キャリアガイダンスVol.414
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藤牧 朗先生慶應義塾大学商学部を卒業後、警視庁職員、塾講師を経て、東京大学医学部に入学。「子どもたちが社会に出て困らない力をつけさせたい」と卒業後は中学校・高校の教員に。社会科や理科をはじめ10種類の教員免許をもつ。 「自ら学び続ける力を育てたい」。警視庁や塾での社会経験を積んだ後、東京大学医学部で学び直し、最終的に教員になった藤牧 朗先生の回答は明快だ。 「変化のスピードが速い現代、医学の世界を例にとっても、数年たてば新しい薬や治療法が出てきて、現場の対処の仕方も変わります。ひととおり専門的な知識を学んでも、それはあくまで基礎知識。その上に新しい知識やスキルをどんどん積み上げていかなくてはなりません」(藤牧先生・以下同) では、学び続ける力はどう育んだらよいか。藤牧先生は第一に「学ぶことは楽しい」と感じられる授業を目指している。「インターネットの動画ではなくリアルな授業だからこその楽しさがあるはず。人と人が交わる教室という場をうまく活用したい」 しかしながら、人によって楽しさやわかりやすさは違う。「様々な授業方法から自分に合った学び方を見つけてほしい」と、藤牧先生はあえて一般的な講義型とは異なるスタイルで、生徒が主体的に参加する授業を行う。その基本的な授業展開はこうだ(図1)。 まず、前回の授業の学びを深める冒頭の時間には、「ホットシーティング」という演劇的手法を活用。指名された生徒2人が、授業に関連する重要人物になりきって自己紹介(役の人物紹介)したり、他の生徒からの質問に答えたりする。次に、当日の授業テーマの要点について、藤牧先生がKP法(紙芝居プレゼンテーション)を使って解説。それを基に生徒はグループで内容を掘り下げる質問を考える。各グループの質問をクラス全体で共有し、藤牧先生が回答へのヒントや情報の提供を行う。最後に、当日に学んだ内容や感想をまとめ、次回のテーマや予習内容を確認して締めくくる。 一連の授業のなかで藤牧先生が重点を置くのは、生徒から的確な質問を引き出すこと。良い質問ができるということは、テーマの要点を理解していることであり、それができる力は社会に出てからも役立つとの考えからだ。 「科目の知識を得ることだけが、授業の意義だとは考えていません。むしろ、科目の学習を通じて、学び続ける基礎の力として普遍的に一生使えるリテラシーやコンピテンシーを育むことを大切にしています」 定期考査には記号や穴埋めの問題がなく、すべて記述問題だ。例えば、「衆議院が参議院よりも優越する理由を記せ」と知識を問う問題のほか、「現代日本のマス・メディアの働きに対して、具体例を挙げてあなたの考えを述べよ」のような意見を求める問題もある。 これらの採点の基準を明確化するため、設問ごとにルーブリックを作成。試験前に設問内容を伏せた形で生徒に配布する(左ページ上)。ルーブリックは評価基準を示すだけでなく、「こういう視点でものを考えてほしい」という藤牧先生のメッセージでもある。 「本来、答えは与えられるものではなく、自分たちで作るもの。世の中には正解のない問題もたくさんあるなか、自分で答えを作っていく力を育む、生徒の将来につながるテストにしたいと考えています」生徒の疑問・質問を引き出す生徒参加型の授業どんな授業なのか1940年創立/普通科/生徒数877人(男子648人・女子229人)/進路状況(2016年3月実績)大学118人・短大3人・専門学校29人、就職5人、その他51人学校データ演劇的手法やKP法、グループ学習を交え授業の中に社会の場を作る政治・経済目黒学院高校 (東京・私立) 202016 OCT. Vol.414

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