望理由の書き方まで徹底して指導している塾があるそうです。その国立大学の担当者に伺ったところ、いっこうに構わないと前向きに捉えておられました。「本来は、高校の先生方に指導していただくのが筋でしょうが、少なくとも数カ月の間、高校生が自分を見つめ、将来を考える時間をもつ。それ自体は大変良いこと」という返事に私は共感しました。 評価は一方通行で終わってはいけません。生徒と相対し、「この点は不十分だよ」「ここはいいね」と時間をかけてやりとりすることが、生徒のキャリア形成につながります。次につながる評価こそ教員としての本務「授業」で社会を生きる力を育む【Lecture】 現場教師に求められるのは?112016 OCT. Vol.414

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