キャリアガイダンスVol.414
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 県内有数の進学校、浜松北高校に勤務する大村勝久先生は、昨年度受けもった3年生に、東大ほか大学入試対策の授業や補習をみっちり行ってきた。 その一方で、生徒が自分たちで考え、学び合うような授業も意図的に差し挟んできた。例えば、一人の生徒がタブレット端末を操作して入試問題を自分なりに解説し、ほかの生徒も二人に1台用意されたタブレットでその情報を共有し、さらに話し合う、といった授業だ。 今年度、1年生を受けもった大村先生は、この2つの流れをさらに加速させた。「授業の密度をいかに濃くするか」を徹底的に考え、限られた時間でも生徒が「とにかく頭を使って」教科書の内容や問題演習に向き合えるようにし、知識の習得をしやすくすることを目指した(左ページのカコミも参照)。 そのうえで、単元学習の時短によって生み出した時間を使い、生徒が「習っていない課題を解く」「自分で新しいものを作る」ことに挑戦する機会も増やしたのだ。それも、個人で考えたり、ペアやグループで話し合ったりと、様々なスタイルで。生徒が、正弦定理と三角形の性質を応用すれば解ける問題をやってみる。その問題の解き方を足がかりに、いつでも成り立つ新たな定理を自分で作ってみる(正弦定理から下方定理を導き出せる)。正弦定理やチェバの定理を使って解く問題を生徒が自作し、隣同士で解きあってみる。 こうした授業に取り組んでいる理由は二つあり、大村先生はその意図も生徒に日頃から伝えている。 一つは、「みんなが受験するときには、たぶん、知識を問うものと、思考力を問うもの、両方の問題が出るよ」と考えているからだ。大変だが、どちらの学習もおろそかにはできない。 とはいえ、受験のためだけに数学を学んでほしいのではない。 もう一つの理由は、「大学に受かるだけじゃダメなんだと。受かったあとも、社会に出てからも、活躍できる人になろう」という思いがあるからだ。 「暗記した知識で問題を解くだけでは、大学で学問の研究はできません。警戒される東海地震への対策など、社会課題の解決もできません。そこで求められるのは『なんでそうなるのか』を深く考え続けて追究していくことです。生徒には、進学後、自主ゼミのように、自分たちで学び合う学問研究をしてほしいのです。そしてそこでつかんだ知見やそこで創造したことを、社会に還元してもらえたら、と思っています」 浜松北高校の生徒は、勉強はきちんとやるが、以前は授業中に自ら発言することはまずなかった。でも、教科書で学んだことを応用して深く考える授業を進めていくと、「どう思う?」と投げかければ、生徒が手をあげたり、考えを口にしたりするようになった。 「生徒には『間違えてもいい、できなくてもいい。みんながどれだけ頭を使うか、そこが狙いなんだ』と言っているんです。数年前と比べると、生徒がすごくアクティブになりました」 正弦定理を使ってsin75°を求める問大村勝久先生教員歴27年。深い思考をする授業の研究に力を入れつつ、入試対策の問題作成にも燃える。どの問題とどの問題の組み合わせがベストか延々と悩むこともよくあるという。知識習得から課題解決までとにかく頭を使う授業をどんな授業なのか授業中に意見も述べれば自分たちで考えも深めていく生徒はどう変わったか1894年創立/普通科・国際科/生徒数1209人(男子701人・女子508人)/進路状況(2016年3月実績)/大学260人・短大1人・専門学校1人・留学1人・進学準備146人学校データ間違えてもいい「頭を濃密に使う」授業で深く考え続ける力や、創造する力を育む数 学浜松北高校 (静岡・県立)222016 OCT. Vol.414

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