キャリアガイダンスVol.414
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小林先生の授業デザイン取材・文/松井大助 こうした授業を受けてきた生徒たちの変化は、3学期最後の振り返りシートに寄せられた感想に見てとれる。「知識がないと考えることができなかった。疑うことも大切だと思いました」「生活に役立つ知識が身に付いて誰かに話したくなって、水曜日の夕食は習ったことを母に話す時間になりました。保健の知識だけでなく、自分の考えをもつ力、それを見せたり聞かせたりする力、多くのことが身に付きました」 「正直、最初はなんで先生は(自分の記述に)晴れ(高評価)をくれないんだろうと思いました。中学では評価してもらえたのに。その分、晴れをもらえたときは本気で喜びました。『わかった』だけで片付けない。何かを学んだあとに、自分がそこから発展して何を考えられるか、何につなげられるかが大切だと教えてもらうことができました」「1年前の自分が今の僕を見たら驚くと思います」 小林先生が今関心を強めているのは、ロジカルシンキングやプレゼンなどの「型」をよりきっちり教えることだ。「日常で考えたり言い合ったりする機会が減ったからか、思考や伝え方の基礎から身に付いていない子が増えたように感じるんです。スポーツもそうですが、まずは『型』を示し、それを生徒が自分のものにしていくのも有効ではないかと授業で学んだことを何につなげるかまで考える生徒はどう変わったか多様な題材と活動を通して生徒全員が活躍する授業に今後行いたい授業考えるようになりました」 もう一つ目指しているのは、クイズ、正解のない問いを考えるグループ学習、レポート、プレゼン、テストなど様々なアウトプットの場を創出することで、成績の良い子からビリの子までいろいろな生徒が活躍できる授業にすることだ。 「僕自身も、生徒も、『あの子はこれが得意でこれは苦手』というのを、もっと知ることができたらいいな、と思うんです。そのうえで、他の子のできないことを自分のできることで補い合う、そんな空間を実現できたら嬉しいです」小林先生の授業の主なリソース保健を学び直すなかでの気づき教育学部で学んだ「伝える技術」世の中にあるリアルな教材授業研究プロジェクト小林先生は、授業準備として保健のことを「なんで?」の視点をもって最新の情報も追いながら学び直した。生活習慣、性の問題、労働問題など。そのなかで「知識をもって深く思考しないと何が良いか判断できない」テーマが多いのを実感。そこを生徒にも考えさせている。小林先生は教員になる前に営業職や記者職を経験。そこでは「大学で教育のために磨いた伝える技術(話の展開の工夫、視線や身ぶりの工夫)が仕事全般に生きた」という。その実社会に生きる「伝える技術」そのものを生徒にも教え、授業の発表や記述に生かせるようにしている。TV番組の芸人の話し方やテロップ、広告のコピーやデザイン、ビジネス書などから、伝え方や思考法の「型」を学習。それも生徒に伝授している。順天高校には、授業を通して生徒の人格や教養を高めることを研究する分掌があり(英・社・理・国・保健体育の先生が所属)、同僚からも学んでいる。1234導入……発問……表現……議論・調査……知識提示・理解……身近な話題や対話から入り、授業に集中しやすい環境をつくる。誰も答えは知らず、今ある知識で考える発問をする。「なぜ冬に交通事故が増える?」「なぜ日本は平均寿命が世界一なのか?」等。お互いの発表を批評し合うこと(上の写真右)や、みんなの前で発表して批評をもらうことで、伝え方をみがく。3学期最後にはクラス全員でオリジナルの教科書作りに挑戦。一人2ページを自由に表現する。グループで議論・調査するときは、まとめた意見をフリップボードに記入するのが基本。クイズ番組のようで生徒ものりやすい。教科書の内容を日常生活と絡めた「コバヤシート」や、自作のクロスワード式の用語確認シートを導入。面白がる生徒が増えた。13542「授業」で社会を生きる力を育む【Report 07】 保健2016 OCT. Vol.41429

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