キャリアガイダンスVol.414
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 近畿大学附属高校で英語特化コースの担任と英語を担当する江藤由布先生の目標は、「人生の経営者を育てる」ことだ。 「起業家を育てたいという意味ではありません。生徒たちが大人になるころ、社会は今よりさらに変化しているでしょう。パラレルキャリアは当たり前。人と同じことをしていては将来食べていけない。そんな社会において、就職してただ受け身に生きるのではなく、自分で人生の手綱を握って生きていく人になってほしいという意味です」(江藤先生・以下同) そのために江藤先生が提唱しているのが「オーガニックラーニング」だ(図1)。江藤先生は自身の授業実践のスタンスを、オーガニック農法になぞらえてそう呼ぶ。オーガニック農法は、自然農法のように種を撒いて放置するのではなく、土づくりから行う。また、一般農法のように化学薬品を多用し管理するだけではなく、植物本来の生育力を高める。江藤先生はそうした放置や管理ではない方法で、生徒の自律的な学習力の育成に取り組んでいる。 「化学肥料を使うと植物は効率よく育ちますが、見えない根の部分は短く弱い。でも、オーガニック農法で育てると、水分や養分を求めて根がどんどん育って味もよくなると聞きました。私が授業で目指すものもこれと同じです。生徒の学びたいという意欲や、学びそのものを楽しむ心に働きかけることに力を入れています」 具体的な授業実践も独特だ。教材には一般的な教科書のほか、大学の授業でよく使われるオックスフォード大学出版局のリーディング教材『Q Skills for Success』も活用。同校が学校ぐるみで推進しているICT教育にも積極的で、様々なアプリを取り入れている。学びの土壌づくりを重視した独自の「オーガニックラーニング」を提唱英 語 5年前から、すべて英語で、生教材を使い、アクティブラーニングや反転授業を取り入れた授業を全面的に実施(図2「LEAFモデル」)。生徒がチームで解説動画を作成することで文法について学び合うなど、チームで取り組むプロジェクト活動も多い。 「生徒は放課後や休日でも何かしら英語の活動をしている。まさにゾーン(集中状態)に入っているような状態ですね」 そのなかで生徒からあがった言葉が「強調性×協調性」。一人ひとりの個の強調と全体の協調の両方の大切さに自ら気付いた。また、プロジェクト活動では、チームで意見がまとまらなかった近畿大学附属高校 (大阪・私立)江藤由ゆう布先生教員歴20年。2015年、全世界の教育者が集うApple Distinguished Educatorに選ばれSingapore Instituteに参加。これをきっかけに自身の教育方法を「オーガニックラーニング」としてまとめる。教育系セミナーやワークショップなどを開催する一般社団法人オーガニックラーニング代表理事。二児の母。個の強調と協調を学ぶプロジェクト活動を多く実施どんな授業なのか1939年創立/普通科/生徒数2881人(男子1783人・女子1098人)/進路状況(2016年3月実績)大学888人・短大11人・専門学校25人・就職4人その他85人学校データ図1 「オーガニックラーニング」の3つのポイントマインドセットの開発O型組織オーセンティック123有機農法が土壌の改善に手間暇をかけるように、マインドセットの開発にじっくりと取り組み、アクティブラーニングによる学びを浸透しやすくすることで、生徒の成長を早め、生涯学習力を付ける。縦につながるM型(Mechanistic)組織ではなく、上下関係を超えた柔軟に動くことのできるO型(Organic)組織である学級で学ぶ。現地へ出かけたり海外メディアを使ったり、できる限り加工されない媒体や経験から学ぶことを大切にする。302016 OCT. Vol.414

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