キャリアガイダンスVol.414
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希望の道標取材・文/山下久猛撮影/平野 愛夢は1つに決めなくていい。夢は1つに決めなくていい。変わることを恐れずに変わることを恐れずに何でもやったらええねん何でもやったらええねん自転車冒険家/西川昌徳 大学卒業後、自転車で世界中を巡る旅に出ました。これまでの10年間で訪れた国は26カ国、走破距離は6万7600kmになります(2016年6月時点)。こんな僕ですが、元々はそんなにアクティブじゃなかったんですよ。高校時代は目立たない生徒で、将来の夢はわからず、夢に向かって頑張っている友人を見ては焦っていました。大学進学も、なんとなく、地元の近くで当時の成績で入れる大学へ入ったという感じですね。大学に入ったらおもろいことが待っていると期待していたんですが、全然おもんないわけですよ。こんなことばっかりしてちゃあかんなと悩んでいました。 そしたら大学2年の時に幼なじみの親友が交通事故で突然亡くなったんです。しばらくは精神的に不安定になったんですが、人生っていつどうなるかわからんから、後悔せんように自分がやりたいと思ったことはやっていこうと心に決めました。その第一歩が旅やったんです。 海外のいろんな国へほとんど準備せずに飛び込んでいくような旅を始めたことで自分が成長し、自信をもてるようになりました。そんななか、オランダで70歳くらいの日本人のおじいさんに出会いました。自転車でヨーロッパ中を旅していると聞いてびっくりしたと同時にこんなおじいさんになっても自転車なら世界を旅できるんだなと思ったんです。これが最初に自転車での旅に興味をもったきっかけですね。 自転車の旅の最大の魅力は「点が線になる」ということ。通常の旅行と違って、自転車の旅は自分の体の力を使って目的地まで移動し、その過程で出会う素晴らしい風景や人、ハプニングまで含めて生きていることを日々実感できます。つまり移動そのものが1つの行為として楽しくて、有意義なんですよ。 これまで世界各国を旅することで得難い経験をたくさんしてきました。それを子どもたちに伝えることが僕のもう1つの活動の柱です。当初の旅の目的は自分が未知の世界を見たい、生きるということを丸ごと味わいたいというようなものでした。でも1年ほど経った頃に、僕のこれまでしてきた冒険の経験は子どもたちに役に立つかもしれないと思うようになり、小学校での講演や現地からのスカイプ授業をするようになったんです。ある小学校で講演した時に、「夢って子どもにしかもてないと思っていたし、自分自身がやりたいことがないことに不安でした。でも今日、大人でも夢をもって何かにチャレンジしてることを聞けてすごく勇気をもらえて嬉しかった」と泣きながら話してくれた子がいて、僕もすごく嬉しかったです。 実際に旅に出てみると、その前に想像していたことが全部ぶち壊されるわけですよ。自分が実際に経験した中から身に付けたものは、ただ机の上で勉強して得た情報とは全然違って、すごく自分の人生の糧になっているんです。そして、今やりたいことや夢がない人でも、何かをやり続けていくことで見えてくるものがある。それは最初に思い描いていたこととは違うかもしれない。でも夢は変わってもええねん。変わることは何も怖くない、むしろええことなんや。だから今やりたいと思ったことをやりなさい。それがなかったら人からやれと言われたことでもいい。後にやりたいことになるかもしれない。だから何でもやりなさい。高校生の皆さんにもそう伝えたいですね。1983年兵庫県生まれ。徳島大学工学部機械工学科卒業。世界を自転車で走りながら、冒険や世界の人との出会いを通して得た学び・気づきを伝えることを目的として、大自然やその土地に生きる人々と向き合う旅を続ける。教育支援活動として、自転車旅で訪れる国と学校の教室をスカイプ(ビデオ通話)でつなぎ交流を行うスカイプ交流授業を小学校で実施。これを通して、コミュニケーション能力の向上、グローバルな視点と思考、想像・創造力の育成に取り組んでいる。今年6月からアメリカ縦断(カナダから南米コロンビアまで)の自転車旅に挑戦中。●西川さんの公式Webサイト「ぼくの地球を走る旅」→http://www.earthride.jp/にしかわ・まさのり32016 OCT. Vol.414

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